解答と解説 

宅地建物取引主任者1


正解 

× × × ×

1.「宅地建物取引主任者Aが、甲県知事の宅地建物取引主任者登録を受けてい

る場合で、Aが、乙県に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事するた

め、登録の移転とともに宅地建物取引主任者証の交付を受けたとき、登録移転後

の新たな主任者証の有効期間は、その交付の日から5年となる。」

【正解:×】

取引業者の免許と同じく、取引主任者証の有効期間は5年ですが、登録の移転と

ともに取引主任者証の交付の申請があったとき、移転後の都道府県知事は、前の

取引主任者証の有効期間が経過するまでの期間、つまり残存期間を有効期間とす

る取引主任者証の交付をすることになります。

2.「建設業のみを営む本店及び宅地建物取引業を営む支店の従業員数が、それ

ぞれ本店が15人、支店が9人の場合、成年者である専任の宅地建物取引主任者

を、少なくとも5人は置かなければならない。」

【正解:×】

 ポイント 本店の従業員数≠宅建業の従事者数

 この問題では,本店+支店の合計で宅建業の従事者数を24人とすることはできません。問題文では,単に "従業員数" となっています。

 支店では宅建業のみを営んでいるので,支店では<支店の従業員数=宅建業の従事者数>ですが,

 本店では建設業のみを営んでいて,宅建業を営んでいないので,
<本店の従業員数≠本店で宅建業に従事する人数>になります。

 この問題文からは宅建業に従事する人数を明確に何人と割り出すことはできません。

 しかし,宅地建物取引業を営まない本店であっても、宅地建物取引業法上は主たる事務所に該当するので、少なくとも1人は取引主任者を設置する必要があります。⇒ 註

 よって、

・本店…少なくとも1人。

・支店…9÷5=1あまり4。あまり分にも1人必要

    1+1=2。支店は少なくても2人

 したがって、少なくとも1+2=3人設置すればよいことになります。

●註● 宅建業を営まない本店での宅建業の従事者数
 この問題では,本店は,建設業のみを営むことになっています。

 宅建業を営まない本店であっても,宅建業法上は<主たる事務所>に該当するために,何らかの形で宅建業に従事する者がいることになりますが,それでは,このような本店の場合はどのように<宅建業に従事する者>の範囲を決めるのでしょうか?

 結論から言うと,<宅建業を営まない本店での宅建業に従事する者>とは,「その法人の代表者」,「宅建業に係る担当役員」,「宅建業に係る会計担当者」,「宅建業に係る広告担当者」などが該当すると考えられています。(国土交通省の見解)

 したがって,個々のケースにより<宅建業を営まない本店での宅建業に従事する者>の数は変わる可能性があります。<宅建業を営まない本店での宅建業に従事する者>が5人以内ならば専任の取引主任者は1人になりますが,5人を超える場合は5人に1人以上の割合で専任の取引主任者を置かなければいけません。

 このため,上記の解説では,<宅建業を営まない本店での専任の取引主任者>を<少なくとも1人>としています。

宅建業が専業ではない宅建業者の場合も同様に考えます。例えば,JR東日本では,宅建業も営んでいますが,JR東日本全体の従業員数は6万7,710人(2005年4月)です。

 もし,この従業員全体が宅建業に従事するとみなされれば,13,542人もの莫大な数の専任の取引主任者が必要になります。

 しかし,JR東日本の従業員の中で,宅建業に従事するのはその一部であることから,13,542人もの専任の取引主任者は必要ではありません。

 このように,専業ではない宅建業者では,<従業員数≠宅建業に従事する者の数>になることは覚えておく必要があります。

3.「宅地建物取引業者は、その事務所において法定数の専任の宅地建物取引主

任者を欠くに至った場合、2週間以内に新しい専任の宅地建物取引主任者を補充

する等、必要な措置を講じなければならず、その間は宅地建物取引業をすること

ができない。」

【正解:×】

 専任の取引主任者が交替した場合、「届出」そのものは「30日以内」という期

間になっていますが、その“新”専任取引主任者の選任と設置は「2週間以内」

です。

 この「2週間以内」というのは、新たに専任取引主任者の選任と設置を行うた

めの猶予期間であり、その間、宅地建物取引業をしてはいけないという期間では

ありません。

<関連>

専任の取引主任者の交替を含む、“宅地建物取引業者名簿”の内容に変更を生じ

た場合、「30日以内」に免許権者に届出をしなければなりませんが、届出を怠っ

た場合、“指示”等の行政処分のほか、“100万円以下の罰金”の刑事罰が科せら

れます。


4.「宅地建物取引業者は、事務所以外の場所であっても、標識の掲示が義務づ

けられている場所においては、成年者である専任の取引主任者少なくとも1人以

上置かなければならない。」

【正解:×】

標識の掲示が義務づけられている場所(一団の分譲現地、一団の分譲案内所、展

示会場 など)であっても、契約の申込を受けない場所(例:現地案内のための

案内所)には、専任の取引主任者を置く必要はありません

<復習>

◆事務所“等”以外の案内所等

(正しくは、「事務所等以外の国土交通省令で定める場所」

『契約行為等をすることを目的としない案内・説明だけをする場所』

「開業の届出」は不要

「標識」の掲示が義務

「専任の主任者」の設置は不要


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