法令上の制限 実戦篇

建築基準法の過去問アーカイブス 昭和46年 

用途変更・審査請求・違反建築物・書類の閲覧


建築基準法に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和46年)

1.「建築物の用途を変更して,一定の用途に供する特殊建築物とする場合においては,原則として,その用途の変更の計画について建築主事の確認を受けなければならない。」

2.「建築監視員の処分についての審査請求は当該建築監視員を任命した市町村長又は都道府県知事に対してしなければならない。」

3.「特定行政庁は,建築基準法の規定に基づき違反是正の命令をした場合においては,当該命令に係る建築物について宅地建物取引業に係る取引をした宅地建物取引業者の氏名等を当該宅地建物取引業を監督する者に通知しなければならない。」

4.「特定行政庁は,確認に関する書類のうち,当該建築物又はその計画が建築基準関係規定に適合するものであることを表示している書類であって国土交通省令で定めるものについて,閲覧の請求があった場合には,これを閲覧させなければならない。」

【正解】

×

1.「建築物の用途を変更して,一定の用途に供する特殊建築物とする場合においては,原則として,その用途の変更の計画について建築主事の確認を受けなければならない。」

【正解:

◆用途変更〔建築物の用途を変更して特殊建築物にする〕

 建築物の用途を変更して100平方メートル超の特殊建築物にする場合は,政令で指定する類似の用途相互間におけるものを除いて

・建築主事の確認

・指定確認検査機関による確認

・建築物への完了検査 → ただし,用途変更の場合は,完了検査を申請するのではなく,工事完了届であることに注意。工事完了日から4日以内に建築主事に到達するように届け出る。(建築基準法・87条1項)

・国・都道府県・建築主事を置く市町村の建築物に対する確認の特例

の規定が準用され,建築主事または指定確認検査機関の確認を受け,「確認済証」の交付を受けなければなりません。(建築基準法・87条1項)

 建築確認は,用途変更のほか,建築設備〔エレベーター,エスカレーター,特定行政庁が指定するもの〕の設置や工作物〔政令で定めるもの〕の築造でも必要です。

●建築確認の規定の準用
 用途変更への準用 建築基準法・87条1項  完了検査の申請→完了の届出
 建築設備への準用 建築基準法・87条の2  −
 工作物への準用 建築基準法・88条  −
●用途変更と建築確認
(用途の変更に対するこの法律の準用)
第87条  建築物の用途を変更して第6条第1項第1号の特殊建築物のいずれかとする場合(当該用途の変更が政令で指定する類似の用途相互間におけるものである場合を除く。)においては、同条(第3項を除く。)、第6条の2、第6条の3(第1項第1号及び第2号の建築物に係る部分に限る。)、第7条第1項及び第18条第1項から第5項までの規定を準用する。この場合において、第7条第1項中「建築主事の検査を申請しなければならない」とあるのは、「建築主事に届け出なければならない」と読み替えるものとする。

2.「建築監視員の処分についての審査請求は当該建築監視員を任命した市町村長又は都道府県知事に対してしなければならない。」

【正解:×

◆審査請求

 × 市町村長又は都道府県知事 →  (当該市町村又は都道府県の)建築審査会

 特定行政庁,建築主事,建築監視員の処分に不服がある者は,当該市町村又は都道府県の建築審査会に対して審査請求をすることができます。(建築基準法・94条1項)

●建築審査会への審査請求
(不服申立て)
第94条  建築基準法令の規定による特定行政庁、建築主事若しくは建築監視員又は指定確認検査機関の処分又はこれに係る不作為に不服がある者は、行政不服審査法第3条第2項 に規定する処分庁又は不作為庁が、特定行政庁、建築主事又は建築監視員である場合にあつては当該市町村又は都道府県の建築審査会に、指定確認検査機関である場合にあつては当該処分又は不作為に係る建築物又は工作物について第6条第1項(第87条第1項、第87条の2又は第88条第1項若しくは第2項において準用する場合を含む。)の規定による確認をする権限を有する建築主事が置かれた市町村又は都道府県の建築審査会に対して審査請求をすることができる。

2  建築審査会は、前項の規定による審査請求を受理した場合においては、審査請求を受理した日から一月以内に、裁決をしなければならない。

3  建築審査会は、前項の裁決を行う場合においては、あらかじめ、審査請求人、特定行政庁、建築主事、建築監視員、指定確認検査機関その他の関係人又はこれらの者の代理人の出頭を求めて、公開による口頭審査を行わなければならない。

第95条  建築審査会の裁決に不服がある者は、国土交通大臣に対して再審査請求をすることができる。

(審査請求と訴訟との関係)
第96条  第94条第1項に規定する処分の取消しの訴えは、当該処分についての
審査請求に対する建築審査会の裁決を経た後でなければ、提起することができない

3.「特定行政庁は,建築基準法の規定に基づき違反是正の命令をした場合においては,当該命令に係る建築物について宅地建物取引業に係る取引をした宅地建物取引業者の氏名等を当該宅地建物取引業を監督する者に通知しなければならない。」

【正解:

◆取引をした宅地建物取引業者に対する措置

 特定行政庁は,違反是正の措置の命令や工事の施工の停止の命令をした場合(建築監視員が命令をした場合を含む。)は,

・当該建築物について宅地建物取引業に係る取引をした宅地建物取引業者の氏名又は名称及び住所その他国土交通省令で定める事項

 を,これらの者を監督する国土交通大臣又は都道府県知事に通知しなければなりません。 (建築基準法・9条の3第1項)

 また,国土交通大臣又は都道府県知事は,この通知を受けた場合は,遅滞なく,当該通知に係る者について,宅地建物取引業法 による免許又は許可の取消し,業務の停止の処分その他必要な措置を講ずるものとし,その結果を通知をした特定行政庁に通知しなければならないものとされています。(建築基準法・9条の3第2項)

●違反建築物への措置
(違反建築物の設計者等に対する措置)
第9条の3 特定行政庁は、第9条第1項又は第10項の規定による命令をした場合(建築監視員が同条第10項の規定による命令をした場合を含む。)においては、国土交通省令で定めるところにより、当該命令に係る建築物の設計者、工事監理者若しくは工事の請負人(請負工事の下請人を含む。次項において同じ。)若しくは当該建築物について宅地建物取引業に係る取引をした宅地建物取引業者又は当該命令に係る浄化槽の製造業者の氏名又は名称及び住所その他国土交通省令で定める事項を、建築士法 、建設業法 (昭和24年法律第100号)、浄化槽法(昭和58年法律第43号)又は宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)の定めるところによりこれらの者を監督する国土交通大臣又は都道府県知事に通知しなければならない。

2  国土交通大臣又は都道府県知事は、前項の規定による通知を受けた場合においては、遅滞なく、当該通知に係る者について、建築士法 、建設業法 、浄化槽法 又は宅地建物取引業法 による免許又は許可の取消し、業務の停止の処分その他必要な措置を講ずるものとし、その結果を同項の規定による通知をした特定行政庁に通知しなければならない。

4.「特定行政庁は,確認に関する書類のうち,当該建築物又はその計画が建築基準関係規定に適合するものであることを表示している書類であって国土交通省令で定めるものについて,閲覧の請求があった場合には,これを閲覧させなければならない。」

【正解:

◆書類の閲覧

 特定行政庁は,建築基準法令の規定による処分に係る建築物の敷地,構造,建築設備又は用途に関する台帳を整備しておくことになっています。(建築基準法・12条5項)

 特定行政庁は,建築確認などの処分に関する書類のうち,建築物や計画が建築基準関係規定に適合するものであることを表示している書類,具体的には,建築計画概要書等について,当該建築物が滅失し,又は除却されるまで,閲覧の請求があった場合には,閲覧させなければなりません。(建築基準法・93条の2,施行令11条の7)

●両区域外の制限
(書類の閲覧)
第93条の2  特定行政庁は、確認その他の建築基準法令の規定による処分に関する書類のうち、当該処分に係る建築物又はその計画が建築基準関係規定に適合するものであることを表示している書類であつて国土交通省令で定めるものについては、国土交通省令で定めるところにより、閲覧の請求があつた場合には、これを閲覧させなければならない。

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