Brush Up! 宅建業法篇
正解・解説
自ら売主の制限に関する問題1 手付等・損害賠償
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | ○ |
宅地建物取引業者が自ら売主となるときの次の記述は、宅地建物取引業法によれば ○か×か。 |
1.「宅地建物取引業者が自ら売主となるとき、手付金等の保全措置を講ず
る場合、代金額の10分の2を超える金額を、手附として受領することができ
る。」
【正解:×】 この場合の「手附」とは、解約手付のことをいい、保全措置を講じても、売主は 代金額の10分の2を超える部分は手附として主張することはできません。 つまり、保全措置を講ずることにより受領できる金銭は手付金等(代金の 一部等として授受される金銭、名目上は手付金、中間金などど称されます) のことをいい、10分の2を超える部分は、代金の一部等に充当されるもので あり、したがって、当該契約が解約されたとき、買主に返還されます。 |
●手附の額の制限は,宅建業者間の取引には適用されない |
宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者である買主Bと建物の売買契約を締結する場合に、代金の額の10分の3の金額を手付として受領した。これは宅地建物取引業法に違反しない。 (平成18年・問38・肢1) |
【正解 : ○】
◆手付の額の制限は,買主が宅建業者のときは適用されない 自ら売主として,宅建業者でない者との売買契約を締結する際に,代金の20%を超える額を手付金として受領することはできませんが,宅建業者間の取引には適用されないので(宅建業法39条,78条2項),本肢は宅建業法に違反しません。 |
●20%を超える部分が無効になる |
宅地建物取引業者Aは,自己所有の宅地を1,000万円で宅地建物取引業者でないBに売却する契約を締結した。契約の締結に際し,BはAに対し,300万円を解約手附として支払った。Bは,Aが履行に着手するまでは手附の放棄により契約を解除することができるが,この場合でも,100万円は不当利得として返還の請求ができる。 (昭和62年・問50・肢3) |
【正解 : ○】
◆手附による解除をしたとき,代金の20%を超える部分は不当利得として返還請求できる 宅建業者は,自ら売主として宅建業者ではない者と売買契約を締結する際に,代金の20%を超える額の手附を受領することはできません (宅建業法39条3項)。 したがって,買主Bが手附放棄により契約解除する場合は,代金の20%分(200万円)については手附として放棄することになりますが,代金の20%を超える額の100万円(300万円−200万円)については上記の規定により手附としては扱われないので,不当利得として返還の請求をすることができます。 |
2.「宅地建物取引業者が自ら売主となるとき、売買契約の締結に際して手
附を受領したとき、相手方が履行に着手するまで、当該取引業者はその全額
を償還すれば、損害賠償をすることなく、当該契約の解除をすることができ
る。」
【正解:×】 宅地建物取引業者が手附を受領したとき、当該業者はその「倍額」を償還し なければ解除することができません。 |
●手附による解除を拒むことができる場合 |
宅地建物取引業者Aは、建物の販売に際して、当該建物の売買契約の締結後、既に購入者に対する建物引渡債務の履行に着手していたため、当該売買契約の手付放棄による解除を拒んだ。これは宅地建物取引業法に違反しない。(平成18年・問40・肢4) |
【正解 : ○】
◆正当な理由なく,手付による解除を拒むことは禁止されている 宅建業者等は,相手方等が手付を放棄して契約の解除を行うに際し,正当な理由なく,当該契約の解除を拒み,又は妨げることは,禁止されています(宅建業法47条の2第3号,施行規則16条の12第3号)。 しかし,本肢の場合,宅建業者は,既に買主に対する建物引渡債務の履行に着手しているため,買主から宅建業者に対して手付放棄による契約の解除をすることはできません。 したがって,売主である宅建業者が手付放棄による解除を拒んだとしても,宅建業法に違反することはありません。 |
3.「宅地建物取引業者が自ら売主となるとき、当事者の債務不履行を理由
とする契約の解除に伴う損害賠償の額の予定を、代金額の10分の2と定めた
場合、違約金の額の定めをすることはできない。」
【正解:○】 損害賠償の額の予定と違約金を定めるとき、これらを合算した額が代金額の 10分の2を超える定めをすることはできません。 |
4.「宅地建物取引業者が自ら売主となるとき、損害賠償の額の予定及び違
約金等の額を代金額の10分の2を超える定めをしたとき、その特約はその超
える部分については無効となる。」
【正解:○】 損害賠償の額の予定や違約金の額の合計が、代金額の10分の2を超える定め をしたとき、その特約全体が無効となるのではなく、“超える部分”だけが 無効となります。 |
●20%を超える部分が無効になる |
宅地建物取引業者Aが,自ら売主となって宅地建物取引業者でない買主Bと建物 (完成物件) を売買する場合において,Aは,Bの債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償額の予定や違約金を契約条項に定めることができるが,これらの合計額が代金の額の2/10を超える場合は,Bに不利になるので全額無効である。 (平成14年・問40・肢4) |
【正解 : ×】
◆損害賠償額の予定等の制限−20%を超える部分が無効になる 宅建業者が自ら売主として宅建業者ではない者と宅地・建物の売買契約を締結するに際して,債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償額の予定や違約金の合計は代金の額【消費税含む】の20%を超える定めをすることはできません。 20%を超える定めをした場合は,20%を超える部分について無効になるので,本肢は誤りです(宅建業法38条1項,2項)。 |