法令上の制限 基礎編

農地法に関する問題6

農地法の考える問題

正解・解説


【正解】

× × × ×

次のそれぞれの記述は、農地法の規定によれば○か、×か。

1.「農地法上必要な許可を受けないで、農地の賃貸借をした場合は、その賃貸借

の効力が生じないから、賃借人は、その農地を利用する権利を有することにならない。」

【正解:

 この問題は、結構引っかかる人が多いと思います。民法の問題と同じように考えてしまうからです。農地法は単なる手続の問題を訊いているに過ぎません。

 基本的な事項に還元してみましょう。

 無許可の場合→契約に効力なし

 農地の賃貸借農地法第3条の許可を要する

 勿論、このケースで全く民法が介在しないわけでもありません。農地法の存在を知らずに、契約してしまった賃借人のケースなどでは、補償や不法利得の問題も出てくると思います。しかし、本設問はそのような事後処理について尋ねているわけではなく、農地法の手続を訊いているのです。

<宅建の試験の落とし穴>

 宅建の試験では、このテの問題が多いです。
訊いている内容そのものはごく基本的なものなのに、
カザリに惑わされてしまうのです

農地・採草放牧地の賃貸借は「引渡しをもって第三者への対抗要件とする」という規定(農地法16条1項)がありますが,これは≪第三者への対抗要件≫であり,本肢での契約の効力発生要件と混同してはいけません。

2.「賃貸住宅を建てるため一度農地法の許可を受けた農地を、その後工事着工前

に賃貸住宅用地として売却する場合、改めて農地法の許可を受ける必要がある。」

【正解:

 賃貸住宅を建てるために宅地に転用する、ということで4条の許可を得ていながら、

 工事着工前に売却するというのは、転用しないで、農地のママ、住宅用地として売る

ということを意味します。

 つまり、現況農地→宅地への転用のための権利移転と見ることができます。

とすれば、5条の許可は必要です。

<問題文の読み方>

 本設問では、問題文の行間を読む力が試されています。

賃貸住宅を建てるため一度農地法の許可を受けた→4条の許可

工事着工前に売却する→転用しないで、現況農地のママ、売る

改めて農地法の許可→5条の許可

3.「住宅建築のために農地を購入する場合は、原則として農地法第5条第1項の

許可が必要であるが、その取得した農地に住宅を建築するときは、農地を農地以外

のものにすることとなるため、さらに農地法第4条第1項の許可が必要となる。」

【正解:×

 転用目的で農地の所有権を移転する場合は、農地法第5条の許可だけで良く、

農地取得後に改めて第4条の許可は不要です。

 農地法第5条の許可とは

「転用のために農地を取得して、農地を転用する」ための許可

であり、単に「転用のために農地を取得する」だけの許可ではないからです。

4.「農地を取得して転用する場合、取得者が農家であれば農地法第4条第1項の

許可を、農家以外の者であれば第5条第1項の許可を受けなければならない。」

【正解:×

 農地を転用目的で取得する場合は、取得者が農家か否かには関係ありません。

原則として、第5条第1項の許可を受けなければならず、また市街化区域の農地では、

農業委員会への届出で足ります。

5.「土地収用法第3条に規定する事業(土地を収用し、又は使用することができる

事業)である場合、その事業の用に供するための農地の取得については、農地法

第5条第1項の許可を要しない。」

【正解:×

 土地収用法第3条に規定する事業で、同法20条の事業の認定を受けて、土地を強制的に収用または使用する場合(収用などによる使用収益権の取得)には、農地法上の許可は不要です。(農地法第5条第1項5号)

 しかし、土地収用法第3条に規定する事業であっても、単に事業用地として売買等により取得(任意取得)するときには,許可が必要です。(農地法第5条第1項)

 したがって、土地収用法第3条に規定する事業で、その事業の用に供するための農地
の取得というだけでは、許可が必要なケースなのか、不要なケースなのかわからないため、本設問の内容は不適切ということになります。 (出題者としては、取得=任意取得と考えていたのかも知れませんが。)

6.「個人が、宅地に転用するため市街化区域外の農地を売買により取得しようと

する場合において、「農地の所有権を契約締結時から1年以内に移転する」旨の

契約を行おうとするときは、その契約の締結について、あらかじめ農地法第5条

の許可を受ける必要がある。」

【正解:×

 転用目的で権利移転する場合には農地法第5条の許可あるいは市街化区域の農地

の場合は農業委員会への届出が必要です。しかし、このように「農地の所有権を契約

締結時から1年以内に移転する」旨の契約を行おうとするときは、この契約の事前に

許可や届出を必要とするものではありません。(予約に農地法上の許可は要らない)

 このような契約では、農地法の許可を停止条件として「農地の所有権を契約締結時

から1年以内に移転する」ことになると思いますが、この契約締結時から1年以内に

農地法第5条の許可を受けておけばいいことになります。

(本設問では市街化区域外の農地のため、届出ではなく許可) 


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