法令上の制限 基礎編

農地法に関する問題4

正解・解説


【正解】

× × × ×

次のそれぞれの記述は、農地法の規定によれば○か、×か。

1.「市街化区域内の農地を耕作の目的に供するため取得する場合、あらかじ

め農業委員会に届出をすれば、農地法の許可は不要である。」

【正解:×

◆耕作の目的→農地の取得

 市街化区域とは、市街化を優先すべき区域なので、農地を宅地にするため取得する

場合 (転用目的の農地の取得)は、あらかじめ農業委員会に届出をすれば、農地法

5条の許可は不要です。

 しかし、農地を耕作の目的に供するために取得する場合は、農地法3条の許可

必要です。

●類題
1.「市街化区域内にある農地の所有権を取得しようとする場合、取得後、農地として耕作する目的であるか、農地を農地以外に転用する目的であるかにかかわらず、あらかじめ農業委員会に届け出れば足り、農地法の許可を受ける必要はない。」H2-26-3

【正解:×

 耕作目的の農地の取得→3条の許可を必要とする。

 農地以外に転用する目的の取得→あらかじめ農業委員会に届け出れば許可は要らない。(5条1項6号)

2.「4ヘクタールを超える採草放牧地を宅地に転用する場合、農林水産大臣

の許可を受けなければならない。」

【正解:×

◆採草放牧地の転用

 4ヘクタールを超える農地を宅地に転用する場合は農林水産大臣の許可を受

けなければなりません。

 しかし、採草放牧地を宅地に転用する場合は、その面積には関係なく、農地

法の制限はなく、無許可で勝手に転用できます。

 4条は、「自己所有の農地の転用」だけを規制しているからです。

3.「4ヘクタールを超える採草放牧地を宅地にするため取得する場合、都道

府県知事の許可を受ければよい。」

【正解:

◆採草放牧地の転用目的の権利移動

 4ヘクタールを超える農地と併せて採草放牧地が宅地にするため移転される

ときは農林水産大臣の許可を受けなければなりません。

 しかし、農地を含まない「採草放牧地“のみ”を宅地にするため移転される

場合」は、その面積にかかわらず、都道府県知事の許可で足ります。 

<参考類題>

「ゴルフ練習場の建設の用に供するため、4 ha 以下の農地と併せて採草放牧地を

取得しようとする場合は、当該採草放牧地の面積の広さに関係なく、都道府県知事

の許可を受ける必要がある。」

【正解:

 4haを超える農地と併せて採草放牧地が転用のため移転→農林水産大臣の許可

 4ha以下の農地と併せて採草放牧地が転用のため移転→都道府県知事の許可

4.「競売により農地の所有権を取得した場合、農地法の許可を受ける必要は

ない。」

【正解:×

◆3条の許可

 競売により農地を取得した場合であっても、同一市町村内なら農業委員会、

他市町村なら都道府県知事の許可を受ける必要があります。

<問題文の内容>

競売により農地の所有権を取得→転用とは書いていない。

5.「農地法第4条の許可を要する農地の転用について、当該許可を受けない

でした行為は、その効力を生じない。」

【正解:×

◆4条の許可を受けないとき

 第3条及び第5条の場合は、権利が移転されるので、許可のない移転はその

効力を生じません。

 しかし、第4条の場合は、自己の所有する農地を勝手に自分用の宅地等に転

用したことであり、すでに転用の事実は生じているため、いまさら無効として

も意味はなく相当の期間を定めて原状回復その他の是正措置(工事の停止な

ど)が命じられることになります。


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