法令上の制限 実戦篇
建築基準法の過去問アーカイブス 平成元年・問20
建ぺい率の制限が適用されない場合
建築基準法第53条の規定による建築物の敷地面積に対する割合の制限 (以下この問いにおいて「建ぺい率の制限」という。)に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成元年・問20改) |
1.「防火地域内で,かつ,準工業地域内にある耐火建築物については,建ぺい率の制限は適用されない。」 |
2.「公園内にある建築物で,特定行政庁が,安全上,防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものについては,建ぺい率の制限は適用されない。」 |
3.「用途地域の指定のない区域内にある建築物で,安全上,防火上及び衛生上支障のないものについては,建ぺい率の制限は適用されない。」 |
4.「街区の角にある敷地で特定行政庁が指定するものの内にある耐火建築物については,建ぺい率の制限は適用されない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | × | × |
1.「防火地域内で,かつ,準工業地域内にある耐火建築物については,建ぺい率の制限は適用されない。」 |
【正解:×】 ◆防火地域+耐火建築物 ⇒ 建ぺい率8/10以外の区域では1/10の加算
本肢の条件だけでは建ぺい率の制限が適用されないとは言えません。 確かに,準工業地域内でも都市計画で建ぺい率の限度が8/10と定められていて,かつ,防火地域内の耐火建築物の場合は確かに建ぺい率の制限は適用されません。 しかし,準工業地域内で建ぺい率の限度が8/10と定められていない場合では,<防火地域内にある耐火建築物>は1/10が加算されるだけだからです(建築基準法・53条3項1号)。
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2.「公園内にある建築物で,特定行政庁が,安全上,防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものについては,建ぺい率の制限は適用されない。」改 |
【正解:○】 ◆公園などの内にある建築物で特定行政庁が許可したもの 建ぺい率の最高限度の規定は良好な都市環境を保つためのものですから,建ぺい率の制限の規定を適用しなくても防火上・環境上の問題がない以下のような場合には,適用されません。
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●原題 |
2.「公園内にある建築物で,安全上,防火上及び衛生上支障がないものについては,建ぺい率の制限は適用されない。」 |
【正解:×】原題は○でした。しかし,その後の法改正により,建ぺい率の制限は適用されないのは,「公園内にある建築物+特定行政庁が安全上,防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したもの」〔特定行政庁の許可が加わった。〕なので,本肢は現在では○とは言えません。 |
3.「用途地域の指定のない区域内にある建築物で,安全上,防火上及び衛生上支障のないものについては,建ぺい率の制限は適用されない。」 |
【正解:×】 ◆用途地域の指定のない区域 用途地域の指定のない区域は,非線引き都市計画区域内・市街化調整区域・準都市計画域内にあり,ここでも建ぺい率の最高限度についての規定があります。 用途地域の指定のない区域内の建築物の建ぺい率の最高限度は,3/10 〜 7/10のうち,特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定めます。(建築基準法53条1項6号) 用途地域の指定のない区域内の建築物でも,肢2の要件を満たしている場合では,建ぺい率の制限は適用されませんが,本肢のような規定はありません。 |
4.「街区の角にある敷地で特定行政庁が指定するものの内にある耐火建築物については,建ぺい率の制限は適用されない。」 |
【正解:×】 ◆角地+特定行政庁の指定 ⇒ +1/10 街区の角にある敷地〔又はこれに準じる敷地〕で特定行政庁が指定する敷地の内にある建築物は,都市計画で定められた建ぺい率の最高限度に1/10を加えたものにすることができますが(建築基準法53条3項1号),建ぺい率の制限が適用されないということではないので,誤りです。 |