法令上の制限 基礎編

農地法に関する問題1

正解・解説


【正解】

× × ×

次のそれぞれの記述は、農地法の規定によれば○か、×か。

1.「農地法の農地とは、耕作の目的に供されている土地をいい、宅地内の家

庭菜園は農地とはいえない。」

【正解:

登記簿上の地目には関係なく「現況が農地」であることが原則ですが、農地で

あるかは「労費を加え、肥培管理を行い等をして食料生産する土地」であるか

否かが客観的に判断され、宅地内の家庭菜園等はその点で農地とは認められま

せん。 

2.「住宅を建てるまで一時的に耕作されているような場合であっても、現在

耕作がされているときには農地に含まれる。」

【正解:×

◆一時的な耕作は・・・

 「一時的な耕作」も客観的判断から農地とはいえません。

3.「耕作の目的に供するために、農地または採草放牧地についての借地権を

設定する場合、当該土地が市街化調整区域であれば、原則として農地法第3条

の許可は不要である。」

【正解:×

 農地法で制限される権利には借地権も含まれ、市街化調整区域などのカザリ

文句には関係なく、制限される権利の設定・移転には原則として農業委員会の

許可が必要です。

 許可なく権利の設定や移転が行われた場合、当該行為(契約)は無効になり

ます。

<関連>

◆農地法3条で制限される権利設定・移転については農業委員会の許可が必要

・所有権

・地上権

・永小作権

・賃借権

・使用貸借権

・質権

・その他の使用収益権

(註) これは農地法第5条で制限されるものと同じです。

(注)使用収益を目的としない権利(抵当権・売買予約など)は、許可の対象外

となります。

(注)競売による権利の取得」も許可が必要となります。

(注)「国土利用計画法」では、永小作権の設定・移転は届出不要

●農地の賃貸借の注意点
(農地又は採草放牧地の賃貸借の対抗力)

第16条 農地又は採草放牧地の賃貸借は、その登記がなくても、農地又は採草放牧地の引渡しがあったときは、これをもってその後その農地又は採草放牧地について物権を取得した第三者に対抗することができる。(1項)

(農地又は採草放牧地の賃貸借の存続期間)

第19条 農地又は採草放牧地の賃貸借についての民法第604条(賃貸借の存続期間)の規定の適用については、同条中「20年」とあるのは、「50年」とする。

4.「遺産分割により農地の所有権を取得する場合には、農地法第3条の許可

は不要である。」

【正解:

第3条の許可が不要である場合

ア.国・都道府県が取得する場合(除く市町村)

イ.土地収用法により収用・使用される場合

ウ.民事調停法の農事調停により設定・移転される場合

エ.遺産分割・財産分与等について裁判又は調停により権利を取得する場合

オ.包括遺贈(遺産の○○分の1を与える)により権利を取得する場合

  →特定遺贈(特定の農地を与える)の場合には許可が必要

平成21年の農地法改正点

 上記のエ(遺産分割,財産分与・相続財産の分与の裁判・調停),オ(包括遺贈)では,農業委員会への権利取得の届出をしなければなりません(農地法3条の3)

●農地の権利取得の届出
(農地又は採草放牧地についての権利取得の届出)

第3条の3 農地又は採草放牧地について第3条第1項本文に掲げる権利を取得した者は、同項の許可を受けてこれらの権利を取得した場合、同項各号(第12号及び第16号を除く。)のいずれかに該当する場合その他農林水産省令で定める場合を除き、遅滞なく、農林水産省令で定めるところにより、その農地又は採草放牧地の存する市町村の農業委員会にその旨を届け出なければならない。

 3条第1項12号・・・遺産の分割、民法第768条第2項(同法第749条及び第771条において準用する場合を含む。)の規定による財産の分与に関する裁判若しくは調停又は同法第958条の3の規定による相続財産の分与に関する裁判によつてこれらの権利が設定され、又は移転される場合

  3条1項16号・・・農林水産省令で定める場合

2 農業委員会は、前項の規定による届出があつた場合において、その農地又は採草放牧地の適正かつ効率的な利用が図られないおそれがあると認めるときは、当該届出をした者に対し、当該農地又は採草放牧地についての所有権の移転又は使用及び収益を目的とする権利の設定若しくは移転のあつせんその他の必要な措置を講ずるものとする。

5.「山林を開墾した場合、農地として耕作していても、土地登記簿の地目が「山林」

から「田」又は「畑」に変更されるまでは、農地法上の農地ではない。」

【正解:×

◆現況農地なら登記簿には無関係。

たとえ登記簿の地目が山林でも、農地として耕作しているなら、農地法上の農地です。

過去問の「山林シリーズ」

  以下の解は正しいか。

1.「土地登記簿の地目が山林で、現況が農地である土地は、農地法第3条の権利移動

の対象になる。」【解:

2.「土地登記簿上の地目が山林や原野であっても、現況が農地であれば、その所有権

を取得する場合は、原則として農地法第3条又は第5条の許可を受ける必要がある。」

 【解:

3.「山林を開墾して造成した市街化区域外にある農地について、それを宅地に転用

する目的で取得する場合は、農地法第5条の許可を受ける必要はない。」

【解:×

現況農地→農地法上の農地


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