法令上の制限 基礎編
都市計画法(概容)に関する問題4
市街化区域、市街化調整区域、非線引き都市計画区域
正解・解説
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 | |
× | × | ○ | ○ |
次のそれぞれの記述は、都市計画法の規定によれば○か、×か。 |
1.「都市計画は、都市の無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図る
ため、すべての都市計画区域を区分し、市街化区域及び市街化調整区域を定
めるものとする。」★
【正解:×】 すべての都市計画区域が区分けをされているわけではありません。 市街化を抑制すべき、市街化調整区域を設けるほどのこともない、発展が 非活発的な都市では、区分けされていない、つまり、市街化区域でも市街化 調整区域でもない区域もあります。 平成13年5月18日の改正施行により、線引きするかどうか(市街化区域及び 市街化調整区域を定める)は、原則として都道府県が地域の実情に応じて、 判断し、マスタープラン(正式名:「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」)で 定められることになりました。 都市計画法の条文でも、以下のようになっています。(第7条) 都市計画区域について無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図る ため必要があるときは、都市計画に、市街化区域及び市街化調整区域との 区分を定めることができる。 |
◆非線引き区域 (区域区分が定められていない区域)
これまでは、都市計画法本則では、都市計画区域はすべて市街化区域と市街化調整区域に線引きすることとしながらも、附則で、当分の間は大都市等政令で定めた都市計画区域のみ適用する、としていました。つまり、線引きするかどうかは、原則としては、国が定める仕組みになっていました。これにより、市街化区域と市街化調整区域にまだ線引きされていない区域という意味で「未線引き区域」と呼んでいたわけです。 ところが、改正後は、市街化区域と市街化調整区域に線引きする(「区域区分」といいます)かどうかは、原則として、都道府県が地域の実情を踏まえて、マスタープラン(都市計画区域の整備、開発及び保全の方針)の中で判断する仕組みに変わりました。つまり、線引きするかどうかは、都道府県の選択に任されることになったのです。 ただ、 1)首都圏整備法に規定する既成市街地又は近郊整備地帯 2)近畿圏整備法に規定する既成都市区域又は近郊整備区域 3)中部圏開発整備法に規定する都市整備区域 4)大都市に係る都市計画区域として政令で定めるもの(政令指定都市) (註) 指定都市については、参照→ http://www.soumu.go.jp/cyukaku/migi5.html この四つは、ひきつづき、区域区分を義務付けています。(都市計画法7条1項) これにより、従来の未線引き区域という呼び名は、非線引き区域に変わりました。 未→まだ、線引きしていない、これから線引きするかも知れない 非→そもそも、線引きそのものをしていない ◆用語の変更 改正前と改正後で、用語が変わっています。宅建の試験でも、改正後の用語名で 出題されるので、注意が必要です。
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2.「市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域であり、市街化調
整区域は、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域を
いう。」
【正解:×】 ◆市街化区域と市街化調整区域 [1] 無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため、指定した都市計 画区域を、更に区分けして、「市街化区域」「市街化調整区域」 「区域区分が定められていない区域」に分ける。 [2] 市街化区域 すでに市街地を形成している区域が当然含まれ、更に今後「おおむね10 年以内」に優先的かつ計画的に市街化した方がよい区域を加えるものとする。 →だから、積極的に建物を建てさせるべき区域とする [3] 市街化調整区域 市街化を抑制するべき区域とする。 →だから、“原則として”なるべく建物を建てさせない区域 |
3.「市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以
内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とし、市街化調整区域は、市
街化を抑制すべき区域とする。」
【正解:○】 設問文の記述の通りです。 |
●豆知識・市街化区域 |
都市計画法・施行令・第8条
区域区分に関し必要な技術的基準は、次に掲げるものとする。 1.すでに市街地を形成している区域として市街化区域に定める土地の区域は、相当の人口及び人口密度を有する市街地その他の既成市街地として国土交通省令で定めるもの並びにこれに接続して現に市街化しつつある土地の区域とすること。 2.おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域として市街化区域に定める土地の区域は、原則として、次に掲げる土地の区域を含まないものとすること。 イ 当該都市計画区域における市街化の動向並びに鉄道、道路、河川及び用排水施設の整備の見通し等を勘案して市街化することが不適当な土地の区域 ロ 温水、湛水、津波、高潮等による災害の発生のおそれのある土地の区域 ハ 優良な集団農地その他長期にわたり農用地として保存すべき土地の区域 ニ 優れた自然の風景を維持し、都市の環境を保持し、水源を涵養し、土砂の流出を防備する等のため保全すべき土地の区域 3. 区域区分のための土地の境界は、原則として、鉄道その他の施設、河川、海岸、がけその他の地形、地物等土地の範囲を明示するのに適当なものにより定めることとし、これにより難い場合には、町界、字界等によること。 |
4.「都市計画において定める地域地区は適正な都市環境を保持するよう、
市街化区域については少なくとも用途地域を定めなければならないが、市街
化調整区域については原則として用途地域を定めない。」★
【正解:○】 市街化区域と市街化調整区域に分けたら、次に市街化区域を美しい街並等 にすべく「用途地域」等を定めます。 (都市計画区域外でも、市町村が準都市計画区域を指定し、必要であれば、 その区域内に、「用途地域」を定めることができます。) ◆どこに用途地域を定められるのか 「都市計画区域内」 ・市街化区域………………………………◎(必ず定める) ・市街化調整区域…………………………原則として× <絶対に定めない>のではありません。 ・区域区分が定められていない区域……○(定められる) 「都市計画区域外」 ・準都市計画区域……………………………○(定められる) ・両区域外…………………・・………………× <関連URL> 用途地域 http://www2u.biglobe.ne.jp/~katana/youtochiiki.htm (改正施行前の記述になっています。↑) |