法令上の制限 実戦篇

建築基準法の過去問アーカイブス 昭和58年・問23 防火地域・準防火地域


防火地域,準防火地域に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和58年・問23)

1.「防火地域内においては,階数が3以上である建築物は原則として耐火建築物としなければならない。 」

2.「準防火地域内においては,地階を除く階数が4以上である建築物は原則として準耐火建築物としなければならない。

3.「防火地域又は準防火地域内においては,建築物の屋根の構造は,市街地における火災を想定した火の粉による建築物の火災の発生を防止するために屋根に必要とされる性能に関して建築物の構造及び用途の区分に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので,国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。」 

4.「防火地域又は準防火地域内にある建築物で外壁が耐火構造のものについては,その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。」

【正解】

×

1.「防火地域内においては,階数が3以上である建築物は原則として耐火建築物としなければならない。 」

【正解:

◆防火地域−地階を含む階数が3以上⇒耐火建築物

 防火地域内,階数が3以上
 ↓
 階数が3以上なので 耐火建築物

 防火地域内の建築物で階数が3以上のものは,耐火建築物にしなければなりません(建築基準法・61条1号)

●防火地域内の建築物
 階数が3以上,又は

 延べ面積が100平方メートルを超える建築物

 耐火建築物
 上記以外の建築物  耐火建築物,or,

 準耐火建築物

延べ面積 \ 地階を含む階数 2以下 3以上
延べ面積≦100平方メートル 耐火 or 準耐火 耐火建築物
100平方メートル<延べ面積 耐火建築物 耐火建築物

2.「準防火地域内においては,地階を除く階数が4以上である建築物は原則として準耐火建築物としなければならない。

【正解:×

◆準防火地域−地階を除く階数が4以上⇒耐火建築物

 準防火地域内,地階を除く階数が4以上
 ↓
 地階を除く階数が4以上なので,耐火建築物

 準防火地域内の建築物で階数が4以上のものは,耐火建築物にしなければなりません。「準耐火建築物としなければならない」とする本肢は誤りです。(建築基準法・62条1号)

●準防火地域内の建築物
地階を除く階数が4以上である建築物,又は

延べ面積が1,500平方メートルを超える建築物

 耐火建築物
地階を除く階数が3以下で,かつ,

延べ面積が500平方メートルを超え

1,500平方メートル以下の建築物

 耐火建築物,or,

 準耐火建築物

地階を除く階数が3,かつ,

延べ面積が500平方メートル以下である建築物

 耐火建築物,or,

 準耐火建築物,or,

 防火上必要な,政令で定める
 技術的基準に適合する建築物

 外壁の開口部の構造及び面積,主要構造部の防火の措置その他の事項について 防火上必要な政令で定める技術的基準に適合する建築物

〔注意〕500平方メートル<延べ面積≦1,500平方メートルであっても,地階を除く階数が4以上のときは,耐火建築物になることに注意してください。

延べ面積 \ 地階を除く階数 2以下 4以上
延べ面積≦500平方メートル        耐火 or 準耐火 or

技術的基準に適合

耐火
500平方メートル<延べ面積≦1,500平方メートル 耐火 or 準耐火 耐火 or 準耐火 耐火
1,500平方メートル<延べ面積 耐火 耐火 耐火

3.「防火地域又は準防火地域内においては,建築物の屋根の構造は,市街地における火災を想定した火の粉による建築物の火災の発生を防止するために屋根に必要とされる性能に関して建築物の構造及び用途の区分に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので,国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。」 

【正解:昭和56年・問22・肢3,昭和58年・問23・肢3,平成2年・問22・肢4,平成9年・問23・肢2,

◆防火地域・準防火地域内の屋根の構造

 防火地域又は準防火地域に指定された市街地は,通常の区域よりも建物が稠密で,火の粉の大きさも大きくなることが予想されます。このため,市街地における通常の火災による火の粉で屋根が燃えることのないように,建築物の構造及び用途の区分に応じて屋根の構造の性能の規定化が図られています。(建築基準法・63条,施行令136条の2の2,建設省告示・平成12年5月25日・1365号)

●屋根の構造
(屋根不燃区域内の屋根の構造)
第22条  特定行政庁が防火地域及び準防火地域以外の市街地について指定する区域内にある建築物の屋根の構造は、通常の火災を想定した火の粉による建築物の火災の発生を防止するために屋根に必要とされる性能に関して建築物の構造及び用途の区分に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。ただし、茶室、あずまやその他これらに類する建築物又は延べ面積が10平方メートル以内の物置、納屋その他これらに類する建築物の屋根の延焼のおそれのある部分以外の部分については、この限りでない。(⇒施行令109条の5)通常の火災を想定して,火の粉からの有害な発炎・室内に達する防火上有害な溶融・き裂その他の損傷を防止する。

(防火地域・準防火地域内の屋根の構造)
第63条  
防火地域又は準防火地域内の建築物の屋根の構造は、市街地における火災を想定した火の粉による建築物の火災の発生を防止するために屋根に必要とされる性能に関して建築物の構造及び用途の区分に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。(⇒施行令136条の2の2)市街地における通常の火災を想定して,火の粉からの有害な発炎・室内に達する防火上有害な溶融・き裂その他の損傷を防止する。

4.「防火地域又は準防火地域内にある建築物で外壁が耐火構造のものについては,その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。」

【正解:昭和56年・問22,58年・問23,平成9年・問23,15年・問20

◆隣地境界線に接する外壁−防火地域又は準防火地域内にある建築物−

 防火地域・準防火地域内にあり外壁が耐火構造の建築物は外壁を隣地境界線に接して設けることができます。(建築基準法・65条)


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