法令上の制限 実戦篇
建築基準法の過去問アーカイブス 昭和56年・問22 防火地域・準防火地域
建築基準法に関する記述のうち,正しいものはどれか。(昭和56年・問22) |
1.「防火地域内にある建築物で,外壁が耐火構造のものについては,その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。」 |
2.「防火地域内においては,建築物はすべて耐火建築物としなければならない。」 |
3.「準防火地域内においては,建築物の屋根はすべて耐火構造としなければならない。」 |
4.「建築物が防火地域および準防火地域にわたる場合には,全部について準防火地域内の建築物に対する規定を適用する。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | × | × |
1.「防火地域内にある建築物で,外壁が耐火構造のものについては,その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。」 |
【正解:○】昭和56年・問22,58年・問23,平成9年・問23,15年・問20 ◆隣地境界線に接する外壁−防火地域又は準防火地域内にある建築物− 防火地域・準防火地域内にあり外壁が耐火構造の建築物は外壁を隣地境界線に接して設けることができます。(建築基準法・65条) |
2.「防火地域内においては,建築物はすべて耐火建築物としなければならない。」 |
【正解:×】 ◆防火地域内の建築物 防火地域内の建築物は,原則として,階数や延べ面積によって耐火建築物か準耐火建築物のどちらかにしなければなりません。『建築物はすべて耐火建築物としなければならない』とする本肢は誤りです。(建築基準法・61条1号)
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3.「準防火地域内においては,建築物の屋根はすべて耐火構造としなければならない。」 |
【正解:×】昭和56年・問22・肢3,昭和58年・問23・肢3,平成2年・問22・肢4,平成9年・問23・肢2, ◆防火地域・準防火地域内の屋根の構造 防火地域又は準防火地域に指定された市街地は,通常の区域よりも建物が稠密で,火の粉の大きさも大きくなることが予想されます。このため,市街地における通常の火災による火の粉で屋根が燃えることのないように,建築物の構造及び用途の区分に応じて屋根の構造の性能の規定化が図られています。 昭和56年当時は,『防火地域又は準防火地域内においては,建築物の屋根で耐火構造でないものは,不燃材料で造り,又はふかなければならない』という規定でしたが,現在では,建築物の構造及び用途の区分に応じて屋根の構造が定められており,建築物の屋根はすべて耐火構造としなければならないわけではありません。(建築基準法・63条,施行令136条の2の2,建設省告示・平成12年5月25日・1365号) |
●防火地域・準防火地域の屋根 |
(屋根) 第63条 防火地域又は準防火地域内の建築物の屋根の構造は、市街地における火災を想定した火の粉による建築物の火災の発生を防止するために屋根に必要とされる性能に関して建築物の構造及び用途の区分に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。 |
4.「建築物が防火地域および準防火地域にわたる場合には,全部について準防火地域内の建築物に対する規定を適用する。」 |
【正解:×】昭和56年・平成9年・13年と同一問題 ◆防火地域・準防火地域にわたる場合 → 厳しいほうの防火地域の規定が適用
建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合には,原則として,その全部について,防火地域内の建築物に関する規定が適用されます。(建築基準法・67条2項) ▼例外 (平成16年出題)建築物が防火地域外で防火壁により区画されているときは,その防火壁外の部分については,準防火地域内の建築物の規定が適用されます。 (建築基準法・67条2項但書)
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