税法その他 基礎編
印紙税の問題4 賃貸に絡むもの
正解・解説
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
○ | ○ | × | × | ○ |
印紙税に関する次の記述は○か、×か。 |
お断り・不動産の賃借に関しては、現時点で、一般的とされる解説にとどめています。
1.「<月額家賃10万円、契約期間2年間、敷金30万円とする>旨を記載した建物
の賃貸借契約書については、印紙税は課税されない。」H2-30-1 改
【正解:○】
◆建物の賃貸借契約書 <一般的な解答例> 一般的に、建物の賃貸借契約書に印紙税は課税されません。(不課税文書) 現在は、原則として、印紙税の課税対象にはなっていないからです。 また、敷金(後日、契約終了時に返還されるもの)が建物賃貸借契約書に記載されていても、原則として、印紙税は課税されない事になっています。 ただし、契約内容―建設協力金などがある―によっては、消費貸借とみなされ、建物の賃貸借契約書とは言え、契約書が課税文書になり印紙税がかかる場合もあります。印紙税課税の判断基準が標題ではなく、契約内容であるためです。この場合は、1号の3文書に該当し、記載金額は建設協力金などの金額になります。 建物の賃貸借は、契約形態がさまざまであり、それに応じて印紙税の課税も異なっています。店舗や貸家というだけの区分けではまだ不十分です。しかし、宅建の試験では、ここまで細かな知識が要求されているとも思えませんので、原則と例外の概略を押さえておくだけで十分なものと思われます。 |
<豆知識> ハヒフヘホの不課税
不課税と聞いて、「アレ?非課税じゃないの?」 と思ったかもしれません。 宅建の試験には出ませんが、非課税と不課税には違いがあります。 不課税と言うのは、「そもそも課税対象ではない」ということで、 非課税と言うのは、「本来、課税対象だが、課税しない」という意味だそうです。 … 国税庁の方から、教えていただきました。 |
2.「建物の賃貸借契約に際して敷金を受け取り、敷金の領収書(記載金額100万円)
を作成した場合、その領収書に<賃借人が退去する際に返還する>旨が記載され
ているときでも、印紙税は課税される。」H12-27-1
【正解:○】
◆建物の賃貸借契約での敷金の領収書 敷金の領収書、記載金額100万円→課税 <注意> 領収書と契約書を区別。 本設問は、賃貸借契約書と領収書の混同を狙った問題です。 |
3.「マンションの賃貸借契約に係る手付金10万円を受領した旨を記載した領収書
には、印紙税は課税されない。」H9-28-3
【正解:×】
◆建物賃貸契約での手付金の受領書(17号の1) これは、売上代金に係る金銭の受取に該当します。 本設問では、手付金となっていますが、内金、内入金となっていても同じ扱いです。 手付金の領収書、記載金額 10万円→課税 <注意> 領収書と契約書を区別。 |
4.「<月額賃料20万円、契約期間2年間、権利金100万円、保証金100万円とする>
旨を記載した土地の賃貸借契約書については、記載金額680万円の土地の賃借権
の設定に関する契約書として、印紙税が課税される。」H2-30-4
【正解:×】
◆土地の賃貸借契約書―土地の賃借権設定の対価に課税(1号の2) <一般的な解答例> 印紙税の課税対象=契約時に授受されるもののみが課税対象になります。 後で返還されるものは含みません。 このため、本問の場合、少なくとも、680万円全額ではありません。 1) 土地の月額賃料(使用収益の対価)は、記載金額からは外すからです。 2) 本設問では、保証金の性格がどのようなものかによって扱いは異なりますが、 賃貸借契約の終了時に返還されるものとすれば、印紙税の課税対象ではない為、 記載金額としては、権利金の100万円ということになります。 ◆本設問では、権利金=賃借権設定の代価 としています。 |
5.「<地上権存続期間50年、地上権設定の対価1億円、地代年 2,000万円とする
>旨の地上権設定契約書は、記載金額1億円の地上権の設定に関する契約書と
して、印紙税が課税される。」H4-29-3
【正解:○】
◆土地の地上権の契約書(1号の2) 地上権設定の契約書、地上権設定の対価1億円 よって、本問の記述の通りになります。 地代は、使用収益の対価のため、課税されません。 |
●平成元年に課税廃止になった文書(不課税文書)
・建物賃貸借契約書 ・貸室賃貸借契約書 ・不動産の仲介 ・永小作権、質権、地役権、抵当権の設定 |
●不動産賃貸借契約書のまとめ | |
建物の賃貸借契約書 | 原則として、不課税、
敷金も課税されない |
地上権・土地の賃借権の設定、譲渡 | 記載金額 権利金 or 設定代価
地代には課税されない 後で返還されるものは含まない |