正解・解説

売買契約締結の制限に関する問題4


【正解】

×

1.「宅地建物取引業者が自ら売主となって工事完了後の建物を6,500万円

で宅地建物取引業者でない者に売却する契約を締結し、保全措置を講ずるこ

となく手付金600万円、中間金1,000万円を受領した場合、宅地建物取引業法

に違反する。」

【正解:

工事“完了後”の宅地・建物を売買する場合に、手付金等の保全措置を講

じなくてもよい場合…

 ア.買主への所有権の“登記(移転・保存)”がなされたとき

   (登記をした買主はもう安全!)

 イ.宅地建物取引業者が受領する手付金等の額が、代金の“10%以下”

   でかつ“1,000万円以下”のとき

   →代金の10%以下であっても、1,000万円を超える場合は、手付金

    等の保全措置を講じなければならない

本問の場合、「手付金」だけを見れば、代金の10%も、1,000万円も超えて

いないので保全の必要ナシと思いがちですが、保全措置を講じなくてはなら

ないのは「手付金“等”」。中間金も「手付金等」のひとつなので、1,600

万円に対して保全措置が必要です。


2.「宅地建物取引業者がみずから売主となって、工事完了後のマンション

を5,000万円で宅地建物取引業者でない者に売却する契約を締結したとき、

売主である宅地建物取引業者は、買主に引き渡しと同時に2,000万円を

受領した場合、2,000万円について手付金等の保全措置を講じなければなら

ない。」

【正解:×

 物件を買主に引き渡し「前」に受領する金銭を「手付金等」といい、引き

渡しがあれば手付金等とはいいませんので、保全措置の必要はありません。

 逆に考えれば、物件を引き渡すまで、かつ、保全措置を講じていれば、手

付金等として物件価格の全額を受領することもできます。

<参考>

 宅地建物取引業者が手付金等の「保全・保管措置」を講じないときは、買

主は手付金等を支払わなくとも債務不履行とはなりません。

 ただし、これを拒否せずに任意に支払った場合は、原則としてその返還を

請求することはできません。


3.「宅地建物取引業者がみずから売主となるとき、宅地又は建物の売買に

関して、買主が移転登記をすれば、手付金等の保全措置を講じることなく、

代金額の10分の1を超える手付金等を受領することができる。」

【正解:

 文章を安易に読んで安易に解答しないように気をつけて下さい

 買主が“移転登記”をすれば手付金等の保全措置の対象となる手付金等に

は該当せず、「完成・未完成にかかわらず」宅地建物取引業者は代金額に対

する割合等(5%超、10%超、1,000万円超)にかかわらず、または全額

であっても手付金等を受領することができます。


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