法令上の制限 実戦篇

建築基準法の過去問アーカイブス 平成13年・問21

道路の定義・高さの限度・容積率・建ぺい率 (防火地域+耐火建築物)


建築基準法に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成13年・問21)

1.「幅員4m未満の道路は,建築物の敷地と道路との関係において,道路とみなされることはない。」

2.「第一種低層住居専用地域内においては,高さが10mを超える建築物を建築できる場合はない。

3.「建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合は,都市計画において定められた数値以下でありさえすればよい。」

4.「商業地域内で,かつ,防火地域内にある耐火建築物については,建ぺい率制限を受けない。」

【正解】

× × ×

1.「幅員4m未満の道路は,建築物の敷地と道路との関係において,道路とみなされることはない。」

【正解:×

◆2項道路

 都市計画区域や準都市計画区域に指定・編入された際に,『現に建築物が立ち並んでいる道』で,4m未満のものは,特定行政庁の指定があれば道路とみなされます(2項道路)。(建築基準法42条2項,41条の2)

 この2項道路については,原則として,

 道路の中心線からの水平距離2mの線が,その道路と建築物の敷地との境界線とみなされます。

 建築物の敷地内であっても,道路の中心線から2mまでの部分は「道路」とみなされ,建築物の建築はもちろん,塀などの築造も認められません。また,建ぺい率や容積率の計算上でも,敷地面積に算入されません。

<参考>

 この2項道路の道の向い側が、建築物が並ぶような所ではなく、がけ地、河川、線路敷等の場合における敷地と道路の境界線は、道路の中心線から2mの位置ではなく向い側の道路の境界線(がけ地、河川、線路敷と道路の境界線)から4mの位置になります。

●特定行政庁が幅員6m以上として指定した区域内でのセットバック
 区域指定の際,現に道路とされていた道については,幅員6m未満であっても,特定行政庁に指定されることによって道路とみなし,道路の中心線からの水平距離3mの線(特定行政庁が周囲の状況により避難及び通行の安全上支障がないと認める場合は2m)が,その道路と建築物の敷地との境界線とみなされます。

 計画道路  2年以内に一定の法律による新設又は変更の事業計画が執行され

 る予定で,特定行政庁が指定したもの。

 位置指定道路  道路法,都市計画法等の法律によらないで築造する,政令に定める

 基準に適合する道で,築造しようとする者が特定行政庁から指定を

 受けたもの ⇒ 幅員4m以上であることに注意。

 2項道路  法が適用された際,現に建築物が立ち並んでいる幅員4m未満の

 道で,特定行政庁の指定したもの。

2.「第一種低層住居専用地域内においては,高さが10mを超える建築物を建築できる場合はない。

【正解:×昭和62年・問24・肢4,平成2年・問24・肢2,平成5年・問22・肢1,平成6年・問21・肢1,平成13年・問21・肢2,

◆低層住居専用地域内における建築物の高さの限度−10m又は12m

 第一種・第二種低層住居専用地域内では,原則として,
建築物の高さは10m以下,又は,12m以下にしなければならない。

 第一種・第二種低層住居専用地域内では,10m又は12m〔どちらかが都市計画で建築物の高さの限度として定められています〕を超える建築物を建築できません。(建築基準法・55条1項)→註

 ただし,以下の場合,この高さの限度は適用されないので,本肢は誤りです。

・『その敷地の周囲に広い公園,広場,道路その他の空地を有する建築物で,特定行政庁が,低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認め,建築審査会の同意を得て,許可した場合』,(建築基準法・55条3項1号)

・『学校その他の建築物で,特定行政庁が,その用途によってやむを得ないと認め,建築審査会の同意を得て許可した場合(建築基準法・55条3項2号)

 註 高さの限度が10mの地域での例外

 建築物の高さの限度が10mと定められている地域内であっても,その敷地内に政令で定める空地を有し,かつ,その敷地面積が政令で定める規模以上〔原則として1,500平方メートル以上〕である建築物で,特定行政庁が低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めるものの場合は,高さの限度を12mとすることができます。(建築基準法・55条2項)
 
●建築基準法・55条
(第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内における建築物の高さの限度)

第55条  第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内においては、建築物の高さは、10メートル又は12メートルのうち当該地域に関する都市計画において定められた建築物の高さの限度を超えてはならない。

2  前項の都市計画において建築物の高さの限度が10メートルと定められた第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内においては、その敷地内に政令で定める空地を有し、かつ、その敷地面積が政令で定める規模以上である建築物であつて、特定行政庁が低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めるものの高さの限度は、同項の規定にかかわらず、12メートルとする。

3  前二項の規定は、次の各号の一に該当する建築物については、適用しない。

一  その敷地の周囲に広い公園、広場、道路その他の空地を有する建築物であつて、低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めて特定行政庁が許可したもの

二  学校その他の建築物であつて、その用途によつてやむを得ないと認めて特定行政庁が許可したもの

4  第44条第2項の規定は、前項各号の規定による許可をする場合に準用する。

3.「建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合は,都市計画において定められた数値以下でありさえすればよい。」

【正解:×類題・平成17年・問22・肢4

◆前面道路幅による容積率の制限

 容積率は,その建築物の敷地が属する区域に都市計画で定められた数値のほかに,前面道路の幅員によっても制限を受けるので,都市計画で定められた数値以下であっても,前面道路の幅員による制限を満たさないことがあります。

 したがって,<都市計画において定められた数値以下でありさえすればよい>とする本肢は誤りです。

前面道路の幅員が12メートル未満である建築物の容積率

 前面道路(前面道路が2以上あるときは,その幅員の最大のもの。)の幅員が12メートル未満である建築物の容積率は、当該前面道路の幅員のメートルの数値に,次の区分に従って定める数値を乗じたもの以下でなければならない。(建築基準法・52条2項)

低層住居専用地域内の建築物  10分の4
中高層住居専用地域内の建築物,

第一種・第二種住居地域,

準住居地域内の建築物

 10分の4

(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を
経て指定する区域内の建築物にあつては、
 10分の6

住居系以外の用途地域内・

用途地域の指定のない区域内

の建築物

 10分の6

(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を
経て指定する区域内の建築物にあつては、
    10分の4又は10分の8のうち
特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を
経て定めるもの)

高層住居誘導地区内の建築物であつて,その住宅の用途に供する部分の床面積の合計がその延べ面積の3分の2以上であるものを除く。

4.「商業地域内で,かつ,防火地域内にある耐火建築物については,建ぺい率制限を受けない。」

【正解:

◆商業地域内+防火地域かつ耐火建築物

 商業地域 (都市計画で建ぺい率の限度が8/10と定められている。) 内で,かつ,防火地域内の耐火建築物の場合は建ぺい率の制限は適用されません。(建築基準法・53条5項1号)

  原則 角地 防火+耐火 角地防火+耐火
 近隣商業地域

 建ぺい率6/10のとき

6/10 +1/10  +1/10

+2/10

 近隣商業地域

 建ぺい率8/10のとき

8/10

+1/10

建ぺい率制限

は適用されない)

建ぺい率制限

は適用されない

 商業地域 8/10

+1/10

建ぺい率制限

は適用されない

建ぺい率制限

は適用されない

商業地域内で,かつ,街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものの内にある建築物の場合は建ぺい率は9/10になるので注意してください。


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