法令上の制限 実戦篇

建築基準法の過去問アーカイブス 平成元年・問20 建築確認・防火地域


都市計画区域内の木造2階建て,延べ面積200平方メートル,高さ6mの一戸建ての住宅の建築等に関する次の記述のうち,建築基準法上誤っているものはどれか。(平成元年・問20)

1.「大規模の模様替をしようとする場合,建築主事の確認を受ける必要はない。」

2.「新築をする場合,検査済証の交付を受けた後でなければ使用してはならない。

3.「防火地域内においては,建築することができない。」

4.「共同住宅に用途変更をする場合,建築主事の確認を受ける必要がある。」

【正解】

×

1.「大規模の模様替をしようとする場合,建築主事の確認を受ける必要はない。」

【正解:

◆一般建築物の修繕や模様替では建築確認は要らない

 この問題の建築物は<木造2階建て,延べ面積200平方メートル,高さ6mの住宅>なので,『木造の大規模建築物』にも『100平方メートル超の特殊建築物』にも該当しない一般建築物です。

 一般建築物修繕や模様替では,都市計画区域の内外を問わず,建築確認を受ける必要はありません。

●木造の大規模建築物
地階を含む階数が3以上  ⇒  建築確認が必要

 

 新築,*増築,*改築,*移転
 大規模の修繕
 大規模の模様替え
 100平方メートル超の特殊建築物への用途変更

*増築・改築・移転は
 (防火・準防火地域外) 『10平方メートル超』のとき,確認要。
 (防火・準防火地域内) 面積に関係なく,確認が必要。

延べ面積500平方メートル超
高さ13メートル超
軒高9m超

2.「新築をする場合,検査済証の交付を受けた後でなければ使用してはならない。

【正解:×平成元年・問23・肢2,〔検査済証交付前に使用できる場合〕昭和57年・問21・肢4,〔検査の申請から7日を経過したとき〕平成8年・問23・肢4,

◆一般の建築物は完了検査を申請すれば,使用を開始することができる

 一般の建築物〔『100平方メートル超の特殊建築物』・『木造の大規模建築物』・『木造以外の一定規模の建築物』ではないもの〕は,完了検査を申請すれば,原則として,使用を開始することができます。(建築基準法・7条の6第1項)

 肢1より,本問題での建築物は一般建築物なので,完了検査を申請すれば,原則として,使用を開始することができるので,<検査済証の交付を受けた後でなければ使用してはならない>とする本肢は誤りです。

●対比●検査済証の交付を受けるまでの建築物の使用制限
100平方メートル超の特殊建築物』・『木造の大規模建築物』・『木造以外の一定規模の建築物』の新築・増築・改築・大規模の模様替・大規模の修繕の工事では,原則として検査済証の交付を受けた後でなければ使用することができない

例外検査済証の交付がなくても使用できる場合〕(建築基準法・7条の6第1項)

・特定行政庁(完了検査の申請が受理された後は,建築主事)が,安全上,防火上及び避難上支障がないと認めて仮使用の承認をしたとき。

・完了検査の申請が受理された日から7日を経過したとき。

(指定確認検査機関が検査の引受けを行った場合は,工事が完了した日又は検査の引受けを行った日のいずれか遅い日から7日を経過したとき。)

⇒ 厳密には,「避難施設等に関する工事」を含むものをする場合であることに注意。

3.「防火地域内においては,建築することができない。」

【正解:問22の肢1と同じ問題内容。同一年度に同一内容を問う問題があるのは,宅建業法以外の分野では珍しい。

◆防火地域−延べ面積100平方メートル超⇒耐火建築物

 防火地域内,2階建て,延べ面積200平方メートル
 ↓
 延べ面積100平方メートルを超えているので 耐火建築物

 防火地域内で延べ面積が100平方メートルを超えている場合は,耐火建築物にしなければならないので,木造では建築することができません(建築基準法・61条1号)

 したがって,本肢は正しい記述です。

●防火地域内の建築物
 階数が3以上,又は

 延べ面積が100平方メートルを超える建築物

 耐火建築物
 上記以外の建築物  耐火建築物,or,

 準耐火建築物

延べ面積 \ 地階を含む階数 2以下 3以上
延べ面積≦100平方メートル 耐火 or 準耐火 耐火建築物
100平方メートル<延べ面積 耐火建築物 耐火建築物

4.「共同住宅に用途変更をする場合,建築主事の確認を受ける必要がある。」

【正解:

延べ面積が100平方メートルを超える特殊建築物に用途変更

 延べ面積が100平方メートルを超える特殊建築物に用途変更するには建築確認が必要です。(建築基準法・87条1項)

 本肢では,<延べ面積が200平方メートルの共同住宅(特殊建築物)に用途変更>するので,建築確認が必要になります。

●100平方メートルを超える特殊建築物
延べ面積100平方メートル超  ⇒   建築確認が必要

 新築,*増築,*改築,*移転
 大規模の修繕
 大規模の模様替え
 100平方メートル超の特殊建築物への用途変更

*増築・改築・移転は(防火・準防火地域外)『10平方メートル超』


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