法令上の制限 実戦篇

建築基準法の過去問アーカイブス 平成2年・問22 防火地域・準防火地域


防火地域及び準防火地域に関する次の記述のうち,建築基準法の規定によれば,正しいものはどれか。(平成2年・問22)

1.「延べ面積が150平方メートルで,かつ,地上2階建ての住宅を,防火地域内に建築する場合には,準耐火建築物とすればよい。」

2.「延べ面積が300平方メートルで,かつ,地上3階建ての住宅を,準防火地域内に建築する場合には,必ず耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない。

3.「高さが2mの門については,防火地域内に建築する場合であっても,木造としてもよい。」

4.「防火地域内においては,建築物の屋根は,必ず耐火構造としなければならない。」

【正解】

× × ×

1.「延べ面積が150平方メートルで,かつ,地上2階建ての住宅を,防火地域内に建築する場合には,準耐火建築物とすればよい。」

【正解:×

防火地域内の建築物

 防火地域内,地上2階建て,延べ面積が150平方メートル
 ↓
 100平方メートル<延べ面積 なので 耐火建築物

 防火地域内の建築物で階数が延べ面積が100平方メートルを超えるものは,耐火建築物にしなければなりません。『準耐火建築物とすればよい』とする本肢は誤りです。(建築基準法・61条1号)

●防火地域内の建築物
 階数が3以上,又は

 延べ面積が100平方メートルを超える建築物

 耐火建築物
 上記以外の建築物  耐火建築物,or,

 準耐火建築物

延べ面積 \ 地階を含む階数 2以下 3以上
延べ面積≦100平方メートル 耐火 or 準耐火 耐火建築物
100平方メートル<延べ面積 耐火建築物 耐火建築物

2.「延べ面積が300平方メートルで,かつ,地上3階建ての住宅を,準防火地域内に建築する場合には,必ず耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない。

【正解:×

◆耐火建築物または準耐火建築物

 準防火地域内,地上階数が3 ,延べ面積が300平方メートル
 ↓
 地階を除く階数が3 ,延べ面積≦500平方メートルなので

 耐火建築物,準耐火建築物,または政令で定める技術的基準に適合する建築物

 準防火地域内で,必ず耐火建築物又は準耐火建築物としなければならないのは,

「地階を除く階数が3以下で,かつ,500平方メートル<延べ面積≦1,500平方メートル」

の場合です。本肢の場合は,「耐火建築物,準耐火建築物,または政令で定める技術的基準に適合する建築物」に該当するため,誤りです。

延べ面積 \ 地階を除く階数 2以下 4以上
延べ面積≦500平方メートル        耐火 or 準耐火 or

技術的基準に適合

耐火
500平方メートル<延べ面積≦1,500平方メートル 耐火 or 準耐火 耐火 or 準耐火 耐火
1,500平方メートル<延べ面積 耐火 耐火 耐火

●準防火地域内の建築物
地階を除く階数が4以上である建築物,又は

延べ面積が1,500平方メートルを超える建築物

 耐火建築物
地階を除く階数が3以下で,かつ,

延べ面積が500平方メートルを超え

1,500平方メートル以下の建築物

 耐火建築物,or,

 準耐火建築物

地階を除く階数が3,かつ,

延べ面積が500平方メートル以下である建築物

 耐火建築物,or,

 準耐火建築物,or,

 防火上必要な,政令で定める
 技術的基準に適合する建築物

 外壁の開口部の構造及び面積,主要構造部の防火の措置その他の事項について 防火上必要な政令で定める技術的基準に適合する建築物

〔注意〕500平方メートル<延べ面積≦1,500平方メートルであっても,地階を除く階数が4以上のときは,耐火建築物になることに注意してください。

3.「高さが2mの門については,防火地域内に建築する場合であっても,木造としてもよい。」

【正解:

防火地域内の建築物の適用除外

 防火地域内の建築物は,原則として,階数や延べ面積によって耐火建築物か準耐火建築物のどちらかにしなければなりませんが,これには例外規定があり,高さ2メートル以下の門又は塀は,耐火建築物や準耐火建築物にしなくてもよいとされています。(建築基準法・61条4号)

▼防火地域

延べ面積 \ 地階を含む階数 2以下 3以上
延べ面積≦100平方メートル 耐火 or 準耐火 耐火建築物
100平方メートル<延べ面積 耐火建築物 耐火建築物
●防火地域内の建築物
(防火地域内の建築物)
第61条  防火地域内においては、階数が3以上であり、又は延べ面積が100平方メートルを超える建築物は耐火建築物とし、その他の建築物は耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない。ただし、次の各号の一に該当するものは、この限りでない。

一  延べ面積が50平方メートル以内の平家建附属建築物で、外壁及び軒裏が防火構造のもの(平成13年出題)

二  卸売市場の上家又は機械製作工場で主要構造部が不燃材料で造られたものその他これらに類する構造でこれらと同等以上に火災の発生のおそれの少ない用途に供するもの

三  高さ2メートルを超える門又は塀で不燃材料で造り、又は覆われたもの

四  高さ2メートル以下の門又は塀(平成2年出題)

4.「防火地域内においては,建築物の屋根は,必ず耐火構造としなければならない。」

【正解:×昭和56年・問22・肢3,昭和58年・問23・肢3,平成2年・問22・肢4,平成9年・問23・肢2,

◆防火地域・準防火地域内の屋根の構造

 防火地域又は準防火地域に指定された市街地は,通常の区域よりも建物が稠密で,火の粉の大きさも大きくなることが予想されます。このため,市街地における通常の火災による火の粉で屋根が燃えることのないように,建築物の構造及び用途の区分に応じて屋根の構造の性能の規定化が図られています。

 平成2年出題当時は,『防火地域又は準防火地域内においては,建築物の屋根で耐火構造でないものは,不燃材料で造り,又はふかなければならない』という規定でしたが,現在では,建築物の構造及び用途の区分に応じて屋根の構造が定められており,建築物の屋根はすべて耐火構造としなければならないわけではありません。(建築基準法・63条,施行令136条の2の2,建設省告示・平成12年5月25日・1365号)

●防火地域・準防火地域の屋根
(屋根)
第63条  防火地域又は準防火地域内の建築物の屋根の構造は、市街地における火災を想定した火の粉による建築物の火災の発生を防止するために屋根に必要とされる性能に関して建築物の構造及び用途の区分に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。

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