法令上の制限 実戦篇

建築基準法の過去問アーカイブス 昭和58年・問24 単体規定・防火規制


建築基準法に定める建築物の敷地,構造及び設備に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和58年・問24)

1.「防火地域及び準防火地域以外の市街地について指定する区域内にあり主要構造部のうち政令で定める部分が木造の建築物は,その外壁で延焼のおそれのある部分を防火性能に関して政令で定める技術的基準に適合する一定の構造としなければならない」

2.「高さが13mを超える建築物は,床,屋根及び階段を除く主要構造部の政令で定める部分の全部又は一部に木材を用いた場合,原則として,その主要構造部は耐火構造であるか,政令で定める技術的基準に適合するものとしなければならない。」

3.「住宅の居室で地階に設けるものは,壁及び床の防湿の措置その他の事項について衛生上必要な政令で定める技術的基準に適合するものとしなければならない。」

4.「建築物に設ける昇降機は,安全な構造で,かつ,その昇降路の周壁及び開口部は,防火上支障がない構造でなければならない。」

【正解】

×

1.「防火地域及び準防火地域以外の市街地について指定する区域内にあり主要構造部のうち政令で定める部分が木造の建築物は,その外壁で延焼のおそれのある部分を防火性能に関して政令で定める技術的基準に適合する一定の構造としなければならない」

【正解:×

◆延べ面積が1,000平方メートルを超える木造の大規模建築物

 ×防火性能→準防火性能

 なお,防火地域及び準防火地域以外の市街地について指定する区域とは、22条1項のいわゆる屋根不燃区域のことです。

木造建築物等・・・主要構造部(この場合は,床・屋根・階段を除く壁,柱,はりを指す。)の政令で定める部分が木材、プラスチックその他の可燃材料で造られたもの(建築基準法・23条,施行令109条の4)

主要構造部・・・壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、附け柱、揚げ床、最下階の床、廻り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。(建築基準法・2条5号)

●大規模の木造建築物等の外壁と屋根
(大規模の木造建築物等の外壁等)
第25条  延べ面積(同一敷地内に2以上の木造建築物等がある場合においては、その延べ面積の合計)が1,000平方メートルを超える木造建築物等は、その外壁及び軒裏で延焼のおそれのある部分を防火構造とし、その屋根の構造を第22条第1項に規定する構造〔22条1項の屋根不燃区域の屋根の規定〕としなければならない。

(屋根不燃区域)
22  特定行政庁が防火地域及び準防火地域以外の市街地について指定する区域内にある建築物の屋根の構造は、通常の火災を想定した火の粉による建築物の火災の発生を防止するために屋根に必要とされる性能に関して建築物の構造及び用途の区分に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。ただし、茶室、あずまやその他これらに類する建築物又は延べ面積が十平方メートル以内の物置、納屋その他これらに類する建築物の屋根の延焼のおそれのある部分以外の部分については、この限りでない。

2.「高さが13mを超える建築物は,床,屋根及び階段を除く主要構造部の政令で定める部分の全部又は一部に木材を用いた場合,原則として,その主要構造部は耐火構造であるか,政令で定める技術的基準に適合するものとしなければならない。」

【正解:昭和58年・問24,平成7年・問21

◆高さ13m超 or 軒高9m超の建築物では,主要構造部に可燃材料を用いるときは,原則として,主要構造部を耐火構造等にしなければならない

 高さが13メートル又は軒の高さが9メートルを超える建築物で主要構造部に可燃材料を用いたものは,原則として,主要構造部を耐火構造または政令で定める技術的基準に適合する性能をもつものにしなければなりません。(建築基準法21条1項)

●主要構造部に可燃材料を用いた建築物→耐火構造等にしなければならない
(大規模の建築物の主要構造部)
第21条  高さが13メートル又は軒の高さが9メートルを超える建築物
(その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)の政令で定める部分の全部又は一部に木材、プラスチックその他の可燃材料を用いたものに限る。)は、第2条第9号の2イに掲げる基準に適合するもの〔主要構造部が耐火構造または政令で定める基準に適合するもの〕としなければならない。ただし、構造方法、主要構造部の防火の措置その他の事項について防火上必要な政令で定める技術的基準に適合する建築物(政令で定める用途に供するものを除く。)は、この限りでない。

2 延べ面積が3,000平方メートルを超える建築物(その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)の前項の政令で定める部分の全部又は一部に木材、プラスチックその他の可燃材料を用いたものに限る。)は、第2条第9号の2イに掲げる基準に適合するものとしなければならない。

2条9号の2  耐火建築物 次に掲げる基準に適合する建築物をいう。
イ その主要構造部が(1)又は(2)のいずれかに該当すること。
(1) 耐火構造であること。
(2) 次に掲げる性能(外壁以外の主要構造部にあつては、(i)に掲げる性能に限る。)に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること。→ 耐火性能検証法
(i) 当該建築物の構造、建築設備及び用途に応じて屋内において発生が予測される火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。
(ii) 当該建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。

3.「住宅の居室で地階に設けるものは,壁及び床の防湿の措置その他の事項について衛生上必要な政令で定める技術的基準に適合するものとしなければならない。」

【正解:昭和58年・問24・肢3,平成9年・問25・肢4,

◆地階に設ける住宅等の居室

 住宅の居室で地階に設けるものは,壁及び床の防湿の措置その他の事項について衛生上必要な政令で定める技術的基準に適合するものとしなければなりません。(建築基準法・29条,施行令22条の2)

地階・・・床が地盤面下にある階で,床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さ〔床面から天井の位置までの高さ〕の3分の1以上のものをいう。(施行令1条2号)

 → 地階の部屋の天井の位置が地盤面より上にあってもよい。

●地階に設ける住宅等の居室
(地階における住宅等の居室)
第29条  住宅の居室、学校の教室、病院の病室又は寄宿舎の寝室で地階に設けるものは、壁及び床の防湿の措置その他の事項について衛生上必要な政令で定める技術的基準に適合するものとしなければならない。

4.「建築物に設ける昇降機は,安全な構造で,かつ,その昇降路の周壁及び開口部は,防火上支障がない構造でなければならない。」

【正解:

◆建築物に設ける昇降機

 建築物に設ける昇降機は,安全な構造で,かつ,その昇降路の周壁及び開口部は,防火上支障がない構造でなければならない。(建築基準法・34条1項)

●昇降機
第34条  建築物に設ける昇降機は、安全な構造で、かつ、その昇降路の周壁及び開口部は、防火上支障がない構造でなければならない。

2  高さ31メートルをこえる建築物(政令で定めるものを除く。)には、非常用の昇降機を設けなければならない。


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