法令上の制限 基礎編

建築制限に関する問題3

都市計画施設の区域内の建築制限

正解・解説


【正解】

×

次のそれぞれの記述は、都市計画法の規定によれば○か、×か。

1.「都市計画施設の区域内において建築物の建築をしようとする者は、原則と

して都道府県知事等の許可を受けなければならない。」(H3-19-2)

【正解:

 許可不要の建築物もありますが、原則は設問文の記述の通りです。(53条1項)

 なお、都市計画施設の区域における制限は、「市街地開発事業の施行区域

」の制限と同じです。

   ↓

(その“制限”とは…)許可基準(法54条)

1.当該建築が、都市計画施設又は市街地開発事業に関する都市計画のうち建築物について定めるものに適合するものであること

2.階数が2以下(2階建て以下)で地階(地下室)を持たず

主要構造部木造・鉄骨造・コンクリートブロック造その他これに類する構造で、

容易に移転・除去できる建築物で、

「都道府県知事等の許可を受けたものに限り」

建築(新築・増築)できる。

3.都市計画施設の区域について都市施設を整備する立体的な範囲が定められている場合において、立体的な範囲外において行われ、かつ、当該都市計画施設を整備する上で著しい支障を及ぼすおそれがないこと

 ただし、都市計画法第55条に以下の記述があります。

「都道府県知事等は、都市計画施設の区域内の土地でその指定したものの区域又は市街地開発事業(土地区画整理事業、及び新都市基盤整備事業を除く」の施行区域(事業予定地という。)内において行われる建築物の建築については、前条の規定にかかわらず、第53条の第1項の許可をしないことができる

都市計画施設

 「道路や公園などの都市施設で、それを作ることが都市計画で決定されたもの」

のことをいいます。

都市施設って何?都市計画法11条1項

・道路、都市高速鉄道、駐車場、自動車ターミナルなどの交通施設

・公園、緑地、広場、墓園その他の公共空地

・ 水道、ガス供給施設、電気供給施設、下水道、汚物処理場、ごみ焼却場

  その他の供給施設又は処理施設

・河川、運河その他の水路

・学校、図書館、研究施設その他の教育文化施設

・病院、保育所その他の医療施設又は社会福祉施設

・市場、と畜場又は火葬場

一団地の住宅施設(一団地における50戸以上の集団住宅及びこれらに附帯する

             通路その他の施設をいう)

一団地の官公庁施設(一団地における国家機関又は地方公共団体の建築物

              及びこれらに附帯する通路その他の施設をいう)

流通業務団地

その他政令で定める施設

≪ちなみに―復習≫

 都市計画は、都市計画区域内で定めるのが原則ですが、都市施設については

特に必要があるときは都市計画区域外でも定めることができます。

2.「都市計画施設の区域内において、木造2階建てで地階を有せず、かつ、容易に

移転又は除去できると認められる建築物の建築をしようとするときは、都道府県知事等の

許可を受ける必要がない。」(類・H9-17-3)

【正解:×

 「許可を受ける必要がない」というのは誤り。

 54条では、

「都道府県知事等は・・・(適合しているものには)許可をしなければならない

となっており、許可が不要であるとは言っていません

 許可不要と混同している人をヒッカケル問題です。

3.「都市計画施設の区域について都市施設を整備する立体的な範囲が定められて

いる場合において、当該都市計画施設内の区域で建築物の建築の許可の申請が

あったとき、都道府県知事等が許可する基準として、当該立体的な範囲外において

行われ、かつ、当該都市計画施設を整備する上で著しい支障を及ぼすおそれが

ないこと(ただし、当該立体的な範囲が道路である都市施設を整備するものとして

空間について定められているときは、安全上、防火上及び衛生上支障がないもの

として政令で定める場合に限る。)がある。

【正解:

 都市計画施設内の区域で建築物の建築をしようとする者は、本設問のような制限を受けます。

1.都市施設を整備する立体的な範囲

 道路・河川その他の政令で定める都市施設については、適正かつ合理的な土地利用を進めるために必要があるときは、当該都市施設の区域の地下又は空間について、当該都市施設を整備する立体的な範囲を都市計画に定めることができます。(11条3項)

 また、地下に立体的な範囲を定めるときは、併せて

 当該立体的な範囲からの離隔距離の最小限度及び載荷重の最大限度(当該離隔距離に応じて定めるものを含む)

も定めることができます。(11条3項)

2.都市計画施設の区域について都市施設を整備する立体的な範囲が定められている場合において、都市計画施設内の区域で建築物の建築の許可の申請があったとき、当該申請が次に該当するときは、都道府県知事は、その許可をしなければなりません。

 ・当該建築が、当該立体的な範囲外において行われ、かつ、当該都市計画施設を整備する上で著しい支障を及ぼすおそれがないと認められること

 ただし、当該立体的な範囲が道路である都市施設を整備するものとして空間について定められているときは、安全上、防火上及び衛生上支障がないものとして政令で定める場合に限ります。 (54条2号)

 また、地下に当該立体的な範囲が定められていて、かつ当該立体的な範囲からの離隔距離の最小限度及び載荷重の最大限度(当該離隔距離に応じて定めるものを含む)が定められている場合で、当該離隔距離の最小限度及び載荷重の最大限度に適合するものは、都道府県知事の許可はいらないものとされています。(53条1項4号)

●都市計画法での「都市計画施設等の区域内における建築の規制」
第3章 都市計画制限等

 第2節 都市計画施設等の区域内における建築の規制

第53条  (建築の許可)

 1  都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事等の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。

1.政令で定める軽易な行為→【施行令】第37条

2.非常災害のため必要な応急措置として行う行為

3.都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為

 →【施行令】第37条の2

4.第11条第3項後段の規定により離隔距離の最小限度及び載荷重の最大限度が定められている都市計画施設の区域内において行う行為であつて、当該離隔距離の最小限度及び載荷重の最大限度に適合するもの  →【令】第37条の3

5.第12条の5第8項又は都市再開発法第7条の8の2第4項に規定する都市計画施設である道路の区域のうち建築物等の敷地として併せて利用すべき区域内において行う行為であつて、当該都市計画施設である道路を整備する上で著しい支障を及ぼすおそれがないものとして政令で定めるもの

 2   第42条第2項の規定は、前項の規定による許可について準用する。

 3   第1項の規定は、第65条第1項に規定する告示があつた後は、当該告示に係る土地の区域内においては、適用しない。

第54条  (許可の基準)

 都道府県知事等は、前条第1項の規定による許可の申請があつた場合において、当該申請が次の各号のいずれかに該当するときは、その許可をしなければならない。

1.当該建築が、都市計画施設又は市街地開発事業に関する都市計画のうち建築物について定めるものに適合するものであること。

2.当該建築が、第11条第3項の規定により都市計画施設の区域について都市施設を整備する立体的な範囲が定められている場合において、当該立体的な範囲外において行われ、かつ、当該都市計画施設を整備する上で著しい支障を及ぼすおそれがないと認められること。ただし、当該立体的な範囲が道路である都市施設を整備するものとして空間について定められているときは、安全上、防火上及び衛生上支障がないものとして政令で定める場合に限る。

3.当該建築物が次に掲げる要件に該当し、かつ、容易に移転し、又は除却することができるものであると認められること。

 イ 階数が2以下で、かつ、地階を有しないこと。

 ロ 主要構造部(建築基準法第2条第5号に定める主要構造部をいう。)が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であること。

第55条  (許可の基準の特例等)

 1 都道府県知事等は、都市計画施設の区域内の土地でその指定したものの区域又は市街地開発事業(土地区画整理事業及び新都市基盤整備事業を除く。)の施行区域(以下次条及び第57条において「事業予定地」という。)内において行なわれる建築物の建築については、前条の規定にかかわらず、第53条第1項の許可をしないことができる。ただし、次条第2項の規定により買い取らない旨の通知があつた土地における建築物の建築については、この限りでない。

 2   都市計画事業を施行しようとする者その他政令で定める者は、都道府県知事等に対し、前項の規定による土地の指定をすべきこと又は次条第1項の規定による土地の買取りの申出及び第57条第2項本文の規定による届出の相手方として定めるべきことを申し出ることができる。 【施行令】第38条

 3   都道府県知事等は、前項の規定により土地の指定をすべきことを申し出た者を次条第1項の規定による上地の買取りの申出及び第57条第2項本文の規定による届出の相手方として定めることができる。

 4   都道府県知事等は、第1項の規定による土地の指定をするとき、又は第2項の規定による申出に基づき、若しくは前項の規定により、次条第1項の規定による土地の買取りの申出及び第57条第2項本文の規定による届出の相手方を定めるときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公告しなければならない。

第56条  (土地の買取り)

 1  都道府県知事等(前条第4項の規定により、土地の買取りの申出の相手方として公告された者があるときは、その者)は、事業予定地内の土地の所有者から、前条第1項本文の規定により建築物の建築が許可されないときはその土地の利用に著しい支障をきたすこととなることを理由として、当該土地を買い取るべき旨の申出があつた場合においては、特別の事情がない限り、当該土地を時価で買い取るものとする。

 2   前項の規定による申出を受けた者は、遅滞なく、当該土地を買い取る旨又は買い取らない旨を当該土地の所有者に通知しなければならない。

 3   前条第4項の規定により土地の買取りの申出の相手方として公告された者は、前項の規定により土地を買い取らない旨の通知をしたときは、ただちに、その旨を都道府県知事等に通知しなければならない。

 4   第1項の規定により土地を買い取つた者は、当該土地に係る都市計画に適合するようにこれを管理しなければならない。


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