税法その他 直前対策編
不動産鑑定評価基準 問題5
●鑑定評価の雑問
正解・解説
この平成7年の問題は、難問。用語の意味をここまで正確に覚えていくのは難しい。
まして、類似のものの記述を区別できるとなると相当な読み込みを必要とする。
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | × | × |
不動産の鑑定評価に関する次の記述は、○か×か。 |
1.「不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も
富む使用を前提として把握される価格を標準として形成されるが、これを最有効
使用の原則という。」H7-33-1
【正解:○】
◆最有効使用の原則 総論・第4・不動産の価格に関する諸原則(四)最有効使用の原則 |
2.「市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする評価目的
の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさない場合における不動産の経済価値を
適正に表示する価格を限定価格という。」H7-33-2 改
【正解:×】
問題文の記述は、特定価格を述べたものです。 ◆限定価格 限定価格とは、市場性を有する不動産について、不動産と取得する他の不動産との併合又は不動産の一部を取得する際の分割等に基づき合理的な市場で形成されるであろう市場価値と乖離することにより、市場が相対的に限定される場合における取得部分の当該市場限定に基づく市場価値を適正に表示する価格をいう。 総論・第5・鑑定評価の基本事項3・鑑定評価によって求める価格又は賃料の種類の確定(一)価格2 限定価格 |
●今回の改定・価格概念の明確化−正常価格、特定価格、特殊価格 |
・正常価格→明確化した。
・特定価格→再定義した。 ・特殊価格→特定価格から分離した。 |
●正常価格−原則 |
市場性を有する不動産について,現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格 |
●限定価格 |
市場性を有する不動産について、不動産と取得する他の不動産との併合又は不動産の一部を取得する際の分割等に基づき合理的な市場で形成されるであろう市場価値と乖離することにより、市場が相対的に限定される場合における取得部分の当該市場限定に基づく市場価値を適正に表示する価格 |
「限定価格」を求める場合の例
・借地権者が底地の併合を目的とする売買に関連する場合 ・隣接不動産の併合を目的とする売買に関連する場合 ・経済合理性に反する不動産の分割を前提とする売買に関連する場合 |
●特定価格 |
市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさない場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格 |
「特定価格」を求める場合の例
・資産の流動化に関する法律又は投資信託及び投資法人に関する法律に基づく評価目的の下で、投資家に示すための投資採算価値を表す価格を求める場合 ・民事再生法に基づく評価目的の下で、早期売却を前提とした価格を求める場合 ・会社更生法又は民事再生法に基づく評価目的の下で、事業の継続を前提とした価格を求める場合等 |
●特殊価格 |
文化財等の一般的に市場性を有しない不動産について、その利用現況を前提とした不動産の経済価値を適正に表示する価格 |
「特殊価格」を求める場合の例 ・文化財の指定を受けた建物若しくは宗教建築物及び現況による管理を継続する公共公益施設の用に供されている不動産の保存等に主眼を置いた評価を行う場合 |
3.「対象不動産の属する地域であって、居住、商業活動等人の生活と活動とに
関し、ある特定の用途に供されることを中心として地域的にまとまりを示している
地域を同一需給圏という。」H7-33-3
【正解:×】
問題文の記述は、近隣地域の記述です。 ◆同一需給圏 同一需給圏とは、一般に対象不動産と代替関係が成立して、その価格の形成について相互に影響を及ぼすような関係にある他の不動産の存する圏域をいう。それは、近隣地域を含んでより広域的であり、近隣地域と相関関係にある類似地域等の存する範囲を規定するものである。 一般に、近隣地域と同一需給圏内に存する類似地域とは、隣接すると否とにかかわらず、その地域要因の類似性に基づいて、それぞれの地域の構成分子である不動産相互の間に代替、競争等の関係が成立し、その結果、両地域は相互に影響を及ぼすものである。 また、近隣地域の外かつ同一需給圏内の類似地域の外に存する不動産であっても、同一需給圏内に存し対象不動産とその用途、規模、品等の類似性に基づいて、これら相互の間に代替、競争などの関係が成立する場合がある。 同一需給圏は、不動産の種類、性格及び規模によってその地域的範囲を異にするものであるから、その種類,性格及び規模に応じて需要者の選好性を的確に把握した上で適切に判定する必要がある。 総論・第6・地域分析及び個別分析一地域分析(三)同一需給圏 |
4.「取引事例等にかかる取引の時点が不動産の鑑定評価を行う時点と異なり、
その間に価格水準に変動があると認められる場合に、当該取引事例等の価格を
価格時点の価格に修正することを事情補正という。」H7-33-4 改
【正解:×】
問題文の記述は、時点修正を述べたものです。 ◆事情補正 取引事例等に係る取引等が特殊な事情を含み、これが当該取引事例等に係る価格等に影響を及ぼしているときは適正に補正しなければならない。 (1) 現実に成立した取引事例等には、不動産市場の特性、取引等における当事者双方の能力の多様性と特別の動機により売り急ぎ、買い進み等の特殊な事情が存在する場合もあるので、取引事例等がどのような条件の下で成立したものであるかを資料の分析に当たり十分に調査しなければならない。 (2) 特殊な事情とは、正常価格を求める場合には、正常価格の前提となる現実の社会情勢の下で合理的と考えられる諸条件を欠くに至らしめる事情のことである。 総論・第7・鑑定評価の方式、一価格を求める鑑定評価の手法 (一)試算価格を求める場合の一般的留意事項 3 事情補正 |
●価格時点 |
価格形成要因は,時の経過により変動するものであるから,不動産の価格はその判定の基準となった日においてのみ妥当するものである。したがって,不動産の鑑定評価を行うに当たっては,不動産の価格の判定の基準日を確定する必要があり,この日を価格時点という。また,賃料の価格時点は,賃料の算定の期間の収益性を反映するものとしてその期間の期首となる。
価格時点は,鑑定評価を行った年月日を基準として現在の場合〔現在時点〕,過去の場合〔過去時点〕及び将来の場合〔将来時点〕に分けられる。 総論・第5章 鑑定評価の基本事項 二 価格時点の確定 |