法令上の制限 実戦篇

建築基準法の過去問アーカイブス 昭和49年 集団規定と単体規定

都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域〔両区域外〕


土地及び建物についての建築基準法上の次の制限のうち,都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域においても適用のあるものはどれか。ただし,都道府県知事が市町村の意見を聴いて指定する区域については考えないものとする。(昭和49年)

1.「建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合は,建築基準法に定められた限度以下でなければならない。」

2.「建築物の敷地は,道路に建築基準法で定められた長さ以上接しなければならない。」

3.「建築物の建築面積の敷地面積に対する割合は,建築基準法に定められた限度以下でなければならない。」

4.「建築基準法で定められた高さ又は延べ面積を超える建築物で,その主要構造部の政令で定める部分に木材などの可燃材料を用いたものは,主要構造部を,耐火構造とするか,耐火性能検証法で確認されたものとしなければならない。」

【正解】

× × ×

【正解:

◆集団規定と単体規定

 両区域外でも適用されるものはどれかという問題設定ですが,
 実際は,集団規定と単体規定を正確に区別しているかタメす問題です。

 肢1〜肢3→集団規定肢4→単体規定

 集団規定 良好な市街地環境を確保する規定  都市計画区域及び
 
準都市計画区域内に適用。

 ただし,

 都市計画区域及び準都市計画区域外でも,
 知事の指定した区域内準景観地区内
 適用さる。

 単体規定 建築物の安全性と衛生を確保する規定  全国どこでも一律に適用

 建築基準法の集団規定と呼ばれる部分〔『第3章 都市計画区域等における建築物の敷地,構造,建築設備及び用途』〕(41条の2〜68条の9)都市計画区域及び準都市計画区域内にのみ適用されます。(建築基準法・41条の2)

 集団規定は,良好な市街地環境を確保する規定であり,

 建築物と敷地との関係や道路,壁面線,用途規制,容積率,建ぺい率,敷地面積,外壁後退距離,建築物の高さの制限,建築物の各部分の高さ〔道路斜線制限,隣地斜線制限,北側斜線制限〕,建築物の日影制限,地域地区等〔高層住居誘導地区,高度地区,高度利用地区,特定街区,都市再生特別地区,防火地域,特定防災街区整備地区,美観地区,地区計画等〕

 などの規定が第3章に置かれています。肢1〜肢3はこの中に入ります。

 これに対して,『第2章 建築物の敷地,構造及び建築設備』(19条〜41条)単体規定と呼ばれ,建築物の安全性と衛生を確保する規定です。

 肢4は大規模建築物の主要構造部に可燃材料を用いたときの規定(建築基準法・21条,施行令109条の4)で,単体規定に含まれます。単体規定は,全国どこでも一律に適用されるので,両区域外でも適用されます。

集団規定は,都市計画区域及び準都市計画区域内にのみ適用されるのが原則ですが,両区域外でも,都道府県知事が関係市町村の意見を聴いて指定する区域内では,地方公共団体は,必要と認めるときは,条例で,建築物又はその敷地と道路との関係,建築物の容積率,建ぺい率,建築物の高さその他の建築物の敷地又は構造に関して必要な制限を定めることができます。←用途制限はできないことに注意。

 また,市町村は両区域外に準景観地区を定めることができ,準景観地区でも,市町村は,必要と認めるときは,条例で,建築物の高さの最高限度・最低限度,壁面の位置の制限,建築物の敷地面積の最低限度のうち必要な制限を定めることができます。←用途制限はできないことに注意。

●両区域外の制限
第8節 都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域内の建築物の敷地及び構造

(都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域内の建築物に係る制限)
第68条の9  第6条第1項第4号の規定に基づき、都道府県知事が関係市町村の意見を聴いて指定する区域内においては、地方公共団体は、当該区域内における土地利用の状況等を考慮し、適正かつ合理的な土地利用を図るため必要と認めるときは、政令で定める基準に従い、条例で、建築物又はその敷地と道路との関係、建築物の容積率、建築物の高さその他の建築物の敷地又は構造に関して必要な制限を定めることができる。

2 景観法第七十四条第一項 の準景観地区内においては、市町村は、良好な景観の保全を図るため必要があると認めるときは、政令で定める基準に従い、条例で、建築物の高さ、壁面の位置その他の建築物の構造又は敷地に関して必要な制限を定めることができる。

●主要構造部についての規定
(大規模の建築物の主要構造部)
第21条  高さが13メートル又は軒の高さが9メートルを超える建築物(その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)の政令で定める部分の全部又は一部に木材、プラスチックその他の可燃材料を用いたものに限る。)は、第2条第9号の2イに掲げる基準に適合するもの
〔耐火建築物の主要構造部に該当するもの〕としなければならない。ただし、構造方法、主要構造部の防火の措置その他の事項について防火上必要な政令で定める技術的基準に適合する建築物(政令で定める用途に供するものを除く。)は、この限りでない。

2  延べ面積が3,000平方メートルを超える建築物(その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)の前項の政令で定める部分の全部又は一部に木材、プラスチックその他の可燃材料を用いたものに限る。)は、第2条第9号の2イに掲げる基準に適合するものとしなければならない。

(無窓の居室等の主要構造部)
第35条の3  政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、その居室を区画する主要構造部を耐火構造とし、又は不燃材料で造らなければならない。ただし、別表第一(い)欄(一)項に掲げる用途に供するものについては、この限りでない。
2条9号の2  耐火建築物 次に掲げる基準に適合する建築物をいう。

イ その主要構造部が(1)又は(2)のいずれかに該当すること。
(1) 耐火構造であること。
(2) 次に掲げる性能(外壁以外の主要構造部にあつては、(i)に掲げる性能に限る。)に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること。→ 耐火性能検証法
(i) 当該建築物の構造、建築設備及び用途に応じて屋内において発生が予測される火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。
(ii) 当該建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。


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