法令上の制限 基礎編

農地法に関する問題2

正解・解説


【正解】

× × ×

次のそれぞれの記述は、農地法の規定によれば○か、×か。

1.「土地区画整理事業の施行区域内にある農地で、耕作の目的に供されてい

るものは、仮換地の指定処分があっても、農地法上の農地である。」

【正解:

カザリ文句は無関係

農地法でいう農地とは、土地区画整理事業の仮換地の指定処分などのカザリ文

句には関係なく、耕作の目的に供される土地(現況が農地)をいいます。 

2.「市街化区域内の農地を耕作の目的に供するために取得する場合は、あら

かじめ農業委員会に届け出れば、農地法第3条第1項の許可を受ける必要はな

い。」

【正解:×

◆市街化区域内で農地の取得は第3条の許可

 市街化区域とは「すでに市街化を形成している区域及び、おおむね10年以内

に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」ですので、市街化区域内の農地

を宅地等に転用するため取得する場合には、あらかじめ“農業委員会に届出”

をすればよいことになっています。(農地法条の)

 しかし、たとえ市街化区域内の農地であっても、農地として取得する場合に

は、農業委員会(市町村が異なる場合は都道府県知事)の許可が必要です。

3.「農家がその所有する農地に分家住宅を建てる場合は、農地法第4条第1

項の許可を受ける必要はない。」

【正解:×

◆自己所有の農地に住宅→転用の4条許可

 農家がその所有する農地を転用するには都道府県知事(その面積が4ヘクタール超の場合は農林水産大臣)の許可が必要です。〔市街化区域内の場合は農業委員会への届出〕

 都市計画法の「市街化調整区域・非線引き区域・準都市計画区域内の農林漁業を営む者の住宅における開発許可不要の制度(都市計画法第29条2号)」と混同しないように注意しましょう。

農家が2a未満の農地農作物の育成・養畜のための農業用施設(温室の建築など)供する場合は自己転用の4条の許可は不要です。

4.「非農家であるサラリーマンが退職後農地を耕作の目的で取得する場合は

農地法第3条第1項の許可を受けることができない。」

【正解:×

◆新しく農業に従事する場合の3条許可

 たとえサラリーマンであっても農業をする意思及び技能、労働力(世帯員)そ

の他があると認められれば耕作目的で50アール(北海道内は2ヘクタール)

以上の農地であれば取得することができ、同一市町村内なら農業委員会、その

他なら都道府県知事の許可がもらえます。

◆3条許可の審査

農地法第3条許可申請が当該農地の所在する市町農業委員会へ提出されますと、農業委員会、または、県知事は、次のような点について審議し、許可・不許可を決定します。

1.取得者(その世帯員)が取得農地の全てで農業経営を行うのかどうか。

・経営計画が妥当なのか。

・取得する資金があるのか。

・取得面積を経営できるだけの機械設備があるのか。

2.取得者(その世帯員)が農作業に常時従事するかどうか。

3.取得後の農地面積が50a以上かどうか。

(都府県では50a未満、北海道では2ha未満は許可になりません。

  市町村によって異なることがあります。)

4.取得者(その世帯員)が取得農地を効率的に利用するかどうか。

・住居地から15 km(一定の要件を満たせば30 km)以内に農地があるのか。

<用語>非農家であるサラリーマン

 この言葉を見てプッと笑いませんでした? 宅建の試験では、難しい用語がよく出てくるのですが、こういう言葉を使うこともあるのです。本設問は平成4年・問26肢4でした。

5.「農家が住宅の改築に必要な資金を銀行から借りるため、自己所有の農地

に抵当権を設定する場合は、農地法第3条の許可を受ける必要はない。」

【正解:

◆抵当権設定は、3条の許可の必要な権利移動には該当しません。


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