法令上の制限 基礎編

建築制限に関する問題1

工事完了公告前・用途地域の定められていない区域の建築制限

正解・解説


【正解】

× × ×

次のそれぞれの記述は、都市計画法の規定によれば○か、×か。

1.「開発許可を受けた開発区域内の土地においては、工事完了の公告があ

るまでの間、建築物の建築又は特定工作物の建設は一切行えない。」(頻出なので注意)

【正解:×

 ◆開発許可を受けた土地について工事完了公告までの間の制限

 原則として、建築物の建築または特定工作物の建築をすることはできませ

んが、“例外として”建築できるものもあります。

ア.工事用の仮設建築物・特定工作物の建築

イ.都道府県知事が支障がないと認めたもの

ウ.開発行為に同意をしていない者が建築する建築物

●開発許可を受けた区域内の建築物の建築及び特定工作物の建設の禁止
第37条  開発許可を受けた開発区域内の土地においては、前条第3項の公告があるまでの間は、建築物を建築し、又は特定工作物を建設してはならない。ただし、次の各号の一に該当するときは、この限りでない。

1 当該開発行為に関する工事用の仮設建築物又は特定工作物を建築し、又は建設するとき、その他都道府県知事が支障がないと認めたとき。

2 第33条第1項第14号に規定する同意をしていない者が、その権利の行使として建築物を建築し、又は特定工作物を建設するとき。

2.「開発行為を受けた開発区域内の土地においては、当該開発行為に関する

工事が完了した旨の公告があるまでの間は、都道府県の知事の許可を受けなけ

れば分譲することができない。」

【正解:×

 建築制限はありますが、分譲禁止という規定はありません。

3.「開発行為を受けた開発区域内の土地においては、開発行為の工事完了の

公告前であっても、当該開発行為に同意していない土地の所有者は、その権利

行使として自己の土地において建築物を建築することができる。」

【正解:

 設問文の記述の通りです。(都市計画法37条2項)

▼工事完了公告後の建築制限

4.「都道府県知事は、用途地域の定められていない土地の区域について、開発

許可をする場合において、必要があると認めるときは、建ぺい率等を制限することは

できるが、建築物の高さに関する制限を定めることはできない。」(頻出なので注意)

【正解:×

 都道府県知事は、用途地域の定められていない土地の区域における開発行為について開発許可をする場合において必要があると認めるときは、

 建築物の建ぺい率、

 建築物の高さ、

 壁面の位置

 その他建築物の敷地、構造及び設備に関する制限

を定めることができます。(法41条1項)

5.「用途地域の定められていない土地の区域における開発行為について

建築物に制限を定めた場合であっても、都道府県知事の許可があれば制限

を超える建築物の建築をすることができる。」 

【正解:

 設問文の記述の通りです。(都市計画法41条2項)

 また、市街化区域、市街化調整区域の区域区分をするのは都道府県です。

「制限」は知事の管轄となりますので、知事が認めればOKです。

【許可基準】

 当該区域及びその周辺の地域における環境の保全上支障がないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可したときはOK。

6.「都道府県知事は、市街化調整区域における開発行為について開発許可を

する場合に当該開発区域内の土地について建築物の高さに関する制限を定め

たときは、その制限の内容を開発登録簿に登録しなければならない。」 

類・平成9年問19肢2

【正解:

◆開発登録簿の登録事項

 設問文の記述の通りです。(都市計画法47条1項5号)

  → 開発登録簿の登録事項の解説参照 

▼開発登録簿の登録事項  上のページですでに説明してありますが、再登場。

5.41条1項の規定による制限の内容(用途地域の定められていない土地の区域

における開発許可をする場合に、都道府県知事が必要と認めた制限。建ぺい率、

建築物の高さ、壁面の位置その他建築物の敷地、構造及び設備に関する制限)

「市街化調整区域における開発行為」というと、思わず身構えてしまいます。しかし、

本問は、市街化調整区域も「用途地域の定められていない土地の区域」であることに

気がつかないと、問題の趣旨がつかめません。

 市街化調整区域における開発行為

        ↓

 用途地域の定められていない土地の区域における開発行為

【コメント】この問題は、受験者が落としやすいものと思われます。 法改正前は、

条文に市街化調整区域という表現があったので、知らないという人はいなかったと

思いますが、法改正により表現が変わったため、うーんと唸る人はいると思います。

下のまとめをご覧ください。↓

●都市計画法 法改正がありました!
第41条  

1 都道府県知事は、用途地域の定められていない土地の区域における開発行為について開発許可をする場合において必要があると認めるときは、当該開発区域内の土地について、建築物の建ぺい率、建築物の高さ、壁面の位置その他建築物の敷地、構造及び設備に関する制限を定めることができる。

 2   前項の規定により建築物の敷地、構造及び設備に関する制限が定められた土地の区域内においては、建築物は、これらの制限に違反して建築してはならない。ただし、都道府県知事が当該区域及びその周辺の地域における環境の保全上支障がないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可したときは、この限りでない。

◆41条で法改正がありました!

【改正前】 市街化調整区域または未線引き区域(用途地域の定められていない区域)

          ↓

【改正後】 用途地域の定められていない土地の区域

       市街化調整区域の用途地域の定められていない区域

       非線引き区域の用途地域の定められていない区域

       準都市計画区域の用途地域の定められていない区域

       都市計画区域及び準都市計画区域外で開発許可の場合

   この四つが該当する事になるので注意してください。

   イメージを正確に把握することが必要です。

▼都市計画区域及び都市計画区域外

 これは、「都市計画区域でも準都市計画区域でもない区域」という意味です。

基本書によっては、「両区域外」という表現をしているものもあります。

≪整理≫

◆都市計画区域の指定→都道府県または国土交通大臣

◆都市計画の決定→市町村(2つ以上の市町村にまたがるときは都道府県)

            国土交通大臣および市町村(2つ以上の都府県にまたがるとき)

◆市街化区域・市街化調整区域の区域区分→都道府県

・東京・大阪・名古屋およびその周辺の都市計画区域(法7条1項1号)

・指定都市の区域の全部又は一部を含む都市計画区域(法7条1項2号、施行令第3条)

は線引き(区域区分を義務化しています。

 (註) 指定都市については、参照→http://www.soumu.go.jp/cyukaku/migi5.html

 これ以外の都市計画区域では、都道府県が区域区分するかどうかを判断します。

◆用途地域の指定 原則=市町村(2つ以上の市町村にまたがるときは都道府県)

 市街化区域=少なくとも用途地域を定める

 市街化調整区域原則として用途地域を定めない

             (×市街化調整区域では用途地域を定めることができない)

 非線引き区域=用途地域を定めることができる

 準都市計画区域=用途地域を定めることができる

 都市計画区域外(準都市計画区域を除く)=用途地域を定めることはできない


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