法令上の制限 実戦篇

建築基準法の過去問アーカイブス 平成12年・問24

道路・接道義務・道路内の建築制限


建築基準法に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成12年・問24)

1.「道路法による道路は,すべて建築基準法上の道路に該当する。」

2.「建築物の敷地は,必ず幅員4m以上の道路に2m以上接しなければならない。

3.「地方公共団体は,土地の状況等により必要な場合は,建築物の敷地と道路との関係について建築基準法に規定された制限を,条例で緩和することができる。」

4.「地盤面下に設ける建築物については,道路内に建築することができる。」

【正解】

× × ×

1.「道路法による道路は,すべて建築基準法上の道路に該当する。」

【正解:×

◆道路法による道路のすべてが建築基準法上の道路とは限らない

 道路法上の道路と建築基準法上の道路とは,互いに重なっている部分はありますが,「建築基準法による道路であっても道路法上の道路ではない」,「道路法による道路であっても建築基準法上の道路ではない」ことがあります。したがって,<道路法による道路は,すべて建築基準法上の道路に該当する>のではありません。

 道路法での道路であっても,幅員が4m未満の道路の場合,特定行政庁が指定のないものは建築基準法での道路ではありません。

●道路法に規定している「道路」

 この法律において、「道路」とは、
 一般交通の用に供する道で、道路法第3条の各号に掲げるもので、
トンネル・橋・渡船施設、道路用エレベーター等道路と一体になって
その効用を全うする施設又は工作物及び道路の附属物で
当該道路に附属して設けられているものを含むものとする
(道路法2条1項)

<道路の種類>高速自動車国道・一般国道・都道府県道・市町村道(道路法3条)

建築基準法上の道路とは,原則として幅員が4m以上〔特定行政庁がその地方の気候若しくは風土の特殊性又は土地の状況により必要と認めて都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内においては,6m〕で,以下のものをいいます。(地下におけるものを除く。)

●42条1項に規定している、建築基準法上の「道路」

 ⇒ 「地下におけるもの」は除くことに注意。

道路法による道路 道路法による路線の指定又は認定を受けたもので、公道
(高速自動車国道・一般国道・都道府県道・市町村道)。
各法律による道路 ・都市計画法
・土地区画整理法
・都市再開発法
・新都市基盤整備法
・大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法
・旧住宅地造成事業に関する法律

殆どが道路法上の道路として指定、又は認定されています。

既存道路 都市計画区域・準都市計画区域の指定を受けたときに存する
幅員4m以上の道。条文では、現に存在する道
新設又は変更の

事業計画のある道路

〔計画道路〕

・道路法
・都市計画法
・土地区画整理法
・都市再開発法
・新都市基盤整備法
・大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法

2年以内にその事業が執行される予定のものとして
特定行政庁が指定したもの。(特定行政庁が指定した
ものでないと「道路」ではないことに注意。)

位置指定道路 私道で幅員4m以上あり、かつ一定の技術的水準に
適合するもので、特定行政庁からその位置の指定

受けたもの。この私道の変更・廃止は自由にできません
特定行政庁は私道の変更・廃止を禁止できます。
2項道路 都市計画区域・準都市計画区域に編入された時に、
現に存する道でその幅が4m未満(or 6m未満)のもので、
特定行政庁が指定したもの。(特定行政庁が指定した
ものでないと「道路」ではないことに注意。)

2.「建築物の敷地は,必ず幅員4m以上の道路に2m以上接しなければならない。

【正解:×

◆接道義務−『道路の幅』と『敷地が道路に接する長さ』−

 「道路の幅員」と「敷地が道路に接する長さ」の2つの面で誤りです

 建築物の敷地は,原則として,道路〔自動車専用道路や特定高架道路等を除く〕に2メートル以上接していなければなりませんが(建築基準法・43条1項),この道路とは,『2項道路のように幅員4m未満の道路の場合』(建築基準法・42条2項),『特定行政庁が都道府県計画審議会の議を経て指定した区域内では6m以上の道路になっている場合』(建築基準法・42条1項)も含まれています。

 また,<道路に2メートル以上接していなければならない>という点も,その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で,特定行政庁が交通上,安全上,防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては2メートル以上接していなくてもよいことになっています。(建築基準法・43条1項但書)

3.「地方公共団体は,土地の状況等により必要な場合は,建築物の敷地と道路との関係について建築基準法に規定された制限を,条例で緩和することができる。」

【正解:×昭和58年・問22・肢4,昭和59年・問22・肢3,昭和61年・問24・肢1,平成4年・問22・肢4,平成8年・問25・肢4,平成12年・問24・肢3,

◆敷地と道路の関係についての条例による制限の付加

 地方公共団体は,建築物の敷地と道路との関係について条例で,制限を「付加する」ことはできますが,「緩和する」ことはできないので誤りです。

 建築物の敷地が幅員4m以上の道路に2m以上面していても,

建築物の用途(特殊建築物)又は規模の特殊性(階数が3以上である建築物,政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物,延べ面積が1,000平方メートルを超える建築物)により,

 接道義務の建築基準法の規定だけでは避難又は通行の安全の目的を充分に達し難いと認める場合においては,地方公共団体は,条例で,敷地・建築物と道路との関係について必要な制限を付加することができる,となっています。(建築基準法・43条2項)

具体的な制限の付加の中身は、

  ・敷地の接する道路の幅員 (幅員4m以上というのを変更する)
  ・その敷地が道路に接する部分の長さ (道路に2m以上接するというのを変更する)
  ・その他

となっています。

4.「地盤面下に設ける建築物については,道路内に建築することができる。」

【正解:昭和59年・問22・肢4,(例外)平成6年・問22・肢2,平成8年・問25・肢3,平成12年・問24・肢4,

◆道路内の建築制限の例外−地下に設けるもの

 都市計画区域及び準都市計画区域内においては,『建築物』又は『敷地を造成するための擁壁』は,原則として,道路内に,又は道路に突き出して,建築・築造してはいけません。(建築基準法・44条1項)

  自動車のみの交通の用に供する道路
 接道義務での道路  含まれない。
 道路内の建築制限での道路  含む。

 しかし,これには例外があり,「地盤面下に設ける建築物」(平成6年・12年)や「公衆便所、巡査派出所その他これらに類する公益上必要な建築物で特定行政庁が通行上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの」(平成8年)は,道路内でも建築することができます。(建築基準法・44条1項但書)

●建築基準法・44条
(道路内の建築制限)
第44条  建築物又は敷地を造成するための擁壁は、道路内に、又は道路に突き出して建築し、又は築造してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物については、この限りでない。

一  地盤面下に設ける建築物

二  公衆便所、巡査派出所その他これらに類する公益上必要な建築物で特定行政庁が通行上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの

三  地区計画の区域内の自動車のみの交通の用に供する道路又は特定高架道路等の上空又は路面下に設ける建築物のうち、当該地区計画の内容に適合し、かつ、政令で定める基準に適合するものであつて特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの

四  公共用歩廊その他政令で定める建築物で特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上他の建築物の利便を妨げ、その他周囲の環境を害するおそれがないと認めて許可したもの

2  特定行政庁は、前項第四号の規定による許可をする場合においては、あらかじめ、建築審査会の同意を得なければならない。


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