法令上の制限 基礎編

都市計画法(概容)に関する問題1

都市計画

正解・解説


【正解】

×

次のそれぞれの記述は、都市計画法の規定によれば○か、×か。

1.「都市計画とは、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るための土地利

用、都市施設の整備、及び市街地開発事業に関する計画のことである。」

【正解:

 設問文の記述の通りです。(都市計画法・第4条1項)

<関連>

◆都市計画法の目的と基本理念

 (1)目的(都市計画法・第1条)

   日本国土のバランスよい発展と、公共の福祉の増進に寄与する。

  第1条 この法律は、都市計画の内容及びその決定手続都市計画制限
      都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、
      都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展
      公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

 (2)基本理念(都市計画法・第2条)

   a. 農林漁業との健全な調和

   b. 健康で文化的、機能的な都市生活

   c. 土地の合理的な利用

    →"「市街地」と「農林漁業地」とをうまくバランスとらせよ"

【重要】すべての都市計画区域にマスタープランを策定

 都市計画区域については、都市計画に、当該都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(マスタープラン)を定めるものとする。(都市計画法・第6条の2)

◆都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(マスタープラン)

 都市計画法・第6条の2 第2項

都市計画区域の整備、開発及び保全の方針には、次に掲げる事項を定めるものとする。

 1.都市計画の目標

 2.次条第1項に規定する区域区分の決定の有無及び当該区域区分を定めるときはその方針

  (市街化区域と市街化調整区域との区分(「区域区分」といいます)の有無は、

  マスタープランで規定されることになりました。)

 3.前号に掲げるもののほか、土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する主要な都市計画の決定の方針

2.「都市計画は、商工業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市

生活及び機能的な都市活動を確保すべきことを基本理念として定めるものと

する。」

【正解:×

 商工業との調和ではなく、「農林漁業」との調和です。

3.「都市計画区域について定められる都市計画(都市計画区域外に定められる都市

施設に関するものを含む)は、当該都市計画区域の整備、開発、及び保全の方針に

即したものでなければならない。」

【正解:

 「市街化区域」「市街化調整区域」「そのどちらでもない区域」と区分け(線引き)

しただけでは、美しい街づくりとはいえません。

 どのように美しくしていくのかを、設問文の記述のように都市計画にもり

こむ必要があります。

 当該都市計画区域の整備、開発、及び保全の方針のことをマスタープランと

呼んでいます。

【改正による主な変更】

 都市計画区域について定められる都市計画(都市計画区域外に定められる都市施設に関するものを含む)

 という表現になりました。

 これは、都市計画区域外に準都市計画区域が創設されたことによる混同を防ぐ意味で、都市計画区域外にある、11条で規定されている都市施設が「都市計画区域について定められている都市計画」に基づくものであることを明示するために規定したものです。

 都市計画区域外に定められる都市施設は、「区域外都市施設」とも言います。

4.「都市計画区域について定められる都市計画(区域外都市施設に関するもの

を含む。)は、都市再開発の方針、住宅市街地の開発整備の方針、拠点業務

市街地の開発整備の方針、防災街区整備方針のうち、必要なものを定めるもの

とし、都市計画は、この都市再開発方針等に即したものでなければならない。」

【正解:

第7条の2  (都市再開発方針等)

第1項 都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる方針(以下「都市再開発方針等」という。)で必要なものを定めるものとする。

1.都市再開発法(昭和44年法律第38号)第2条の3第1項又は第2項の規定による都市再開発の方針

2.大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法(昭和50年法律第67号)第3条の6第1項の規定による住宅市街地の開発整備の方針

3.地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律(平成4年法律第76号)第30条の規定による拠点業務市街地の開発整備の方針

4.密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律(平成9年法律第49号)第3条第1項の規定による防災街区整備方針

第2項   都市計画区域について定められる都市計画(区域外都市施設に関するものを含む。)は、都市再開発方針等に即したものでなければならない。

5.「都道府県は、都市計画区域について、おおむね5年ごとに都市計画に関する

基礎調査として、人口規模・産業分類別の就業人口の規模・市街地の面積・土地

利用・交通量その他国土交通省で定める事項に関する現況及び将来の見通しに

ついての調査を行い、この基礎調査の結果を関係市町村に通知しなければならない。」

【正解:

 本問の記述の通りです。(法6条1項、2項)

6条3項としては、

 国土交通大臣は、この法律を施行する為必要があると認めるときは、

都道府県知事に対し、第1項の規定による基礎調査の結果について必要な報告

を求めることができる 

 となっています。

 国及び地方公共団体は、都市の住民に対し、都市計画に関する知識の普及及び情報の提供に努めなければならない。

 この規定は、最近の改正で、新たに追加されたものです。(都市計画法・第3条・3項)
これは、もともと、第3条2項で、

 都市の住民は、国及び地方公共団体がこの法律の目的を達成するため行なう措置に協力し、良好な都市環境の形成に努めなければならない。

 となっていますが、そうはいっても、都市計画制度は複雑多岐にわたり、一般の住民にはわかりにくいものになっています。
 このため、都市計画への住民参加を促進させる為には、国及び地方自治体が都市計画の知識の普及や情報の提供に取り組むように、と規定しました。

●都市計画の決定・変更の提案制度の創設 (都市計画法・第21条の2)

【決定・変更を提案できる者】第21条の2・第1項、第2項

 都市計画区域又は準都市計画区域のうち、一体として整備し、開発し、又は保全すべき土地の区域としてふさわしい政令で定める規模以上の一団の土地の区域について、

・当該土地の所有権又は建物の所有を目的とする対抗要件を備えた地上権もしくは賃借権 (一時使用のため設定されたものを除くを を有する土地所有者等は、一人で、又は数人共同して、

まちづくりの推進を図る活動を行うことを目的として設立されたNPO法人(特定非営利活動促進法での特定非営利活動法人)もしくは民法34条の法人またはこれに準じるものとして地方公共団体の条例で定める団体

は、都道府県又は市町村に対し、都市計画 (都市計画区域の整備、開発及び保全の方針並びに都市再開発方針等に関するものを除く での決定又は変更をすることを提案できる。提案するときには、当該提案に係る都市計画の素案を添えなければならない。

【計画提案】第21条の2・第3項

 計画提案は、次に掲げるところに従って、国土交通省令で定めるところにより行うものとする。

1 当該計画提案に係る都市計画の素案の内容が、第13条(都市計画基準その他のと法令の規定に基づく都市計画に関する基準に適合するものであること

2 当該計画提案に係る都市計画の素案の対象となる土地 (国又は地方公共団体の所有している土地で公共施設の用に供されているものを除く) の区域内の土地所有者等の2/3以上の同意 (同意した者が所有するその区域内の土地の地積と同意した者が有する借地権の目的となっているその区域内の土地の地積の合計が、その区域内の土地の総面積と借地権の目的となっている土地の総面積との合計の2/3以上となる場合に限る) を得ていること。

【参考】まちづくりNPO

 平成12年3月末  549団体

 平成13年3月末 1,273団体


都市計画法(概容)・次の問題2を解く

都市計画法(概容)のトップに戻る

法令上の制限・基礎編のトップに戻る