法令上の制限 実戦篇

建築基準法の過去問アーカイブス 昭和49年 違反建築物に対する措置・建築監視員


建築基準法の建築監視員に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和49年)

1.「建築監視員は,違反建築物について,除却又は修繕の措置をとることを命ずることができる。」

2.「建築監視員は,違反建築物について,緊急の必要がある場合においては,直ちに,仮に使用禁止の命令をすることができる。

3.「建築監視員は,建築基準法に違反することが明らかな建築物について,緊急の必要があって,法定の手続によることができない場合においては,現場管理者に対して,工事の施工の停止を命ずることができる。」

4.「建築監視員は,建築工事の施工者に対して,建築工事の計画又は施工の状況に関する報告を求めることができる。」

【正解】

×

【正解:

◆違反建築物への措置−建築監視員

 違反建築物の除却又は修繕の措置の命令をすることができるのは特定行政庁だけです。(建築基準法・9条1項)

 建築監視員は,『違反建築物について,除却又は修繕の措置をとることを命ずること』はできません。したがって,トップバッターの肢1が誤りです。

 肢2〜肢4はですが,参考に知っておく程度で十分でしょう。

〔参考〕建築監視員

 特定行政庁は,当該市町村又は都道府県の職員のうちから建築監視員を命じ,特定行政庁の権限のうち下記の2つの権限を,建築監視員に行なわせることができます。(建築基準法・9条の2)

緊急の必要がある場合,建築基準法に定める手続によらないで,仮に,建築物又は建築物の敷地について使用禁止又は使用制限の命令をすることができる。(建築基準法・9条7項)→肢2

・建築基準法令の規定又は建築基準法の規定に基づく許可に付した条件に違反することが明らかな建築,修繕又は模様替の工事中の建築物について,緊急の必要があって建築基準法に定める手続によることができない場合に限り,これらの手続によらないで,当該建築物の建築主・当該工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)・現場管理者に対して,当該工事の施工の停止を命ずることができる。(建築基準法・9条10項)
→肢3

 また,建築監視員は,自己の権限として,建築物や建築物の敷地の所有者,管理者,占有者,建築主,設計者,工事監理者,工事施工者,指定確認検査機関に対して,建築物の敷地,構造,建築設備,用途,建築物に関する工事の計画,施工の状況に関する報告を求めることもできます。(建築基準法・12条3項)→肢4

●違反建築物への措置

(違反建築物に対する措置)
第9条  特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。

 特定行政庁は、緊急の必要がある場合においては、前五項の規定にかかわらず、これらに定める手続によらないで、仮に、使用禁止又は使用制限の命令をすることができる。

10  特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反することが明らかな建築、修繕又は模様替の工事中の建築物については、緊急の必要があつて第二項から第六項までに定める手続によることができない場合に限り、これらの手続によらないで、当該建築物の建築主又は当該工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者に対して、当該工事の施工の停止を命ずることができる。この場合において、これらの者が当該工事の現場にいないときは、当該工事に従事する者に対して、当該工事に係る作業の停止を命ずることができる。

(建築監視員)
第9条の2  特定行政庁は、政令で定めるところにより、当該市町村又は都道府県の職員のうちから
建築監視員を命じ、前条第7項及び第10項に規定する特定行政庁の権限を行なわせることができる。

(報告、検査等)
第12条  
 特定行政庁、建築主事又は建築監視員は、建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、工事監理者若しくは工事施工者又は第77条の21第1項の指定確認検査機関に対して、建築物の敷地、構造、建築設備若しくは用途又は建築物に関する工事の計画若しくは施工の状況に関する報告を求めることができる。


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