法令上の制限 実戦篇

建築基準法の過去問アーカイブス 平成9年・問24


建築確認に関する次の記述のうち,建築基準法の規定によれば,正しいものはどれか。(平成9年・問24)

1.「人口10万人以上の市は,その長の指揮監督の下に,建築確認に関する事務をつかさどらせるために,建築主事を置かなければならない。」

2.「建築主は,木造以外の建築物(延べ面積200平方メートル)について,新たに増築して延べ面積を250平方メートルとする場合は,建築主事の建築確認を受けなければならない。

3.「建築主は,建築主事に対し建築確認の申請をする場合は,あらかじめ周辺住民の同意を得なければならない。」

4.「建築主は,建築主事が建築確認の申請について不適合の処分をした場合は,国土交通大臣に対し,審査請求を行うことができる。」

【正解】

× × ×

1.「人口10万人以上の市は,その長の指揮監督の下に,建築確認に関する事務をつかさどらせるために,建築主事を置かなければならない。」

【正解:×

◆建築主事の設置

 政令で指定する人口25万以上の市は,その長の指揮監督の下に,建築確認に関する事務をつかさどらせるために,建築主事を置かなければいけません。(建築基準法・4条1項)

 しかし,上記以外の市町村・特別区では建築主事を置くことができないということではなく,市町村・特別区は建築主事を置くことができます。(建築基準法・4条2項,97条の2,97条の3)

特定行政庁 建築主事を置く市町村の区域については当該市町村の長をいい,その他の市町村の区域については都道府県知事をいう。(建築基準法・2条32号)

●建築主事
(建築主事)
第4条  政令で指定する人口25万以上の市は、その長の指揮監督の下に、第6条第1項の規定による確認に関する事務をつかさどらせるために、建築主事を置かなければならない。

2  市町村(前項の市を除く。)は、その長の指揮監督の下に、第6条第1項の規定による確認に関する事務をつかさどらせるために、建築主事を置くことができる。

3  市町村は、前項の規定によつて建築主事を置こうとする場合においては、あらかじめ、その設置について、都道府県知事に協議し、その同意を得なければならない。

4  市町村が前項の規定による同意を得た場合において建築主事を置くときは、市町村の長は、建築主事が置かれる日の30日前までにその旨を公示し、かつ、これを都道府県知事に通知しなければならない。

5  都道府県は、都道府県知事の指揮監督の下に、第1項又は第2項の規定によつて建築主事を置いた市町村(第97条の2を除き、以下「建築主事を置く市町村」という。)の区域外における建築物に係る第6条第1項の規定による確認に関する事務をつかさどらせるために、建築主事を置かなければならない。

6  第1項、第2項及び前項の建築主事は、市町村又は都道府県の職員で第77条の58第1項の登録を受けた者のうちから、それぞれ市町村の長又は都道府県知事が命ずる。

7  特定行政庁は、その所轄区域を分けて、その区域を所管する建築主事を指定することができる。

2.「建築主は,木造以外の建築物(延べ面積200平方メートル)について,新たに増築して延べ面積を250平方メートルとする場合は,建築主事の建築確認を受けなければならない。

【正解:

◆木造以外の一定規模の建築物 → 増築後の面積で考える

 増築の場合は,増築後の面積がポイントです。

 増築後は<木造以外の建築物で,延べ面積を250平方メートル>になるので,木造以外の一定規模の建築物に該当し,建築確認を受ける必要があります。

●非木造の一定規模の建築物
地階を含む階数が2以上  ⇒

 建築確認が必要

 新築,*増築,*改築,*移転
 大規模の修繕
 大規模の模様替え
 100平方メートル超の特殊建築物への用途変更

*増築・改築・移転は
 (防火・準防火地域外) 『10平方メートル超』のとき,確認要。
 (防火・準防火地域内) 面積に関係なく,確認が必要。

延べ面積200平方メートル超

『増築後の面積で考える』というのは大切なポイントです。

 増築後に,『100平方メートル超の特殊建築物』,『木造の大規模建築物』,『木造以外の一定規模の建築物』の規模に達する場合は,建築確認が必要になります。

3.「建築主は,建築主事に対し建築確認の申請をする場合は,あらかじめ周辺住民の同意を得なければならない。」

【正解:×平成5年・問21・肢2,平成9年・問24・肢3,

◆周辺住民の同意は不要

 建築確認の申請では,あらかじめ,周辺住民の同意を得なければならないという規定はありません。

4.「建築主は,建築主事が建築確認の申請について不適合の処分をした場合は,国土交通大臣に対し,審査請求を行うことができる。」

【正解:×〔建築監視員〕昭和46年,〔建築主事〕昭和54年,平成5年・問21・肢4,平成9年・問24・肢4,

◆審査請求

 × 国土交通大臣 →  (当該市町村又は都道府県の)建築審査会

 特定行政庁,建築主事,建築監視員の処分に不服がある者は,当該市町村又は都道府県の建築審査会に対して審査請求をすることができます。(建築基準法・94条1項)

建築審査会の裁決に不服がある者は,国土交通大臣に対して再審査請求をすることができます。(建築基準法・95条)

 建築主事,建築監視員の処分に不服
       |建築審査会へ審査請求
       ↓
 建築審査会の採決 ⇒ 建築審査会の採決に不服のときは,
                    国土交通大臣に対して再審査請求

●建築審査会への審査請求
(不服申立て)
第94条  建築基準法令の規定による特定行政庁、建築主事若しくは建築監視員又は指定確認検査機関の処分又はこれに係る不作為に不服がある者は、行政不服審査法第3条第2項 に規定する処分庁又は不作為庁が、特定行政庁、建築主事又は建築監視員である場合にあつては当該市町村又は都道府県の建築審査会に、指定確認検査機関である場合にあつては当該処分又は不作為に係る建築物又は工作物について第6条第1項(第87条第1項、第87条の2又は第88条第1項若しくは第2項において準用する場合を含む。)の規定による確認をする権限を有する建築主事が置かれた市町村又は都道府県の建築審査会に対して審査請求をすることができる。

2  建築審査会は、前項の規定による審査請求を受理した場合においては、審査請求を受理した日から一月以内に、裁決をしなければならない。

3  建築審査会は、前項の裁決を行う場合においては、あらかじめ、審査請求人、特定行政庁、建築主事、建築監視員、指定確認検査機関その他の関係人又はこれらの者の代理人の出頭を求めて、公開による口頭審査を行わなければならない。

第95条  建築審査会の裁決に不服がある者は、国土交通大臣に対して再審査請求をすることができる。

(審査請求と訴訟との関係)
第96条  第94条第1項に規定する処分の取消しの訴えは、当該処分についての
審査請求に対する建築審査会の裁決を経た後でなければ、提起することができない


過去問アーカイブス・法令制限に戻る 建築基準法の過去問アーカイブスに戻る

宅建過去問に戻る  法令上の制限の過去問アーカイブスに戻る

宅建1000本ノック・法令上の制限に戻る