税法その他 基礎編
登録免許税の問題0 登録免許税の基本的なしくみ
正解・解説
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
× | ○ | ○ | ○ | × |
登録免許税に関する次の記述は○か、×か。 |
1.「売買による所有権移転登記の登録免許税の課税標準となる不動産の価額とは、
登記原因発生時の価額のことである。」
【正解:×】
◆所有権移転登記の登録免許税の課税標準 課税標準となる不動産の価額は、登記申請時点の価額です。 この問題文では、「登記原因発生時の価額」となっているため、不適切です。 1) また、不動産の上に所有権以外の権利その他処分の制限が存するときは、当該権利その他処分の制限がないものとした場合の価額によります。(例・土地の上に地上権があるときでも、地上権が設定されていない場合の価額とします) 2) 課税標準となる不動産の価額=登記申請時点の価額は、当分の間、固定資産課税台帳の登録価格を基にすることになっており、以下のようになっています。
<参考> 登記申請日の属する区分とは? ・1月1日〜3月31日に登記申請→その年の前年の12月31日現在の登録価格 ・4月1日〜12月31日に登記申請→その年の1月1日現在の登録価格 (登録免許税法・附則7条、施行令附則3項) |
◆誰が負担するか(納税義務者)
税法上は、登記等を受ける者。2名以上のときは、連帯して納付する義務があります。 売買等の所有権移転登記では売主と買主に連帯納付義務があります。(→実務上は、通常、買主負担です。登記によって対抗力を得るのは買い主なので、取引慣行上それが合理的だと考えられているからです) もちろんどちらが支払うか、という当事者間での特約は認められています。この特約と税法上の条文を混同してはいけません。 |
●類題 |
「借地権の設定がしてある土地の課税標準である価格は,その借地権の設定がないものとした場合の価額による。(登録免許税の問題)」(昭和51年改) |
【正解 : ○】登録免許税法10条1項後段 |
2.「質権又は抵当権の設定登記の登録免許税の課税標準は、債権金額(根抵当
の場合は極度金額)である。」
【正解:○】
◆質権又は抵当権の設定登記の登録免許税の課税標準 本設問文の記述の通りです。 |
3.「登録免許税は登記等を受ける者が納税するものであるが、登録免許税法
別表第1に掲げられていない表示の登記や増築などによる表示の変更登記を
する場合には課税対象にはならない。」
【正解:○】
◆非課税となる表示登記 本設問文の記述の通りです。 ちなみに、登録免許税法の「登記等」は、下の豆知識に出てくるものを全部ひっくるめて |
4.「所有権の登記のある不動産の表示の変更又は更正の登記のうち、土地の分筆
又は建物の分割若しくは区分による表示の変更の登記の場合は、分筆又は分割
若しくは区分後の不動産の個数を課税標準とし、土地又は建物の合併による表示
の変更の登記の場合は、 合併後の不動産の個数を課税標準とし、定額課税となる。」
【正解:○】
◆定額課税となるもの 本設問文の記述の通りです。この場合、一個につき\1,000となります。 定額課税では、課税標準は「不動産の個数」になります。 この場合、不動産の個数×\1,000 が税額になります。 登録免許税は、課税標準×税率=税額 となる定率課税と定額課税と二通りに分かれています。 <番外知識> 定額課税になるものとしては、ほかに不動産登記関係では、 ・地役権の設定登記(承役地の不動産一個につき、\1,500) ・登記の抹消(土地又は建物の表示の登記の抹消を除く。一個につき\1,000) などがあります。 |
5.「登録免許税の納税地は、納税義務者の住所地の登記等の事務をつかさどる
登記所その他の官署又は団体の所在地とする。」
【正解:×】
◆納税地 登録免許税は、原則として、納付の基因となる登記等を受ける時までに納付 しなければなりませんが、 その納税地とは、電子情報処理組織による登記等の申請等の場合を除いて、「納税義務者が受ける登記等の」事務をつかさどる登記所その他の官署又は団体の所在地です。(登録免許税法・8条) 本設問文では、「納税義務者の住所地」となっているため、不適切です。 |
●登録免許税の豆知識 |
一口に登録免許税と言っても、いろんな課税対象があります。
登録免許税は、課税範囲としては、不動産の登記だけではなく、商業登記もありますし、免許・特許・許可・認可・指定・技能証明などにも課税されます。(登録免許税は不動産、船舶、会社、動産、人の資格などについての登記・登録・特許・許可・認可・指定・技能証明について課税されます。) 変わったところでは、航空機や馬主の登録などもあります。空を飛ぶ航空機にも抵当権や根抵当がかけられているというのはナルホドですが、司法書士や弁理士などの登録にも、登録免許税はかけられています。 例えば、これまで学習してきたものとの関連では、登録免許税は、商業登記での「未成年者の営業登記又は後見人の営業登記」や、宅建業者が国土交通大臣免許を受けるときにも課税されます。(成年後見登記には、登録免許税はかかりません。) 登録免許税については→http://www.taxanser.nta.go.jp/7191.HTM |