法令上の制限 基礎編
建築基準法・建築協定
過去問アーカイブス 昭和60年・問23
建築協定に関する次の記述のうち,建築基準法の規定によれば,正しいものはどれか。(昭和60年・問23) |
1.「建築協定を締結するには,原則として,当該土地協定区域内の土地の所有者及び借地権者の全員の合意が必要である。」 |
2.「建築協定の効力は,原則として,当該協定区域内の土地の所有者及び借地権者に及ぶが,建築協定の目的となっている建築物の借主には及ばない。」 |
3.「特定行政庁の認可を受けた建築協定を廃止するときは,当該建築協定の効力が及ぶ土地所有者及び借地権者の全員の合意が必要である。」 |
4.「認可の公告のあった建築協定の効力は,その公告のあった日以後,当該協定区域内の土地の所有者となったものには及ぶが,借地権者となったものには及ばない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | × | × |
1.「建築協定を締結するには,原則として,当該土地協定区域内の土地の所有者及び借地権者の全員の合意が必要である。」 |
【正解:○】 ◆建築物の所有を目的とする地上権者・賃借権者の合意も必要 建築協定は,土地所有者だけではなく,借地権者(建築物の所有を目的とする地上権または賃借権を所有する者)の全員の合意も必要とします。(70条3項) ▼建築協定は,原則として土地の所有者及び借地権者の全員の合意が必要であるが,借地権が設定されている土地の部分については借地権者の合意だけで足りる。 |
2.「建築協定の効力は,原則として,当該協定区域内の土地の所有者及び借地権者に及ぶが,建築協定の目的となっている建築物の借主には及ばない。」 |
【正解:○】 ◆建築物の借主にも及ぶ 建築協定の効力は,原則として,当該協定区域内の土地の所有者及び借地権者に及ぶます。(75条) 建築協定の目的となっている建築物に関する基準が建築物の借主の権限に係る場合には,その借主にも建築協定の効力が及びます。(77条) |
3.「特定行政庁の認可を受けた建築協定を廃止するときは,当該建築協定の効力が及ぶ土地所有者及び借地権者の全員の合意が必要である。」 |
【正解:×】 ◆建築協定の廃止 建築協定の廃止は,当該建築協定の効力の及ぶ土地所有者および借地権者の過半数の同意で定めることができます。(76条1項) 廃止の合意の後,これを特定行政庁に申請してその認可を受けなければなりません。 |
4.「認可の公告のあった建築協定の効力は,その公告のあった日以後,当該協定区域内の土地の所有者となったものには及ぶが,借地権者となったものには及ばない。」 |
【正解:×】 ◆建築協定認可の公告日以後に土地所有者等になった者にも及ぶ 建築協定の効力は,建築協定を認可した旨の公告,また建築協定の変更を認可した旨の公告のあった日以後に当該協定区域内の土地所有者等〔借地権者も含まれる〕になった者にも及びます。(75条) |
●認可公告の日以後に建築協定に加わる手続等 |
・建築協定区域内の土地の所有者で当該建築協定の効力の及ばないものは,建築協定の認可等の公告のあった日以後いつでも,特定行政庁に対して書面でその意思を表示することによって,当該建築協定に加わることができる。(75条の2第1項) |
・建築協定区域隣接地の区域内の土地所有者等は,建築協定の認可等の公告のあった日以後いつでも,当該土地に係る土地の所有者等の全員の合意により,特定行政庁に対して書面でその意思を表示することによって,建築協定に加わることができる。
ただし,当該土地の区域内の借地権が設定されている土地の部分については借地権者の合意だけで足りる。(75条の2第2項) |