Brush Up! 宅建業法篇
正解・解説
自ら売主の制限に関する問題2 瑕疵担保責任の特約の制限
【正解】
1 | 2 | |
○ | ○ |
宅地建物取引業者が自ら売主となるときの次の記述は、宅地建物取引業法によれば ○か×か。 |
1.「宅地建物取引業者が自ら売主となるとき、瑕疵担保責任は瑕疵を発見
してから2年とする特約をすることができる。」
【正解:○】 瑕疵担保責任(引渡後2年以上の特約をする場合を除き)は、“瑕疵を発見 してから1年以内”より買主に不利な特約をすることができませんが、本問 の特約はそれより買主に有利なので、有効です。 <参考> ア)民法・・・契約の解除または損害賠償の請求は、瑕疵を発見して1年以内 イ)宅建業法・・・「物件の引渡しから2年以上」と特約できる。 ウ)民法の規定(イを除く)より買主に不利な特約 (売主に過失がないときには担保責任を負わない,契約の解除・損害賠償の請求の一方しか応じないなど)を定めたときは、民法の規定に戻る。(民法の規定(イを除く)より買主に不利な特約は無効。) |
●瑕疵担保責任の特約の制限は,宅建業者間の取引には適用されない |
宅地建物取引業者Aは、自ら売主として行う造成済みの宅地の売買において、買主である宅地建物取引業者と、「Aは瑕疵を担保する責任を一切負わない」 旨の特約を記載した売買契約を締結した。これは宅地建物取引業法に違反しない。 (平成18年・問41・肢3) |
【正解 : ○】
◆瑕疵担保担保責任の特約の制限は,買主が宅建業者のときは適用されない 宅建業者でない者と自ら売主として売買契約を締結する際に,瑕疵担保責任を負わない旨の特約をしても無効ですが,宅建業者間の取引には適用されないので(宅建業法40条2項,78条2項),本肢は宅建業法に違反しません。 |
●瑕疵担保責任を負うべき期間 |
宅地建物取引業者Aが自ら売主として、宅地建物取引業者でないBに宅地 (造成工事完了済み) を分譲する場合において、AとBは、「瑕疵担保責任を負うべき期間は、当該物件の売買契約を締結してから2年間とする」旨の特約を定めた。これは宅地建物取引業法の規定に違反しない。(平成17年・問42・肢3) |
【正解:×】 ◆瑕疵担保責任を負う期間 自ら売主の宅建業者は,宅建業者ではない者との売買契約の締結に際して,瑕疵担保責任の行使期間を<引渡しの日から2年以上>とする特約をすることができるが,<売買契約を締結してから2年間>とする」旨の特約を定めても無効なので,Aは,宅建業法に違反する(宅建業法40条1項,2項)。 契約締結 引渡し 契約締結から2年 引渡しから2年 ―●―――――●―――――――●―――――――――●――― 契約締結から2年とすると,買主が瑕疵担保責任を追及できる期間の終了時点が早くなるので,買主にとっては不利になる。 ▼瑕疵担保責任の行使期間を<引渡しの日から2年以上>とするよりも,買主に不利な特約を定めた場合は,民法の原則に立ち返り,買主が瑕疵の事実を知ったときから1年以内に,買主は契約の解除又は損害賠償の請求をすることができることになる(民法570条,566条2項)。 ただし,判例によれば,瑕疵担保による損害賠償請求権にも消滅時効の適用があり,引渡しを受けたときから10年を経過すると消滅時効にかかり,瑕疵担保による損害賠償を請求することはできなくなる(平成13.11.27)。 |
●瑕疵担保責任を負うべき期間 |
宅地建物取引業者Aが,自ら売主となり,宅地建物取引業者でない買主Bとの間で,中古住宅及びその敷地である土地を,代金3,500万円,うち手付金500万円で売買契約を締結しようとしている。Aが瑕疵担保責任を負うべき期間について定める場合,「引渡しの日から1年」とする特約は無効であり,当該期間は「引渡しの日から2年」となる。(平成15年・問41・肢4) |
【正解:×】 ◆瑕疵担保責任を負う期間 宅建業者は,引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除いて,民法の規定〔知ったときから1年以内〕より買主に不利となる特約をすることはできません。 これに反する特約を定めた場合,その特約は無効であり,宅建業者が瑕疵担保責任を負う期間は,民法の原則に立ち戻って,「買主が瑕疵を知ったときから1年」になります。(宅建業法40条,民法570条,同566条3項)。 本肢の場合,「引渡しの日から1年」とする特約は無効であり,当該期間は「買主が瑕疵を知ったときから1年」となるので,本肢は誤りです。 |
●瑕疵担保責任は,無過失責任 |
宅地建物取引業者Aが自ら売主として、宅地建物取引業者でないBに宅地 (造成工事完了済み) を分譲する場合において、AとBは、「宅地に隠れた瑕疵があった場合でも、その瑕疵がAの責めに帰すものでないときは、Aは担保責任を負わない」旨の特約を定めた。これは宅地建物取引業法に違反しない。 (平成17年・問42・肢4) |
【正解 : ×】
◆瑕疵担保責任は売主の無過失責任,民法の規定よりも不利な特約は無効 判例では,瑕疵担保責任は売主の無過失責任であり,民法上では売主の担保責任は任意規定であっても,宅建業法上は売主が瑕疵担保責任を免れることはできない。 つまり,<その瑕疵が売主Aの帰責事由によるものではないときは,Aは担保責任を負わない>旨の特約は,宅建業法での規定よりも不利な特約となり,その特約は無効となる(宅建業法40条1項,2項)。この場合,瑕疵の事実を知ったときから1年以内に,買主Bは契約の解除又は損害賠償の請求をすることができることになる。 したがって,Aは,宅建業法に違反する。 |
2.「宅地建物取引業者Aがみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、
その瑕疵を担保すべき期間を、「瑕疵を発見してから18カ月」と定めることができる。」
【正解:○】 宅建業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、その瑕疵 を担保すべき期間を、瑕疵を発見してから18カ月(1年と6カ月)と定める ことは、民法に規定する「瑕疵を発見して1年」よりも、買主に有利な特約 であり、定めることができます。 |