法令上の制限 実戦篇
建築基準法の過去問アーカイブス 昭和57年・問21 建築確認
建築基準法上,次の記述のうち正しいものはどれか。(昭和57年・問21) |
1.「鉄筋コンクリート造り2階建ての住宅用建築物を新築しようとする場合,都市計画区域及び準都市計画区域外の区域であれば,建築確認が不要である。」 改 |
2.「すべての建築物について,その設計及び工事監理を建築士が行わなければ,工事ができないこととなっている。」 |
3.「建築に際し建築確認が必要である建築物であっても,木造2階建ての住宅用建築物であれば,建築工事完了後に建築主事に完了検査を申請する必要はない。」 |
4.「鉄筋コンクリート造り5階建ての共同住宅用建築物の新築の場合,検査済証の交付前であっても,その建築物の使用ができるときがある。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | × | ○ |
1.「鉄筋コンクリート造り2階建ての住宅用建築物を新築しようとする場合,都市計画区域及び準都市計画区域外の区域であれば,建築確認が不要である。」 改 |
【正解:×】 ◆両区域外での建築確認 両方区域外(都市計画区域及び準都市計画区域外の区域)でも,全国一律に建築確認が必要な建築物がありました。↓(建築基準法・6条1項1号〜3号)
本肢の場合は,『階数が2以上の木造以外の建築物』に該当し,建築確認が必要なので,本肢は誤りです。 また,両方区域外でも,関係市町村の意見を聴いて,都道府県知事が指定する区域内では,上記以外の建築物でも建築確認を受けなればいけません。(建築基準法・6条1項4号) |
2.「すべての建築物について,その設計及び工事監理を建築士が行わなければ,工事ができないこととなっている。」 |
【正解:×】昭和57年・問21・肢2,(関連平成5年・問21・肢1,か ◆建築士が設計・工事監理しなければならない場合 建築士法では,建築士が設計や工事監理を行わなければならない場合が規定されてます。つまり,一定の建築物の設計や工事監理は建築士法で定められた者でなければできません。(建築士法第3条から第3条の3まで) 建築主事〔指定確認検査機関〕は,確認の申請書が提出された場合に,その計画がこの規定に違反するときは,当該申請書を受理することができません。(建築基準法・6条3項) しかし,『すべての建築物について,その設計及び工事監理を建築士が行わなければならない』ということではないので,本肢は誤りです。 |
●建築士法3条 |
(一級建築士でなければできない設計又は工事監理) 第3条 左の各号に掲げる建築物(建築基準法第85条第1項又は第2項に規定する応急仮設建築物を除く。以下この章中同様とする。)を新築する場合においては、一級建築士でなければ、その設計又は工事監理をしてはならない。 一 学校、病院、劇場、映画館、観覧場、公会堂、集会場(オーデイトリアムを有しないものを除く。)又は百貨店の用途に供する建築物で、延べ面積が500平方メートルをこえるもの 二 木造の建築物又は建築物の部分で、高さが13メートル又は軒の高さが9メートルを超えるもの 三 鉄筋コンクリート造、鉄骨造、石造、れん瓦造、コンクリートブロツク造若しくは無筋コンクリート造の建築物又は建築物の部分で、延べ面積が300平方メートル、高さが13メートル又は軒の高さが9メートルをこえるもの 四 延べ面積が1,000平方メートルをこえ、且つ、階数が2以上の建築物 2 建築物を増築し、改築し、又は建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をする場合においては、当該増築、改築、修繕又は模様替に係る部分を新築するものとみなして前項の規定を適用する。 |
3.「建築に際し建築確認が必要である建築物であっても,木造2階建ての住宅用建築物であれば,建築工事完了後に建築主事に完了検査を申請する必要はない。」 |
【正解:×】昭和57年・問21,平成4年・問21・肢3,平成8年・問23,平成14年・問21, ◆完了検査の申請は完了した日から4日以内に到達しなければならない <木造2階建ての住宅用建築物であれば,建築工事完了後に建築主事に完了検査を申請する必要はない。>という規定はありません。 建築確認が必要な建築物は,工事が完了すれば,完了検査の申請をしなければなりません。〔工事完了の届出ではないことに注意〕 完了検査の申請は,国土交通省令で定めるやむを得ない理由があるときを除いて,工事が完了した日から4日以内に到達しなければなりません。(建築基準法・7条2項) ▼用途変更の場合は,完了検査の申請ではなく,工事が完了した旨の届出になることに注意。(建築基準法・87条1項) |
●完了検査と検査済証 |
(建築物に関する完了検査) 第7条 建築主は、第6条第1項の規定による工事を完了したときは、国土交通省令で定めるところにより、建築主事の検査を申請しなければならない。 2 前項の規定による申請は、第6条第1項の規定による工事が完了した日から4日以内に建築主事に到達するように、しなければならない。ただし、申請をしなかつたことについて国土交通省令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。 3 前項ただし書の場合における検査の申請は、その理由がやんだ日から4日以内に建築主事に到達するように、しなければならない。 4 建築主事が第1項の規定による申請を受理した場合においては、建築主事又はその委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の職員(以下この章において「建築主事等」という。)は、その申請を受理した日から7日以内に、当該工事に係る建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合しているかどうかを検査しなければならない。 5 建築主事等は、前項の規定による検査をした場合において、当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していることを認めたときは、国土交通省令で定めるところにより、当該建築物の建築主に対して検査済証を交付しなければならない。 |
4.「鉄筋コンクリート造り5階建ての共同住宅用建築物の新築の場合,検査済証の交付前であっても,その建築物の使用ができるときがある。」 |
【正解:○】平成元年・問23・肢2,〔検査済証交付前に使用できる場合〕昭和57年・問21・肢4,〔検査の申請から7日を経過したとき〕平成8年・問23・肢4, ◆検査済証の交付前であっても,その建築物の使用ができる場合 本肢の建築物は『100平方メートル超の特殊建築物』に該当すると考えられ〔共同住宅は特殊建築物〕,また『100平方メートル超の特殊建築物』ではなかったとしても<鉄筋コンクリート造り5階建>であることから『木造以外の一定規模の建築物』に該当します。 『100平方メートル超の特殊建築物』・『木造の大規模建築物』・『木造以外の一定規模の建築物』の新築・増築・改築・大規模の模様替・大規模の修繕の工事では,原則として検査済証の交付を受けた後でなければ使用することができません。〔この規定は建築設備の設置にも準用されています。〕(建築基準法・7条の6第1項) ⇒ 厳密には,「避難施設等に関する工事」を含むものをする場合であることに注意。 しかし,これには下記のように例外があり,検査済証の交付がなくても使用できる場合があります。
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●使用制限 |
(検査済証の交付を受けるまでの建築物の使用制限) 第7条の6 第6条第1項第1号から第3号までの建築物を新築する場合又はこれらの建築物(共同住宅以外の住宅及び居室を有しない建築物を除く。)の増築、改築、移転、大規模の修繕若しくは大規模の模様替の工事で、廊下、階段、出入口その他の避難施設、消火栓、スプリンクラーその他の消火設備、排煙設備、非常用の照明装置、非常用の昇降機若しくは防火区画で政令で定めるものに関する工事(政令で定める軽易な工事を除く。以下この項、第18条第22項及び第90条の3において「避難施設等に関する工事」という。)を含むものをする場合においては、当該建築物の建築主は、第7条第5項の検査済証の交付を受けた後でなければ、当該新築に係る建築物又は当該避難施設等に関する工事に係る建築物若しくは建築物の部分を使用し、又は使用させてはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合には、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物又は建築物の部分を使用し、又は使用させることができる。 一 特定行政庁(第7条第1項の規定による申請が受理された後においては、建築主事)が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認めて仮使用の承認をしたとき。 二 第7条第1項の規定による申請が受理された日(第7条の2第1項の規定による指定を受けた者が同項の規定による検査の引受けを行つた場合にあつては、当該検査の引受けに係る工事が完了した日又は当該検査の引受けを行つた日のいずれか遅い日)から七日を経過したとき。 2 前項第一号の仮使用の承認の申請の手続に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。 |