宅建過去問 法令上の制限
土地区画整理法の過去問アーカイブス 平成20年・問23 仮換地の指定
土地区画整理法における仮換地指定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 (平成20年・問23) |
1 土地区画整理事業の施行者である土地区画整理組合が、施行地区内の宅地について仮換地を指定する場合、あらかじめ、土地区画整理審議会の意見を聴かなければならない。 |
2 土地区画整理事業の施行者は、仮換地を指定した場合において、必要があると認めるときは、仮清算金を徴収し、又は交付することができる。 |
3 仮換地が指定された場合においては、従前の宅地について権原に基づき使用し、又は収益することができる者は、仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日まで、仮換地について、従前の宅地について有する権利の内容である使用又は収益と同じ使用又は収益をすることができる。 |
4 仮換地の指定を受けた場合、その処分により使用し、又は収益することができる者のなくなった従前の宅地は、当該処分により当該宅地を使用し、又は収益することができる者のなくなった時から、換地処分の公告がある日までは、施行者が管理するものとされている。 |
<コメント> |
肢1が正解というのは,20年は11ありますが,この問23は,出題者にとって出色の出来栄えです。各肢の配置といい,各肢の内容といい,なかなかのものです。(正答率は低いでしょう) 肢1で「誤りだろ」と思った受験者を,肢2で未知の知識に直面させ,「もしかしたら,肢2が誤りなのかな」と,疑心暗鬼にさせる手口。 ⇒ 初出題の肢があるから超難問とは限らない!! それが証拠に,肢3と肢4は,失礼ながら頻出問題。もっといい肢は 「区画整理法は苦手だから」とウロ覚え状態の受験者をイジめて喜ぶ出題者の顔が目に浮かびます。 〔解法のテクニック〕肢1でイキナリ正解型。サービスではなく,疑心暗鬼に 「既知3肢+未知1肢」の出題パターン |
●出題論点● |
(肢1) (肢2) (肢3) (肢4) |
【正解】1
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | ○ | ○ |
正答率 | 35.7% |
1 土地区画整理事業の施行者である土地区画整理組合が、施行地区内の宅地について仮換地を指定する場合、あらかじめ、土地区画整理審議会の意見を聴かなければならない。 |
【正解:×】平成7年・問27・肢2,平成14年・問22・肢4, ◆仮換地の指定−土地区画整理組合では総会の議決が必要 仮換地を指定するときに,あらかじめ,土地区画整理審議会の意見を聴くのは,公的施行者の場合です。 土地区画整理組合施行で,仮換地を指定するときは,総会もしくはその部会または総代会の同意を得る必要があります(98条3項)。 ▼本肢は,平成14年・問22・肢4のソックリ問題です。 |
2 土地区画整理事業の施行者は、仮換地を指定した場合において、必要があると認めるときは、仮清算金を徴収し、又は交付することができる。 |
【正解:○】初出題 ◆仮清算金の徴収−施行地区内の権利者相互間での微調整 施行者は,仮換地を指定した場合に,必要があると認めるときは,仮清算金を,清算金の徴収または交付の方法に準ずる方法により徴収し,または交付することができます(102条1項)。 仮清算金の徴収 ⇒ 仮清算金の交付 ⇒ ▼清算金と同じで,施行地区の権利者の中に利益の不均衡が生じた場合に,実施されます。また,清算金 (換地処分時に確定) と仮清算金との間に差額があるときは,清算時にその差額を徴収または交付します(110条1項)。 |
3 仮換地が指定された場合においては、従前の宅地について権原に基づき使用し、又は収益することができる者は、仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日まで、仮換地について、従前の宅地について有する権利の内容である使用又は収益と同じ使用又は収益をすることができる。 |
【正解:○】頻出問題 ◆仮換地の指定−従前の宅地を権原により使用・収益できる者 従前の宅地を権原により使用・収益できる者〔所有権者,賃借権者など〕は,指定された仮換地を,従前の宅地について有する権利と同じ内容で,使用収益することができます(99条1項)。 使用収益することができる期間は,仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日までです。 |
4 仮換地の指定を受けた場合、その処分により使用し、又は収益することができる者のなくなった従前の宅地は、当該処分により当該宅地を使用し、又は収益することができる者のなくなった時から、換地処分の公告がある日までは、施行者が管理するものとされている。 |
【正解:○】特に 平成14年・問22・肢3,平成16年・問22・肢3, ◆仮換地指定で使用収益する者がいなくなった宅地は施行者が管理する 仮換地の指定により使用収益することができる者のなくなった従前の宅地は,仮換地指定の効力の発生の日後,換地処分の公告がある日までは,施行者が管理します(100条の2)。 |