法令上の制限 実戦篇

土地区画整理法の過去問アーカイブス 平成18年・問24 

組合員・賦課金・換地処分・保留地


土地区画整理法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(平成18年・問24)

1 組合施行の土地区画整理事業において、施行地区内の宅地について所有権を有する組合員から当該所有権の一部のみを承継した者は、当該組合員とはならない。

2 組合施行の土地区画整理事業において、換地処分前に、施行地区内の宅地について所有権を有する組合員から当該所有権を譲り受けた者は、当該組合の総会において賦課金徴収の議決があったときは、賦課金の納付義務を負う。

3 換地処分は、換地計画に係る区域の全部について土地区画整理事業の工事がすべて完了した後でなければすることができない。

4 組合施行の土地区画整理事業において、定款に特別の定めがある場合には、換地計画において、保留地の取得を希望する宅地建物取引業者に当該保留地に係る所有権が帰属するよう定めることができる。

<コメント>  
 18年の土地区画整理法は,すべて過去問に出題されていたやさしい肢から構成され,サービス問題でした。
●出題論点●
 

【正解】

× × ×

 正答率  72.4%

1 組合施行の土地区画整理事業において、施行地区内の宅地について所有権を有する組合員から当該所有権の一部のみを承継した者は、当該組合員とはならない。

【正解:×平成4年・問27・肢1,13年・問22・肢4,16年・問22・肢4,平成18年・問24・肢1,

◆組合員の権利義務の移転

 組合施行の土地区画整理事業の施行地区内の宅地について所有権または借地権を有する者は,すべてその組合の組合員になります(土地区画整理法25条1項)

 組合員から宅地の所有権の一部のみを承継した者も,組合員になります。

施行地区内の宅地について組合員の有する所有権または借地権 (全部または一部) を承継した者は,その組合員が組合に対して有する権利義務は,その承継した者に移転します(土地区画整理法26条1項)

2 組合施行の土地区画整理事業において、換地処分前に、施行地区内の宅地について所有権を有する組合員から当該所有権を譲り受けた者は、当該組合の総会において賦課金徴収の議決があったときは、賦課金の納付義務を負う。

【正解:関連過去問・平成17年・問23・肢2,

◆賦課金

 賦課金とは,組合が,その事業に要する経費に充てるために,参加組合員以外の組合員に対して金銭を賦課徴収するものです(土地区画整理法40条1項)。 。

 肢1で見たように,(換地処分前に) 施行地区内の宅地について所有権を有する組合員から所有権を譲り受けた者は組合員になり,その組合員の権利義務は移転するので,賦課金徴収の議決があったときは、賦課金の納付義務を負います。 

●賦課金
(経費の賦課徴収)
第40条  組合は、その事業に要する経費に充てるため、賦課金として参加組合員以外の組合員に対して金銭を賦課徴収することができる。

2  賦課金の額は、組合員が施行地区内に有する宅地又は借地の位置、地積等を考慮して公平に定めなければならない。

3  組合員は、賦課金の納付について、相殺をもつて組合に対抗することができない。(平成17年・問23・肢2)

4  組合は、組合員が賦課金の納付を怠つた場合においては、定款で定めるところにより、その組合員に対して過怠金を課することができる。

3 換地処分は、換地計画に係る区域の全部について土地区画整理事業の工事がすべて完了した後でなければすることができない。

【正解:×原則=平成3年・問26・肢2,例外も含めて=平成10年・問23・肢1,18年・問24・肢3,

◆換地処分の時期

 換地処分は,原則として換地計画に係る区域の全部について土地区画整理事業の工事が完了した後において行わなければならないのですが(土地区画整理法103条2項)例外があります

 規準・規約・定款などで別段の定めがあれば区域の全部について土地区画整理事業の工事が完了していなくても,換地処分をすることができます。(土地区画整理法103条2項但書)

 したがって,<工事がすべて完了した場合でなければ,することができない>とする本肢は誤りです。

平成3年の問題では,『原則として』という文言が入っているのでになるが,平成10年,18年の問題では『原則として』という文言が入っていないために×というのは少しイジワルかもしれません。

4 組合施行の土地区画整理事業において、定款に特別の定めがある場合には、換地計画において、保留地の取得を希望する宅地建物取引業者に当該保留地に係る所有権が帰属するよう定めることができる。

【正解:×頻出

◆保留地

 換地計画において定められた保留地は、換地処分の公告があった日の翌日において,施行者が取得します(土地区画整理法104条11項)この後,施行者が処分することになります。

 (土地区画整理組合の場合は,換地計画,仮換地の指定,保留地の処分方法とも,総会の議決を経なければなりません。)

 したがって,換地計画で,保留地の取得を希望する宅建業者に当該保留地に係る所有権が帰属するように定めることはできません。


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