法令上の制限 基礎編
都市計画法(概容)に関する問題9
地域地区
正解・解説
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
○ | × | × | × | × |
6 |
ア=都道府県、イ=市町村 |
次のそれぞれの記述は、都市計画法の規定によれば○か、×か。 |
1.「高層住居誘導地区は第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、
近隣商業地域又は準工業地域で容積率が10分の40または10分の50と定められた
地域のうち、住居と住居以外の用途とを適正に配分し、利便性の高い高層住宅の
建築を誘導する地区である。」
【正解:○】 高層住居誘導地区は、 ・住居と住居以外の用途とを適正に配分、 ・利便性の高い高層住宅の建設を誘導する この2つが狙いになっています。 高層住居誘導地区を定めるときには、次の事項も定めることになります。 [1] 容積率の最高限度 [2] 建ぺい率の最高限度 [3] その建築物の敷地面積の最低限度(あまり狭い土地ではデキナイ) ▼高層住居誘導地区は,三大都市圏・指定都市の都市計画区域では都道府県,それ以外の都市計画区域では市町村が,都市計画で定めます。 |
2.「被災市街地復興推進地域は、特に必要があるとき、当該都市計画区域
外にも定めることができる。」
【正解:×】 特に必要があるとき、当該都市計画区域外においても定めることができるも のは、原則として「都市施設(公共施設を含み、更に大きな意味で都市に必 要な各施設)」のみです。 |
3.「風致地区は、都市の風致を維持するために定める地区であり、風致地区内での
建築物の建築についての規制は、すべて都道府県がその条例で、定める。」
【正解:×】 風致地区は、10ha以上で二つの市町村にわたるもの→都道府県、 それ以外→市町村 が都市計画で定め(都市計画法15条1項5号、施行令第9条第1項2号)、風致地区内での建築物の建築などの規制は、10ha以上で二以上に市町村にわたる風致地区は都道府県、それ以外の風致地区は市町村が条例で定めます。(風致地区内における建築等の規制の基準を定める政令2条) 【都市計画法】 風致地区内における建築物の建築、宅地の造成、木竹の伐採その他の行為については、政令で定める基準に従い、地方公共団体の条例で、都市の風致を推持するため必要な規制をすることができる。(58条1項) |
●過去問類題 |
1.「風致地区は、都市の風致を維持するために定める地区とされている。」
【正解:○】都市計画法9条21項そのままの問題文。 |
2.「風致地区に関する都市計画は、市町村が定める。」 【正解:×】再掲載 風致地区は、10ha以上で二以上の市町村にわたるもの→都道府県、 それ以外→市町村 |
3.「風致地区は、必要があるときは、都市計画区域内だけでなく、準都市計画区域内にも定めることができる。」 【正解:○】法改正 風致地区は、都市計画区域内に、また、都市計画区域外の準都市計画区域内に、 必要があれば、定めることができます。 法改正前は、都市計画区域外には、風致地区を定めることはできませんでしたが、 都市計画区域外に準都市計画区域が創設された事により、これが変更になりました。 風致地区だけでなく、景観地区も都市計画区域内だけでなく、準都市計画区域内に 定めることができます。 |
4.「特別用途地区とは、一定の地区における当該地区にふさわしい土地利用の
増進、環境の保護などの特別の目的の実現を図るため定める区域であり、用途
地区が定められていない区域において定められるものである。」(H7-19-1、H3-18-2)
【正解:×】 特別用途地区は、用途地域内に定められますが、地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等のニーズに対応するためのものです。 用途地域+「特別用途地区」=用途規制の強化又は緩和を行うことにより、 きめ細かな用途制限を実現。 特別用途地区は従来11種類のワクに限定されていましたが、平成10年6月の法改正により11種類の限定が廃止され、地域の特色を活かし、地区における土地利用の現況及び動向を勘案して柔軟に定めることができるようになりました。 この地区の規制は、当該用途地域の目的の範囲内で地方公共団体の条例で 定めます。
<まとめ> 用途地域外には定められないもの→高度地区・高度利用地区・特別用途地区 用途地域には定められないもの→特定用途制限区域 |
5.「特別用途地区は、土地の利用の増進、環境の保護などを図るため定める地区
であることから、その区域内においては、用途地域で定める建築物の用途に関する
制限を強化することはできるが、制限を緩和することはできない。」(H10-17-2)
【正解:×】 特別用途地区では、地区指定の目的に応じた建築物の建築制限または禁止を 地方公共団体の条例で定める事ができます。したがって、特別用途地域の名称が 同じでも地方公共団体によって規制内容が異なる場合があります。 また、国土交通大臣の承認を得て、地方公共団体の条例で、 用途地域内の建築物の用途制限を緩和することもできます。 <特別用途地区の制限のまとめ>
▼用途地域の制限内容は都市計画法と建築基準法による全国一律の制限です。 しかし、特別用途地区は、その地区の位置を都市計画に定め、制限内容は建築基準法(第49条第1項)に基づき地方公共団体の条例で定めます。 |
●過去問類題 |
1.「特別用途地区は,文教地区,観光地区などの11類型の総称であり,主として用途地域による用途規制を強化したり,緩和することにより当該地区の特性にふさわしい特別の目的の実現を図るものである。」(平成14-18-3) |
【正解:×】 この表現は、平成10年の法改正前の記述です。宅建試験の問題設定では『正しいものはどれか』という設定であったため、法改正を知らなかった方はこれを○と判断した人もいるかもしれません。いわば、知っているかどうかの『踏絵』をしていたことになります。(この肢を含む問18の自己採点での正答率は5割強に過ぎませんでした。) |
6.( )内に適切な語を入れよ。
「原則として、市街化区域・市街化調整区域の区分〔区域区分〕に関する都市計画は
( ア )が定め、防火・準防火地域に関する都市計画は( イ )が定める。」
【正解:ア=都道府県、イ=市町村】 ◆ 原則として 「都市計画区域」 「“市街化区域”と“市街化調整区域”の区域区分の有無及び当該区域区分を定めるときはその方針」(区域区分しないときは“非線引き都市計画区域”になる) の指定は都道府県が定めます。 ◆ 「防火地域又は準防火地域」は、 市町村が定める都市計画 であることくらいは現時点では覚えておきましょう。 ◆「用途地域(12種類あり)」は、ケースにより、都道府県・市町村・国土交通大臣と 決定権者が別れます。 |
都市計画の決定権者 | ||
* | 都道府県 | 市町村 |
地域地区 |
・風致地区(10ha以上で二以上の 市町村の区域にわたるもの) ・特別緑地保全地区 ・緑地保全地域(二以上の市町村の ・臨港地区 ・歴史的風土特別保存地区 ・流通業務地区 |
・用途地域
・高層住居誘導地区 ・特別用途制限地域 ・特別用途地区 ・高度地区 ・高度利用地区 ・特定街区 ・防火地域及び準防火地域 ・景観地区(旧・美観地区) ・風致地区(左記以外) ・特別緑地保全地区(左記以外) ・緑地保全地域 ・生産緑地地区 ・ 特定防災街区整備地区 ・特例容積率適用地区 |
市街地開発事業 | ・右記以外 | ・3ha以下の防災街区整備事業
・3ha以下の市街地再開発事業 ・20ha以下の住宅街区整備事業 ・50ha以下の土地区画整理事業 |
都道府県が
決定権者 |
・市街化区域・市街化調整区域
の区域区分 市街地開発 ・市街地開発事業予定区域(原則) |
* |
市町村が
決定権者 |
* | 促進区域
地区計画等 遊休土地転換利用促進地区 被災市街地復興推進地域 |
都市施設 | 広域的見地から決定すべき
都市施設 ・国道、都道府県道 ・空港 等 |
左記以外の都市施設 |
準都市計画区域
※ |
都道府県が区域を定めます。
準都市計画区域内では, 都道府県の定めることができる 都市計画を定めることができる。 |
準都市計画区域内では, 市町村の定めることができる 都市計画を定めることができる。 |
※4 準都市計画区域では,用途地域,特別用途地区,特定用途制限地域,高度地区,景観地区,風致地区,伝統的建造物群保存地区,緑地保全地域のうち,必要なものを都市計画で定めることができる(都市計画法8条2項)。 |
●都道府県の定める地域地区 |
都市再生特別地区,臨港地区(重要港湾に係るもの),歴史的風土特別保存地区,第一種及び第二種歴史的風土保存地区,緑地保全地域,近郊緑地特別保全地区,航空機騒音障害防止地区又は航空機騒音障害防止特別地区,10ha以上で二以上の市町村の区域にわたる風致地区・特別緑地保全地区(近郊緑地保全地区を除く。)、緑地保全地域(二以上の市町村の区域にわたるものに限る。)、 |
●景観法 |
(景観地区に関する都市計画) 第61条 市町村は、都市計画区域又は準都市計画区域内の土地の区域については、市街地の良好な景観の形成を図るため、都市計画に、景観地区を定めることができる。 2 景観地区に関する都市計画には、都市計画法第八条第三項第一号及び第三号に掲げる事項のほか、第一号に掲げる事項を定めるとともに、第二号から第四号までに掲げる事項のうち必要なものを定めるものとする。この場合において、これらに相当する事項が定められた景観計画に係る景観計画区域内においては、当該都市計画は、当該景観計画による良好な景観の形成に支障がないように定めるものとする。 一 建築物の形態意匠の制限 二 建築物の高さの最高限度又は最低限度 三 壁面の位置の制限 四 建築物の敷地面積の最低限度 (建築物の形態意匠の制限) 第62条 景観地区内の建築物の形態意匠は、都市計画に定められた建築物の形態意匠の制限に適合するものでなければならない。ただし、政令で定める他の法令の規定により義務付けられた建築物又はその部分の形態意匠にあっては、この限りでない。 ▼改正前に定められた美観地区は改正後の景観地区とみなす。(景観法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律・附則・2条) |