過去問で学ぶ 区分所有法入門
区分所有法の過去問アーカイブス 宅建・平成10年・問13
ガイド | 集会招集の請求・共用部分の軽微な変更・占有者の義務・ 建替え賛成者等による売渡し請求 |
建物の区分所有等に関する法律(以下この問において「区分所有法」という。)に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(宅建・平成10年・問13) |
1.「区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは,管理者に対し,会議の目的たる事項を示して,集会の招集を請求することができるが,この定数は,規約によって減ずることができる。」 |
2.「その形状又は効用の著しい変更を伴わない共用部分の変更については,規約に別段の定めがない場合は,区分所有者及び議決権の各過半数による集会の決議で決することができる。」改 |
3.「占有者は,建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき,区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。」 |
4.「区分所有法第62条第1項に規定する建替え決議が集会においてなされた場合,決議に反対した区分所有者は,決議に賛成した区分所有者に対し,建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | ○ | × |
1.「区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは,管理者に対し,会議の目的たる事項を示して,集会の招集を請求することができるが,この定数は,規約によって減ずることができる。」 |
【正解:○】 ◆集会招集の請求 集会は,管理者または理事〔管理組合法人〕がいる場合には,管理者または理事が招集します。しかし,集会を招集する必要があるのに,管理者や理事が招集しないときは,区分所有者の1/5以上で議決権の1/5以上を有する者は,管理者または理事に対し,会議の目的たる事項〔議題〕を示して,集会の招集を請求することができます。(34条2項) この「区分所有者の1/5以上で議決権の1/5以上」という定数は規約によって引き下げることはできますが〔例えば区分所有者の1/10以上で議決権の1/10以上〕,引き上げることはできません。〔例えば区分所有者の1/3以上で議決権の1/3以上〕 (↑条文では,「この定数を減ずることができる」となっているため。) また,「区分所有者のみの1/5以上」などとすることもできます。(新しいマンション法p.214) ●区分所有者同士は,文字通り1つ屋根の下に暮らす者同士であり,より緊密なコミュニケーションが図りやすいよう多数決主義(第39条1項)の例外として,集会招集の議決については,集会がされやすいよう,このように緩和措置がとられています。 |
●招集権者 | |
管理者または理事がいる場合 | 管理者 または 〔法人〕理事 |
管理者または理事がいない場合 | 区分所有者の1/5以上で 議決権の1/5以上を有する者 |
2.「その形状又は効用の著しい変更を伴わない共用部分の変更については,規約に別段の定めがない場合は,区分所有者及び議決権の各過半数による集会の決議で決することができる。」改 |
【正解:○】 ◆共用部分の軽微な変更 “形状又は効用の著しい変更を伴う” 共用部分の変更は,区分所有者及び議決権の各4分の3以上の集会の決議で決します(第17条1項)。 しかし,“形状又は効用の著しい変更を伴わない” 共用部分の変更の場合は,規約に別段の定めがなければ,区分所有者及び議決権の各過半数で決します(第39条1項)。 |
3.「占有者は,建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき,区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。」 |
【正解:○】 ◆占有者の義務 建物又はその敷地若しくは付属施設の使用方法についての規約及び集会の決議は,その区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者)に対しても,その効力を生じます(第46条2項)。 占有者が負う建物等の『使用方法』についての義務は,専有部分・共用部分・敷地及び付属施設についてのものに限られますが,共同生活上の義務〔ペットの飼育禁止・夜間の楽器演奏禁止など〕も含まれます。 |
4.「区分所有法第62条第1項に規定する建替え決議が集会においてなされた場合,決議に反対した区分所有者は,決議に賛成した区分所有者に対し,建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。」 |
【正解:×】 ◆建替え賛成者等による売渡し請求 建替え決議(5分の4以上)が可決されたとき, ・集会を招集した者は,遅滞なく,建替え決議に賛成しなかった区分所有者に対し,建替えに参加するか否かを書面で催告し(第63条1項)、 は,催告期間満了の日から「2カ月以内」に,建替えに参加しない旨を回答した区分所有者に対し,当該区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求できます(〃4項)。 しかし,建替えに“参加しない”区分所有者側から,買取請求できる旨の規定はありません。(買取請求は大規模滅失のときの復旧のとき) |
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