税法その他 実戦篇

住宅金融支援機構法の過去問アーカイブス 平成18年・問46 


〔改題〕住宅金融支援機構 (以下この問において 「機構」 という。) に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(平成18年・問46)

1 平成19年4月に独立行政法人住宅金融支援機構が設立されるが、住宅金融公庫が貸付けた住宅ローンの貸付金の回収は、引き続き住宅金融公庫が行う。

2 証券化支援事業 (買取型) の住宅ローン金利は、機構が決定しているので、どの取扱金融機関に申し込んでも金利は同一である。

3 証券化支援事業 (買取型) の住宅ローン金利は、短期変動金利である。

4 機構の融資を受けている者が、貸付金の弁済期日が到来する前に、貸付金の全部又は一部を繰り上げて返済することができる場合がある。。

<コメント>  
   肢1は住宅金融公庫法ではなく,住宅金融支援法からの出題です。また,肢2,肢3は証券化支援事業 (買取型) の出題で,住宅金融公庫の出題といっても,大半の受験者は知らなかったと思われます。ただ,肢1〜肢3は初出題であっても,過去問で頻出の肢4は誰もが見たことがある問題でした。
 つまり,3つの肢で見知らぬものがあっても,残り一つが既知の問題という構成でした。この<3未知+1既知>という出題パターンは宅建ではよく見かけるパターンです。

 なお,平成19年の宅建試験で,住宅金融支援機構法そのものが出題されるかどうかは現段階ではわかりません。

【正解】

× × ×

 正答率  86.8%

1 平成19年4月に独立行政法人住宅金融支援機構が設立されるが、住宅金融公庫が貸付けた住宅ローンの貸付金の回収は、引き続き住宅金融公庫が行う。

【正解:×反則問題・初出題

◆公庫が貸し付けた住宅ローン債権の承継

 住宅金融支援機構は,解散した住宅金融公庫の一切の権利及び義務は,国が承継する資産を除いて,公庫の解散時に機構が承継します(附則3条1項)。⇒平成17年7月6日施行

 公庫が貸付けた貸付金の管理・回収は,機構が行う(附則7条1項,平成19年4月1日施行)ので,本肢は誤りです。

宅建試験は,実施年の4月1日現在の施行法令について出題するはずですが,総論の附則3条[公庫の債権は機構が承継する]は平成17年7月6日に施行されているとしても,各論である附則7条[公庫が貸し付けた資金についての債権の回収は機構が行う]は,平成17年に公布はされていても,厳密にはまだ未施行でした。その意味では反則問題でした。

 ただし,今後は公布された法令については未施行部分も関連するもの【想定されるもの】として出題されることがあり得るということを知っておく必要があるでしょう。

●住宅金融支援機構法・附則
(施行期日)
第1条  この法律は、平成19年4月1日から施行する。ただし、第29条第1項並びに附則第3条、第6条、第21条及び第22条の規定は、公布の日(平成17年7月6日)から施行する。

(公庫の解散並びに権利及び義務の承継等)
第3条
 住宅金融公庫(以下「公庫」という。)は、機構の成立の時において解散するものとし、その一切の権利及び義務は、次項の規定により国が承継する資産を除き、その時において機構が承継する。

(権利及び義務の承継に伴う経過措置)
第5条
 公庫がこの法律の施行前に締結した貸付契約に係る貸付金その他の貸付けに係る事項については、なお従前の例による。

(業務の特例等)
第7条
 機構は、第13条に規定する業務のほか、次の業務を行うものとする。
 一 附則第3条第1項の規定により機構が承継する公庫が貸し付けた資金に係る債権の回収が終了するまでの間、当該債権の管理及び回収を行うこと。

2 証券化支援事業 (買取型) の住宅ローン金利は、機構が決定しているので、どの取扱金融機関に申し込んでも金利は同一である。

3 証券化支援事業 (買取型) の住宅ローン金利は、短期変動金利である。

【正解:×ともに初出題

◆証券化支援事業の住宅ローン金利

 証券化支援事業 (買取型,保証型) の住宅ローン金利は,長期固定金利(全期間同一金利,または二段階金利。この場合の固定金利は,貸付時に,償還期間での金利が確定しているものを言う。)です。金利は取り扱う金融機関により異なります

 証券化支援事業 (買取型) とは,住宅金融支援機構が,金融機関の債権を譲り受けるシステムです(金融機関は,住宅金融支援機構に,住宅ローン債権を譲渡します)。

 http://www.flat35.com/
 http://www.flat35.com/guide/shikumi/index.html

4 機構の融資を受けている者が、貸付金の弁済期日が到来する前に、貸付金の全部又は一部を繰り上げて返済することができる場合がある。

【正解:

◆貸付金の償還方法

 機構から貸付けを受けた者 (包括承継人を含む) は,原則として,割賦償還で償還するのが原則ですが,「貸付金の弁済期日が到来する前に,貸付金額の全部又は一部の償還をすることができる場合」や,「死亡時に一括償還できる場合」もあります。

 また,機構は,貸付けを受けた者とあらかじめ契約を締結して、その者が死亡した場合(重度障害の状態となった場合を含む。)に支払われる生命保険の保険金,生命共済の共済金を当該貸付けに係る債務の弁済に充当することもできます(13条1項10号)

●弁済期日が到来する前に、貸付金額の全部又は一部の償還をすることができる場合
・災害予防代替建築物の建設・購入(合わせて付随する土地・借地権の取得も含む),災害予防移転建築物の移転(合わせて付随する土地・借地権の取得も含む),災害予防関連工事,耐震関連の住宅改良(地震に対する安全性の向上を主たる目的とする住宅の改良),

・合理的土地利用建築物の建設(合わせて付随する土地・借地権の取得も含む)・購入,マンションの共用部分の改良,

・子供を育成する家庭,高齢者の家庭に適した賃貸住宅の建設(合わせて付随する土地・借地権の取得も含む),当該賃貸住宅の改良

●死亡時に一括償還をすることができる場合
・高齢者が自ら居住する住宅とするために行う合理的土地利用建築物の建替えでの住宅部分の建設・購入,

・高齢者が自ら居住する住宅について行う一定の改良

●生命保険の保険金などによる一括償還をすることができる場合
・証券化支援事業(買取型) により譲り受けた住宅ローン債権に係る貸付けを受けた者

・災害復興建築物の建設・購入,被災建築物の補修に必要な資金(当該災害復興建築物の建設若しくは購入又は当該被災建築物の補修に付随する土地・借地権の取得に必要な資金を含む。)

・災害予防代替建築物の建設・購入(合わせて付随する土地・借地権の取得も含む),災害予防移転建築物の移転(合わせて付随する土地・借地権の取得も含む),災害予防関連工事,耐震関連の住宅改良(地震に対する安全性の向上を主たる目的とする住宅の改良),

・合理的土地利用建築物の建設,合理的土地利用建築物で人の居住の用その他その本来の用途に供したことのないものの購入に必要な資金(当該合理的土地利用建築物の建設又は購入に付随する合わせて付随する土地・借地権の取得も含む),マンションの共用部分の改良


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