法令上の制限 実戦篇

建築基準法の過去問アーカイブス 平成8年・問23 建築確認


木造3階建て (延べ面積 300平方メートル) の住宅を新築する場合に関する次の記述のうち,建築基準法の規定によれば,誤っているものはどれか。(平成8年・問23)

1.「建築主は,新築工事に着手する前に建築主事の確認を受けるとともに,当該住宅を新築する旨を都道府県知事に届け出なければならない。」

2.「新築工事の施工者は,工事現場の見易い場所に,建築主,設計者,工事施工者及び工事の現場管理者の氏名又は名称並びに当該工事に係る建築主事の確認があった旨の表示をしなければならない。

3.「新築工事が完了した場合は,建築主は,工事が完了した日から4日以内に建築主事に到達するように,建築主事の検査を申請しなければならない。」

4.「建築主は,検査済証の交付を受けた後でなければ,建築主事の検査を申請した日から7日を経過したときでも,仮に,当該住宅を使用し,又は使用させてはならない。」

【正解】

×

1.「建築主は,新築工事に着手する前に建築主事の確認を受けるとともに,当該住宅を新築する旨を都道府県知事に届け出なければならない。」

【正解:

◆届出及び統計

●建築確認の必要な木造の大規模建築物     (建築基準法・6条1項2号)
 父さん労する。

 ⇒ 木造の建築物で3以上の階数を有し,又は延べ面積が500平方メートル超高さが13メートル超,もしくは軒の高さが9メートル超のもの

 本問題での『木造3階建て (延べ面積 300平方メートル) の住宅』を新築する場合は,木造の大規模建築物に該当するので,全国のどの区域で所在する場合でも,建築確認が必要になります。(建築基準法・6条1項2号)

 また,建築主は建築物を建築しようとする場合,建築主事を経由して,その旨を都道府県知事に届け出なければなりません。(建築基準法・15条1項)着工届建築工事届とも言われます。当該建築物の床面積の合計が10平方メートル以内のときは届出不要。 〕

 ⇒ 建築着工統計などの統計データ収集のために行われるもので,課税のために行われるのではありません。

   誰が届け出るか?  備考
 建築物の着工届  建築主 当該建築物,又は,
当該工事に係る部分の床面積の合計が
10平方メートル以内のときは届出不要
 建築物の除却届  建築物の除却の工事を施工する者
●建築基準法
(届出及び統計)
第15条  建築主が建築物を建築しようとする場合又は建築物の除却の工事を施工する者が建築物を除却しようとする場合においては、これらの者は、建築主事を経由して、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、当該建築物又は当該工事に係る部分の床面積の合計が十平方メートル以内である場合においては、この限りでない。

4  都道府県知事は、前三項の規定による届出及び報告に基づき、建築統計を作成し、これを国土交通大臣に送付し、かつ、関係書類を国土交通省令で定める期間保管しなければならない。

5  前各項の規定による届出、報告並びに建築統計の作成及び送付の手続は、国土交通省令で定める。

(国土交通大臣又は都道府県知事への報告)
第16条  国土交通大臣は、特定行政庁に対して、都道府県知事は、建築主事を置く市町村の長に対して、この法律の施行に関して必要な報告又は統計の資料の提出を求めることができる。

2.「新築工事の施工者は,工事現場の見易い場所に,建築主,設計者,工事施工者及び工事の現場管理者の氏名又は名称並びに当該工事に係る建築主事の確認があった旨の表示をしなければならない。

【正解:平成4年・問21・肢2,平成8年・問23・肢2,

◆確認の表示

 建築確認の必要な建築物の工事の施工者は,工事現場の見やすい場所に,

建築主設計者工事施工者及び工事の現場管理者の氏名又は名称

・当該工事に係る建築主事の確認があった旨

の表示をしなければなりません。(建築基準法・89条1項)

●確認の表示
(工事現場における確認の表示等)
第89条  第6条第1項の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事の施工者は、当該工事現場の見易い場所に、国土交通省令で定める様式によつて、建築主、設計者、工事施工者及び工事の現場管理者の氏名又は名称並びに当該工事に係る同項の確認があつた旨の表示をしなければならない。

2  第6条第1項の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事の施工者は、当該工事に係る設計図書を当該工事現場に備えておかなければならない

3.「新築工事が完了した場合は,建築主は,工事が完了した日から4日以内に建築主事に到達するように,建築主事の検査を申請しなければならない。」

【正解:昭和57年・問21,平成4年・問21・肢3,平成8年・問23,平成14年・問21,

◆完了検査の申請は完了した日から4日以内に到達しなければならない

 完了検査の申請は,国土交通省令で定めるやむを得ない理由があるときを除いて,工事が完了した日から4日以内に到達しなければなりません(7条2項)

用途変更の場合は,完了検査の申請ではなく,工事が完了した旨の届出になることに注意。(建築基準法・87条1項)

●原題
3.「新築工事が完了した場合は,建築主は,その旨を工事が完了した日から4日以内に到達するように,建築主事に文書をもって届け出なければならない。」
【出題当時の正解:
●完了検査と検査済証
(建築物に関する完了検査)
第7条  建築主は、第6条第1項の規定による工事を完了したときは、国土交通省令で定めるところにより、建築主事の検査を申請しなければならない。

2  前項の規定による申請は、第6条第1項の規定による工事が完了した日から4日以内に建築主事に到達するように、しなければならない。ただし、申請をしなかつたことについて国土交通省令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

3  前項ただし書の場合における検査の申請は、その理由がやんだ日から4日以内に建築主事に到達するように、しなければならない。

4  建築主事が第1項の規定による申請を受理した場合においては、建築主事又はその委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の職員(以下この章において「建築主事等」という。)は、その申請を受理した日から7日以内に、当該工事に係る建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合しているかどうかを検査しなければならない

5  建築主事等は、前項の規定による検査をした場合において、当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していることを認めたときは、国土交通省令で定めるところにより、当該建築物の建築主に対して検査済証を交付しなければならない。

4.「建築主は,検査済証の交付を受けた後でなければ,建築主事の検査を申請した日から7日を経過したときでも,仮に,当該住宅を使用し,又は使用させてはならない。」

【正解:×平成元年・問23・肢2,〔検査済証交付前に使用できる場合〕昭和57年・問21・肢4,〔検査の申請から7日を経過したとき〕平成8年・問23・肢4,

◆検査済証の交付前であっても,その建築物の使用ができる場合

 本肢の建築物は『木造の大規模建築物』に該当します。

 『100平方メートル超の特殊建築物』・『木造の大規模建築物』・『木造以外の一定規模の建築物』の新築・増築・改築・大規模の模様替・大規模の修繕の工事では,原則として検査済証の交付を受けた後でなければ使用することができません。〔この規定は建築設備の設置にも準用されています。〕(建築基準法・7条の6第1項)

 しかし,完了検査の申請が受理された日から7日を経過したときは,検査済証の交付がなくても使用できるので、本肢は誤りです。

●検査済証の交付を受けるまでの建築物の使用制限
100平方メートル超の特殊建築物』・『木造の大規模建築物』・『木造以外の一定規模の建築物』の新築・増築・改築・大規模の模様替・大規模の修繕の工事では,原則として検査済証の交付を受けた後でなければ使用することができない

例外検査済証の交付がなくても使用できる場合〕(建築基準法・7条の6第1項)

・特定行政庁(完了検査の申請が受理された後は,建築主事)が,安全上,防火上及び避難上支障がないと認めて仮使用の承認をしたとき。

・完了検査の申請が受理された日から7日を経過したとき。

(指定確認検査機関が検査の引受けを行った場合は,工事が完了した日又は検査の引受けを行った日のいずれか遅い日から7日を経過したとき。)

●使用制限
(検査済証の交付を受けるまでの建築物の使用制限)

第7条の6  第6条第1項第1号から第3号までの建築物を新築する場合又はこれらの建築物(共同住宅以外の住宅及び居室を有しない建築物を除く。)増築、改築、移転、大規模の修繕若しくは大規模の模様替の工事で、廊下、階段、出入口その他の避難施設、消火栓、スプリンクラーその他の消火設備、排煙設備、非常用の照明装置、非常用の昇降機若しくは防火区画で政令で定めるものに関する工事(政令で定める軽易な工事を除く。以下この項、第18条第22項及び第90条の3において「避難施設等に関する工事」という。)を含むものをする場合においては、当該建築物の建築主は、第7条第5項の検査済証の交付を受けた後でなければ、当該新築に係る建築物又は当該避難施設等に関する工事に係る建築物若しくは建築物の部分を使用し、又は使用させてはならない。ただし、次の各号の一に該当する場合には、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物又は建築物の部分を使用し、又は使用させることができる。

一  特定行政庁(第7条第1項の規定による申請が受理された後においては、建築主事)が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認めて仮使用の承認をしたとき。

二  第7条第1項の規定による申請が受理された日(第7条の2第1項の規定による指定を受けた者が同項の規定による検査の引受けを行つた場合にあつては、当該検査の引受けに係る工事が完了した日又は当該検査の引受けを行つた日のいずれか遅い日)から七日を経過したとき。

2  前項第一号の仮使用の承認の申請の手続に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。


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