法令上の制限 実戦篇
土地区画整理法の過去問アーカイブス 平成12年・問21 土地区画整理事業
土地区画整理事業に関する次の記述のうち,土地区画整理法の規定によれば,誤っているものはどれか。(平成12年・問21) |
1.「個人施行者について,施行者以外の者への相続,合併その他の一般承継があった場合においては,その一般承継者は,施行者となる。」 |
2.「土地区画整理組合が施行する土地区画整理事業は,市街化調整区域内において施行されることはない。」 |
3.「市町村が施行する土地区画整理事業については,事業ごとに土地区画整理審議会が置かれる。」 |
4.「都道府県が施行する土地区画整理事業は,すべて都市計画事業として施行される。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | ○ | ○ |
1.「個人施行者について,施行者以外の者への相続,合併その他の一般承継があった場合においては,その一般承継者は,施行者となる。」 |
【正解:○】 ◆個人施行者の一般承継 個人施行者について相続,合併その他の一般承継があった場合に,その一般承継人が施行者以外の者であるときは,その一般承継人は,施行者となる。(11条1項) |
2.「土地区画整理組合が施行する土地区画整理事業は,市街化調整区域内において施行されることはない。」 |
【正解:×】 ◆都市計画事業以外の土地区画整理では市街化調整区域で施行されることもある 土地区画整理事業は都市計画区域内で行われる(土地区画整理法2条1項)が,大別すると『都市計画事業として行われるもの』と『都市計画事業以外のもの』がある。 『都市計画事業として行われるもの』は,市街化域内及び非線引き都市計画区域〔区域区分の定められていない都市計画区域〕内で市街地開発事業として行われる。(都市計画法13条1項12号,12条1項1号)つまり,都市計画決定された施行区域で行う区画整理事業のみが都市計画事業ということになる。(土地区画整理法2条8項,3条の4第1項) 都市計画事業として行われるものの施行者となるのは,国土交通大臣・都道府県・市町村・都市再生機構・地方住宅供給公社・土地区画整理組合・土地区画整理会社・個人である。 これに対して,『都市計画事業以外のもの』の施行者となるのは,土地区画整理組合・個人であり,市街化調整区域内において施行される場合もある。〔組合施行,区画整理会社施行,個人施行では必ずしも都市計画事業として施行されるとは限らない。〕 したがって,本肢は誤りである。 〔要点〕市街化調整区域内で施行される土地区画整理事業は,個人施行・組合施行・区画整理会社施行であり,都市計画事業としては行われない。 |
●土地区画整理法での用語の定義 | |
施行地区 | 土地区画整理事業を施行する土地の区域(土地区画整理法2条4項) |
施行区域 | 都市計画法第12条第2項の規定により土地区画整理事業について 都市計画に定められた施行区域(土地区画整理法2条8項) |
3.「市町村が施行する土地区画整理事業については,事業ごとに土地区画整理審議会が置かれる。」 |
【正解:○】 ◆土地区画整理審議会−地方公共団体・国土交通大臣・機構等 土地区画整理審議会は,地方公共団体・国土交通大臣・機構等(独立行政法人 都市再生機構,地方住宅供給公社)が施行する土地区画整理事業ごとに設置される。(個人施行・組合施行・区画整理会社施行では設置されない。) 都道府県又は市町村が施行する土地区画整理事業ごとに,都道府県又は市町村に,土地区画整理審議会を置き,施行地区を工区に分けた場合には,工区ごとに置くこともできる。(56条1項,2項) 国土交通大臣が施行する土地区画整理事業ごとに,国土交通省に土地区画整理審議会を置き,施行地区を工区に分けた場合には,工区ごとに置くことができる。 (70条1項,2項) 独立行政法人 都市再生機構又は地方住宅供給公社が施行する土地区画整理事業〔個人施行ではないもの〕ごとに,独立行政法人 都市再生機構又は地方住宅供給公社に,土地区画整理審議会を置き,施行地区を工区に分けた場合には,工区ごとに置くことができる。(71条の4第1項,第2項) |
●市街化調整区域が施行地区になっている場合の注意点 |
●個人施行(9条2項)
2 都道府県知事は、都市計画法第7条第1項 の市街化調整区域と定められた区域が施行地区に編入されている場合においては、当該区域内において土地区画整理事業として行われる同法第4条第12項 に規定する開発行為が同法第34条各号の一〔市街化調整区域での開発許可要件〕に該当すると認めるときでなければ、第4条第1項に規定する認可〔施行についての認可〕をしてはならない。 ●土地区画整理組合施行(21条2項) 2 前項の規定にかかわらず、都道府県知事は、都市計画法第7条第1項 の市街化調整区域と定められた区域が施行地区に編入されている場合においては、当該区域内において土地区画整理事業として行われる同法第4条第12項に規定する開発行為が同法第34条各号のいずれか〔市街化調整区域での開発許可要件〕に該当すると認めるときでなければ、第14条第1項、第2項に規定する認可〔組合設立についての認可〕をしてはならない。 ●区画整理会社施行(51条の9第2項) 2 前項の規定にかかわらず、都道府県知事は、都市計画法第7条第1項 の市街化調整区域と定められた区域が施行地区に編入されている場合においては、当該区域内において土地区画整理事業として行われる同法第4条第12項に規定する開発行為が同法第34条各号のいずれか〔市街化調整区域での開発許可要件〕に該当すると認めるときでなければ、第51条の2第1項に規定する認可〔施行についての認可〕をしてはならない。 |
4.「都道府県が施行する土地区画整理事業は,すべて都市計画事業として施行される。」 |
【正解:○】 ◆都市計画事業としての土地区画整理事業 都道府県または市町村が,都市計画に定められた施行区域内の土地について行う土地区画整理事業は,都市計画事業として施行される。(3条3項,3条の4第1項) |
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