法令上の制限 基礎編

建築基準法・防火規制の基礎知識

正解・解説


【正解】

×

建築基準法および都市計画法の規定によれば、次の記述は○か、×か。

1.「建築主事は、事務所である建築物について確認をする場合、建築物の工事施工

地又は所在地を管轄する消防長又は消防署長の同意を得なければならない。」

(H10-20-4)

【正解:復習

◆消防同意

 特定行政庁、建築主事又は指定確認検査機関は建築基準法による許可、又は確認をする場合、建築物の工事施工地又は所在地を管轄する消防長又は消防署長の同意を得なければ、原則として、当該許可または確認をすることができない。(93条1項)

 以下に見るように、消防同意がなくても、防火上の安全性を確保できると考えられるものについては、同意の代わりに通知によって処理できるとされています。

 防火・準防火地域以外の区域の1戸建て(住宅の用途以外の用途に供する部分が規定以下ならあってもよい)には、消防長等に対して、建築計画の内容を通知するだけでよく、消防長等からの回答を要しませんが、事務所のみの用途の建築物にはこの通知による処理はできません。

消防同意の通知化●法改正。注意!

同意ではなく通知でよいとされる要件
建築設備 すべて通知
 住宅 ・防火地域・準防火地域以外の区域内

・1戸建て(長屋、共同住宅は不可)

・住宅の用途以外の用途に供する部分の床面積の合計が

 延べ面積の1/2未満又は50平方メートル以下

<参考> 改正前は、建設大臣が指定した規格化住宅、建築士の設計に係るものなども通知の要件としてありましたが、これがなくなり簡素化されました。

消防長などが不同意の場合

 消防長等の不同意の事由が「法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定で建築物の防火に関するもの」でない場合は、この不同意が法律的な根拠がないため、消防等が不同意であっても、建築主事・指定確認検査機関は確認することができます。

2.「耐火建築物とは、主要構造部が<耐火構造であるか、政令で定める技術的

基準に適合するものであること>、その外壁の開口部で延焼のおそれのある

部分に、<防火戸その他の政令で定める防火設備を有すること>、の基準に適合

する建築物をいう。 」

【正解:

◆耐火建築物・準耐火建築物の定義

 建築基準法・2条9のニ、三

主要構造部 外壁開口部
耐火建築物 耐火構造 or

政令で定める技術的基準に

適合するものであること

その外壁の開口部で延焼の

おそれのある部分に、

防火戸その他の政令で定める

防火設備を有すること。

準耐火建築物 準耐火構造 or

同等の準耐火性能を有するものとして

主要構造部の防火の措置その他の

事項について政令で定める

技術的基準に適合するもの

その外壁の開口部で延焼の

おそれのある部分に、

防火戸その他の政令で定める

防火設備を有すること。

(耐火建築物と同じ基準)

3.「延べ面積が2,000平方メートルの準耐火建築物は、防火上有効な構造の防火壁

によって有効に区画し、かつ、各区画の床面積の合計をそれぞれ500平方メートル

以内としなければならない。」(H12-22-4)

【正解:×

◆防火壁(延焼防止対策) 建築基準法26条 

火災になったときの避難、延焼防止のために、この規定はあります。条文では、

延べ面積が千平方メートルを超える建築物は、

防火上有効な構造の防火壁によつて有効に区画し、かつ、

各区画の床面積の合計をそれぞれ千平方メートル以内としなければならない。

しかし、耐火建築物又は準耐火建築物はこの適用を受けません

ほかにも、卸売市場の上家、機械製作工場、畜舎などの用に供する建築物が例外としてありますが、省略しました。

【類題】H11-22-3 (準防火地域の問題 し耐火・準耐火建築物には防火壁が不要

21条 大規模建築物の主要構造部 →H7

22条 22条区域での屋根

23条 22条区域での外壁

24条 22条区域での木造建築物等である特殊建築物の外壁など

25条 大規模の木造建築物等の外壁

26条 防火壁 →H11,12

27条 耐火・準耐火建築物としなければならない特殊建築物 

単体規定といわれている「第2章 建築物の敷地、構造及び建築設備」でも、防火関係の規制がありましたね。余り細かく見ても覚えきれませんが、重要度では、21,22,26条がアタマにいれておく価値はあると思います。

◆大規模建築物の主要構造部が木材、プラスチックなどの可燃材料

 →耐火建築物の主要構造部の規準に適合するものでなければならない

   (一定の耐火構造を要する)←改正点

   床、屋根、階段を除く主要構造部 要求されているもの
「高さ13m超」、

「軒の高さ9m超」

政令で定める部分の全部又は一部に

木材、プラスチックその他の可燃材料

を用いたもの

耐火構造

(防火上必要な政令で定める

技術的基準に適合する

建築物は除く。)

延べ面積
3,000平方m超
耐火構造

政令で定める部分とは、主要構造部のうち自重又は積載荷重(特定行政庁が指定する多雪区域の建築物の主要構造部では、自重、積載荷重又は積雪荷重)を支える部分

(施行令109条の4)

「高さ13m超」、「軒の高さ9m超」の場合は、構造方法、主要構造部の防火の措置その他の事項について防火上必要な政令で定める技術的水準に適合する建築物は、この限りではない。(法21条1項)→施行令129条2の3

つまり、「高さ13m超」、「軒の高さ9m超」の場合は、2段構えになっています。

  主要構造部 21条1項

  主要構造部 施行令129条2の3

「延べ面積3,000平方m超」には、例外がない事に注意しましょう。

▼この単体規定は、市町村の条例による緩和ができます。

公式> 床・屋根・階段を除く主要構造部=壁・柱・はり

「高さ13m超、軒高9m超の主要構造部は木造等は×」の例外

 上で見たように、構造方法や主要構造部の防火の措置などが、防火上政令で定める技術的基準に適合する建築物(政令で定める用途に供するものを除く)のときは木造などでもよい、とされています。 

主要構造部を木造等とする事ができる大規模建築物の技術的水準

(施行令129条の2の3)

・地階を除く階数が3以下
・主要構造部が準耐火構造
・建物の周囲(道に接する部分を除く)に、幅員が3m以上の通路(例外あり)
・防火壁の設置を要しない建築物の技術的水準
政令で定める用途=倉庫、自動車車庫

木造建築物等で外壁などの防火措置が必要な規模→1,000平方メートル超

    この箇所には法改正があつたため、注意してください!

 延べ面積1,000平方メートルを超える木造建築物などは

外壁・軒裏で延焼の恐れのある部分防火構造

屋根の構造→火の粉による火災の発生を防止するために必要
         とされる性能に関して建築物の構造及び用途の区分に応じて
         政令で定める技術的水準に適合するもので、
         国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの、
         又は国土交通大臣の認定を受けたもの

         (防火地域又は準防火地域内の建築物の屋根の構造)←63条改正

防火措置を求められています。(法25条) 


引き続き、防火地域の問題1を解く

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