法令上の制限 基礎編

開発許可に関する問題

自己の居住用住宅の開発許可基準


【正解】

× × ×

●この項目のガイダンス

 33条の開発許可基準は、大別して、

自己の居住又は自己の業務 の用に供する

その他 (分譲のために宅地造成を行う場合など)

の二つに区分されます。

自己の居住 

又は 

自己の業務

自己の居住 ・開発行為を施行する主体が

 自らの生活の本拠として使用

自然人に限られる

自己の業務 ・当該建築物・特定工作物において、

 継続的に自己の業務に係る経済活動

 行われる

その他    * 他人に譲渡又は使用させることが業務の目的で、

 利用者が開発行為者以外の者となる。

●適用区分による開発許可基準の概略―建築物の場合―
自己の居住用 33条の数項目が適用除外されています

これは、周辺地域に対する影響をチェックすれば十分で

給水施設などは当然自らが整備すると考えられています。

このため、排水施設については許可基準が適用されますが、

給水施設については許可基準は適用されません。

自己の業務用 自己居住に比べ、適用される許可基準が増えます

例えば、公共空地の確保(道路,公園等)、給水施設の技術基準が

適用されます。(自己居住用では適用がない。)

その他 ・利用者が開発行為者以外の者となるため、開発区域は一定水準の

施設等が整備されるように技術的基準の全てが適用されます。

宅建試験の過去問では、

自己居住の住宅建築を目的とする開発行為への基準か尋ねる問題

が出題されています。

ここでは、そのような問題を過去問から集めてみました。

このページの最後に、33条の開発許可基準の幾つかを条文でまとめてありますが、

余りにも細部に渡るため、チラと見ておけば十分と考えます。

●開発許可と基準
市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域、準都市計画区域

 都市計画区域及び準都市計画区域外

29条のどれかに該当 → 開発許可不要

(両区域外では、29条の2項のどれかに該当)

33条の一般的基準に適合 → 開発許可

市街化調整区域

29条のどれかに該当 → 開発許可不要
建築物・第1種特定工作物 33条の一般的基準に適合

かつ34条の基準のどれかに該当 → 開発許可

第2種特定工作物 33条の一般的基準に適合 → 開発許可

 開発行為で、主として、自己の居住の用に供する住宅の建築の用に供する目的で

行うものについて、開発許可を受けようとする場合に関する次の記述のうち、都市

計画法の規定によれば、次の記述は○か、×か。

1.「自己居住用の住宅を建築するために行う開発行為について開発許可を受け

る場合は、道路の整備についての設計に係る開発許可の基準は適用されない。」

【正解:

 自己居住用の住宅建築以外の開発行為では、道路の整備についての設計に係る開発許可基準が適用されます。(33条1項2号)

◆建築物へのこの基準の適用(道路の整備)

自己居住用 適用ナシ
自己業務用 適用あり
その他 適用あり

2.「給水施設が、開発区域について想定される需要に支障を来さないような構造

及び能力で適当に配置されるように設計が定められていないときは、開発許可を

受けることができない。」

【正解:×

 自己居住用の住宅建築・特定工作物以外の開発行為では、この開発許可基準が

適用されます。

(33条1項4号)

◆建築物へのこの基準の適用(給水施設の設計)

自己居住用 適用ナシ
自己業務用 適用あり
その他 適用あり

 ⇔対比

 排水路その他の排水施設の設計は自己居住用の住宅建築の開発行為にも適用されます。(33条1項3号)

3.「申請者に当該開発行為を行うために必要な資力及び信用がないときは、開発

許可を受けることができない。」

【正解:×

 自己居住用の住宅建築、自己用特定工作物建設以外の開発行為では、この開発許可基準が適用されます。

(33条1項12号)

◆建築物へのこの基準の適用(資力・信用)

自己居住用 適用ナシ
自己業務用 1 ha 以上には、適用あり
その他 適用あり

4.「開発区域内に建築基準法第39条第1項に規定する災害危険区域が含まれて

いるときは、開発許可を受けることができない。」

【正解:×

 自己居住用の住宅建築、自己用特定工作物建設以外の開発行為では、この開発許可基準が適用されます。自己居住用の住宅建築の開発行為では、この基準が適用されないというのは覚えておく必要があります。

開発区域内に災害危険区域地すべり防止区域土砂災害特別警戒区域その他政令で定める開発行為を行うのに適当でない区域内の土地を含まないこと。ただし、開発区域及びその周辺の地域の状況等により支障がないと認められるときは、この限りでない。

(33条1項8号)

◆建築物へのこの基準の適用(災害危険区域等)

自己居住用 適用ナシ
自己業務用 適用ナシ
その他 適用あり

 ⇔対比 以下は自己居住用の住宅建築の開発行為にも適用されます。

開発区域内の土地が、地盤の軟弱な土地、がけ崩れ又は出水のおそれが多い土地その他これらに類する土地であるときは、地盤の改良、擁壁の設置等安全上必要な措置か講ぜられるように設計が定められていること(33条1項7号)

5.「開発区域内の土地について、用途地域が定められている場合で、予定建築物

の用途がこれに適合していないときは、開発許可を受けることはできない」

【正解:

 この開発許可基準は、自己居住用の住宅建築の開発行為かどうかに係らず、適用されます。

 当該申請に係る開発区域内の土地について、

用途地域、特別用途地区、特定用途制限地域、流通業務地区又は港湾法第39条第1項の分区(「用途地域等」という。)が定められているときは、予定建築物等の用途が当該用途地域等に適合していること。 (33条1項1号)

◆建築物へのこの基準の適用(予定建築物の用途が用途地域等に適合)

自己居住用 適用あり
自己業務用 適用あり
その他 適用あり
●33条1項の許可基準(自己居住用の住宅建築の開発行為に適用されるもの)
当該申請に係る開発区域内の土地について、

用途地域、特別用途地区、特定用途制限地域、流通業務地区又は港湾法第39条第1項の分区(「用途地域等」という。)が定められているときは、予定建築物等の用途が当該用途地域等に適合していること。 (33条1項1号)

当該申請に係る開発区域内の土地について

地区計画、沿道地区計画等が定められているときは、予定建築物等の用途又は開発行為の設計が当該地区計画、沿道地区計画等に定められた内容に即して定められていること。 (33条1項5号)

排水路その他の排水施設が、下水を有効に排出するとともに、その排出によつて開発区域及びその周辺の地域に溢水等による被害が生じないような構造及び能力で適当に配置されるように設計が定められていること。この場合において、当該排水施設に関する都市計画が定められているときは、設計がこれに適合していること。(33条1項3号)
当該開発行為の目的に照らして、開発区域における利便の増進と開発区域及びその周辺の地域における環境の保全とが図られるように公共施設、学校その他の公益的確設及び開発区域内において予定される建築物の用途の配分が定められていること。

(33条1項6号)

開発区域内の土地が、地盤の軟弱な土地、がけ崩れ又は出水のおそれが多い土地その他これらに類する土地であるときは、地盤の改良、擁壁の設置等安全上必要な措置か講ぜられるように設計が定められていること(33条1項7号)

一定の規模以上の開発行為にあっては、環境を保全するため、開発区域に
おける植物の生育の確保上必要な樹木の保存、表土の保全その他の必要な措置が
講ぜられるように設計が定められていなければ、開発許可を受けることができない。
(33条1項9号)

当該開発行為をしようとする土地若しくは当該開発行為に関する工事をしようとする土地の区域内の土地又はこれらの土地にある建築物その他の工作物につき当該開発行為の施行又は当該開発行為に関する工事の実施の妨げとなる権利を有する者の相当数の同意を得ていること(33条1項14号)

<地方公共団体の条例による強化と緩和>

 33条1項の基準を適用する技術的細目は、政令で定めますが、地方公共団体は、環境の保全、災害の防止及び利便の増進を図ることが困難であると認められ、又は当該技術的細目によらなくとも環境の保全、災害の防止及び利便の増進上支障がないと認められる場合においては、政令で定める基準に従い、条例で、当該技術的細目において定められた制限を強化し、又は緩和することができます。

 また、地方公共団体は、良好な住居等の環境の形成又は保持のため必要と認める場合においては、政令で定める基準に従い、条例で、区域、目的又は予定される建築物の用途を限り、開発区域内において予定される建築物の敷地面積の最低限度に関する制限を定めることができます。

 指定都市等及び事務処理市町村以外の市町村は、条例を定めようとするときは、あらかじめ、都道府県知事と協議し、その同意を得なければなりません。


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