法令上の制限 実戦篇

建築基準法の過去問アーカイブス 平成7年・問22 用途制限


建築物の用途制限に関する次の記述のうち,建築基準法の規定によれば,正しいものはどれか。ただし,特定行政庁の許可については考慮しないものとする。(平成7年・問22)

1.「第一種低層住居専用地域内においては,保育所を建築することができない。」

2.「第二種中高層住居専用地域内においては,水泳場を建築することができる。

3.「第一種住居地域内においては,原動機を使用する工場で作業場の床面積の合計が 100平方メートルであるものを建築することができない。」

4.「近隣商業地域内においては,床面積の合計が100平方メートルの料理店を建築することができる。」

【正解】

× × ×

1.「第一種低層住居専用地域内においては,保育所を建築することができない。」

【正解:×

◆保育所

 保育所は,すべての用途地域で,特定行政庁の許可なく建築することができます。

保育所と幼稚園

  どこから建築可か 工業地域 工業専用
幼稚園、

小・中学校、高校

第1種低層住居専用地域から

工業地域まで

 ×  ×
老人福祉センター

保育所、診療所

第1種低層住居専用地域から

工業専用地域まで(全ての地域)

   

全ての用途地域で建築可能なのは…

神社、寺院、教会

保育所、診療所、公衆浴場

老人福祉センター、児童厚生施設(低層住居専用地域で規模の限定がある)

巡査派出所、公衆電話所等

2.「第二種中高層住居専用地域内においては,水泳場を建築することができる。

【正解:×

◆水泳場(政令で定める運動施設)

 第二種中高層住居専用地域内では,特定行政庁の許可なく水泳場〔第1種住居地域から〕を建築することはできません。

政令で定める運動施設・・・第一種住居地域から

   どこから建築可か 工業地域 工業専用
ホテル 第1種住居地域→準工業地域  ×  ×
運動施設 第1種住居地域→工業地域    ×

「水泳場・ボーリング場・スケート場・スキー場・ゴルフ練習場・バッティング練習場」は、

・低層住居“専用”地域、

・中高層住居“専用”地域、

・工業“専用”地域

においては建築できません。

このような運動施設は専用がつく地域では作れないと覚えましょう。

(都市部で考えると、スケート場はともかく、スキー場というのは面積を相当広くとる必要があるので都市計画区域では奇異な感じがします。もっとも東京には屋内スキー場もあり、また軽井沢のように駅前にスキー場がある地域もあります。)

3.「第一種住居地域内においては,原動機を使用する工場で作業場の床面積の合計が 100平方メートルであるものを建築することができない。」

【正解:

◆第一種住居地域−50平方メートル以下の工場なら○

 「第一種住居地域」であっても住居がメインであり、同地域内においては、原動機(火力、電力などによるエネルギーを機械的エネルギーに換える装置の総称)を使用する工場で、作業場の床面積の合計が「50平方メートルを超える」ものは、ウルサクなるため、建築できません。

 第1種住居地域からは、50平方メートル以内で、かつ、危険性や環境を悪化させる恐れが非常に少ないものは建築可能になります。

原動機を使用する工場

    どこから建築可か
パン屋・菓子屋・米屋・豆腐屋
等の食品製造業の工場

(50平方メートル以下、かつ、
原動機の出力0.75kw以下)

第2種中高層住居専用地域から工業専用地域まで
工場(50平方メートル以下)

危険性や環境悪化のおそれが
非常に少ないもの

第1種住居地域から工業専用地域まで
自動車修理工場

(150平方メートル以下)

準住居地域から工業専用地域まで
工場(150平方メートル以下)

危険性や環境悪化のおそれが
少ないもの

近隣商業地域・工業専用地域まで

4.「近隣商業地域内においては,床面積の合計が100平方メートルの料理店を建築することができる。」

【正解:×

◆料理店

  近隣商業地域内では,床面積の規模を問わず,料理店〔商業地域・準工業地域のみ〕を,特定行政庁の許可なく建築することはできません。

料理店 (料亭) ・・・商業地域・準工業地域のみ

   どこから建築可か 工業地域 工業専用
料理店・ナイトクラブ・

キャバレー・ダンスホール

商業地域・準工業地域のみ  ×  ×


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