宅建過去問 法令上の制限 

諸法令の過去問アーカイブス 平成20年・問25 諸法令

 


 次の記述のうち、誤っているものはどれか。(平成20年・問25)

1 自然公園法によれば、風景地保護協定は、当該協定の公告がなされた後に当該協定の区域内の土地の所有者となった者に対しても、その効力が及ぶ。

2 土壌汚染対策法によれば、形質変更時要届出区域が指定された際、当該区域内で既に土地の形質の変更に着手している者は、その指定の日から起算して14日以内に、都道府県知事にその旨を届け出なければならない。 

3 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律によれば、防災再開発促進地区の区域内の一団の土地において、土地の所有者が一者しか存在しなくても、市町村長の認可を受ければ避難経路協定を定めることができ、当該協定はその認可の日から効力を有する。

4 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律によれば、傾斜度が30度以上である土地を急傾斜地といい、急傾斜地崩壊危険区域内において、土石の集積を行おうとする者は、原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。

<コメント>  
 この問題での自己採点集計での正答率は低いようですが,宅建試験での「常套的な出題方法」〔既知3肢+未知1肢〕であり,消去法で解ける場合があるということを知っていれば,肢3が初出題であっても,たやすく正解肢3に達することはできました。

 この問題は,知識量よりも,ノイズを外す方法を知っていれば簡単に解けてしまう恰好の問題です。

●出題論点●
 (肢1) 自然公園法・風景地保護協定

 (肢2) 土壌汚染対策法・形質変更届出区域

 (肢3) 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律・

     防災再開発促進地区,避難経路協定

 (肢4) 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律・急傾斜地崩壊危険区域

【正解】3

×

 正答率  50.2%

1 自然公園法によれば、風景地保護協定は、当該協定の公告がなされた後に当該協定の区域内の土地の所有者となった者に対しても、その効力が及ぶ。

【正解:平成15年・問25・肢4,

◆風景地保護協定−自然公園法〔国立公園・国定公園〕

 環境大臣・地方公共団体・公園管理団体は,国立公園又は国定公園内の自然の風景地の保護のため必要があると認めるときは,土地の所有者等と「風景地保護協定」を締結することができ,その公告がなされた後は,当該協定の区域内の土地の所有者となった者に対して,その効力が及びます(自然公園法・48条)

 公告があったことで「承知して購入した」とみなされるわけです。  

2 土壌汚染対策法によれば、形質変更時要届出区域が指定された際、当該区域内で既に土地の形質の変更に着手している者は、その指定の日から起算して14日以内に、都道府県知事にその旨を届け出なければならない。

【正解:平成16年・問25・肢2,

◆形質変更届出区域−土壌汚染対策法

 都道府県知事は,土壌汚染状況調査の結果,当該土地の土壌の特定有害物質による汚染状態が環境省令で定める基準に適合しないと認める場合には,当該土地の区域を形質変更時要届出区域として指定し,その旨を公示します(土壌汚染対策法・第11条・第1項,第3項)

  形質変更時要届出区域が指定された際に,その区域内において既に土地の形質の変更に着手している者は,その指定の日から起算して14日以内に,都道府県知事にその旨を届け出なければいけません(土壌汚染対策法・第12条・第2項)

3 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律によれば、防災再開発促進地区の区域内の一団の土地において、土地の所有者が一者しか存在しなくても、市町村長の認可を受ければ避難経路協定を定めることができ、当該協定はその認可の日から効力を有する。

【正解:×初出題

◆避難経路協定−密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律,防災再開発促進地区

 1) 避難経路協定

 防災再開発促進地区の区域内の一団の土地の所有者及び借地権を有する者(土地所有者等)は、その全員の合意※1により、火事又は地震が発生した場合の当該土地の区域における避難上必要な経路(避難経路)の整備又は管理に関する協定(避難経路協定)を締結することができます(289条1項)

 避難経路協定は,市町村長によって認可され,認可の公告のあった後に当該避難経路協定区域内の土地所有者等となった者に対しても、その効力があります(294条)

 2) 一人協定※2

 避難経路協定は、その一団の土地に土地所有者が一人であっても,市町村長の認可を受けて、当該土地の区域を避難経路協定区域とする避難経路協定を定めることができ,認可の日から起算して3年以内に二以上の土地所有者等が存することになった時から、上記の避難経路協定と同一の効力を有する避難経路協定となります(298条)。 

 本肢では,<認可の日から効力を有する>としているので,誤りです
 
※1 借地権の目的となっている土地については、当該借地権の目的となっている土地の所有者の合意を要しない(289条1項但書)。建築協定の場合と同じ。 

※2 建築基準法の建築協定の一人協定と同様のものと判断すればよい。

4 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律によれば、傾斜度が30度以上である土地を急傾斜地といい、急傾斜地崩壊危険区域内において、土石の集積を行おうとする者は、原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。

【正解:(定義) 平成10年・問25・肢3,
       (許可) 平成11年・問25・肢3,平成14年・問25・肢4,

◆急傾斜地崩壊危険区域−急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律

 「急傾斜地」とは,傾斜度が30度以上である土地をいいます(2条1項)

 急傾斜地崩壊危険区域は,崩壊するおそれのある急傾斜地を含む土地で所定の要件に該当するものの区域について都道府県知事が指定します(3条1項)

 急傾斜地崩壊危険区域内において当該急傾斜地の崩壊が助長され,又は誘発されるおそれがある行為をしようとする者は,原則として都道府県知事の許可を受けなければいけません(7条1項)


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