法令上の制限 基礎編
農地法に関する問題5
正解・解説
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | × | ○ |
次のそれぞれの記述は、農地法の規定によれば○か、×か。 |
1.「農作物を収穫した後の数ヶ月だけ資材置場として賃貸する場合、営農に
支障がなければ、農地法による許可を受ける必要はない。」
【正解:×】
◆シツコイ? カザリ文句は・・・ 農地を農地以外のものにするため賃借権(地上権・質権・使用貸借権など、使 用収益を目的とする権利も同じ扱い)を設定するときは、営農に支障があるか どうかなどのカザリ文句には関係なく、都道府県知事(農地面積が4ヘクター ル超は農林水産大臣)の許可が必要です。 |
2.「農業者が山林原野を取得して農地として造成する場合でも、農地法第3条の
許可が必要である。」
【正解:×】
◆山林→農地 の権利移転は、農地法の許可不要 山林原野は農地でも、また採草放牧地でもないため、その取得には、目的が 何であろうと、農地法の制限は受けず、農地法での許可は不要です。 (逆に、山林原野を取得して農地にすることは、農地法のもう一つの目的である 「食糧増産」に寄与することです。)
【農地法・3条の基本】 農地又は採草放牧地について、所有権を移転したり地上権又は賃借権を設定 する場合は、農地法の第1の目的である「地主制度を監視」するため、第3条 の許可が必要です。 なお、採草放牧地を取得して農地にする場合でも、農地法第3条の許可が必要 であることに注意しましょう。 <参考> 国土利用計画法では、農地を農地として転売されるときは届出は不要ですが 農地法では届出が必要です。 農地法の目的(=第3条の地主制度の監視、第4条と第5条の食糧増産)と 国土利用計画法の目的(=宅地価格等の監視)が明らかに異なっておりますの で、両者をキチンと区別して理解しましょう。 |
3.「市町村が転用目的で農地を取得する場合、その農地の所在及び転用目的の
いかんにかかわらず、農地法の許可を要しない。」
【正解:×】
◆市町村が転用目的で農地を取得するには原則として許可が必要 市町村が農地を取得する場合は、原則として許可を要します。 しかし、市町村が道路の拡幅などのために農地を取得する場合は、許可は不要です。…例外規定(施行規則第53条6号) →「道路・河川の敷地に供する目的で取得する場合」 →「土地収用法の収用適格事業の敷地に供する目的で取得する場合」 |
●国・都道府県 | ||||||||
●農地法4条
国・都道府県が,道路,農業用用排水施設その他の地域振興上又は農業振興上の必要性が高いと認められる施設であつて農林水産省令で定めるものの用に供するため,農地を農地以外のものにする場合は,農地法4条の許可は不要です(農地法4条1項2号)。 国・都道府県が農地を農地以外のものにしようとする場合(農地法4条1項で許可不要とされているものを除く。)は,国又は都道府県と都道府県知事との協議(4ha を超える農地を農地以外のものにする場合には、農林水産大臣との協議)が成立することをもって同項の許可があったものとみなす(農地法4条5項)。
●農地法5条
国又は都道府県が、道路,農業用用排水施設その他の地域振興上又は農業振興上の必要性が高いと認められる施設であつて農林水産省令で定めるものの用に供するため,農地や採草放牧地についての権利を取得する場合は,農地法5条の許可は不要です(農地法5条1項1号)。 国又は都道府県が,農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のものにするため,これらの土地について権利を取得しようとする場合(農地法5条1項で許可不要とされているものを除く。)は,国又は都道府県と都道府県知事との協議(4haを超える農地又はその農地と併せて採草放牧地について権利を取得する場合には,農林水産大臣との協議)が成立することをもって農地法5条1項の許可があったものとみなす(農地法5条4項)。 |
●農地法施行規則 28条 - 農地法4条・5条 |
(地域振興上又は農業振興上の必要性が高いと認められる施設) 第28条 法第4条第1項第2号の農林水産省令で定める施設は、国又は都道府県が設置する道路、農業用用排水施設その他の施設で次に掲げる施設以外のものとする。 一 学校教育法第1条に規定する学校、同法第124条に規定する専修学校又は同法第134条第1項に規定する各種学校の用に供する施設 二 社会福祉法による社会福祉事業又は更生保護事業法による更生保護事業の用に供する施設 三 医療法第1条の5第1項に規定する病院、同条第2項に規定する診療所又は同法第2条第1項に規定する助産所の用に供する施設 四 多数の者の利用に供する庁舎で次に掲げるもの イ 国が設置する庁舎であつて、本府若しくは本省又は本府若しくは本省の外局の本庁の用に供するもの ロ 国が設置する地方支分部局の本庁の用に供する庁舎 ハ 都道府県庁、都道府県の支庁又は地方事務所の用に供する庁舎 ニ 警視庁又は道府県警察本部の本庁の用に供する庁舎 五 宿舎(職務上常駐を必要とする職員又は職務上その勤務地に近接する場所に居住する必要がある職員のためのものを除く。) |
4.「市街化区域外の農地を6カ月間貸して臨時駐車場にする場合は、その後
農地として利用するときでも、農地法第5条の許可を得る必要がある。」
【正解:○】
◆農業以外の目的の賃貸借 農地を農地以外のものとして賃貸借契約をするということは、農地法で制限 される権利を転用目的で権利を移動するする行為にあたります。 本問の場合、農地の所在地は“市街化区域外”であるため、その期間にかか わらず農地法の“許可”が必要です。 <農業の目的での賃貸借> これは3条の許可になります。 |
<類題> 「建設業者が農地を工事期間中資材置場として借り受け、工事完了後速やかに 農地に復元して返還する場合、農地法第5条の許可を要しない。」 【正解:×】 ◆農業以外の目的の賃貸借 農地を農地以外のものとして賃貸借契約をするということは、農地法で制限 される権利を転用目的で権利を移動するする行為にあたります。 |