過去問で学ぶ 区分所有法入門
区分所有法の過去問アーカイブス 宅建・平成17年・問14
管理所有・敷地利用権の分離処分禁止・法定共用部分・規約敷地
ガイド | 管理所有・分離処分禁止・法定共用部分・規約敷地 |
建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。(宅建・平成17年・問14) |
1.「共用部分であっても、規約で定めることにより、特定の区分所有者の所有とすることができる。」 |
2.「専有部分であっても、規約で定めることにより、敷地利用権と分離して処分することができる。」 |
3.「構造上区分所有者全員の共用に供されるべき建物の部分であっても、規約で定めることにより、特定の区分所有者の専有部分とすることができる。」 |
4.「区分所有者の共有に属さない敷地であっても、規約で定めることにより、区分所有者の団体の管理の対象とすることができる。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | × | ○ |
1.「共用部分であっても、規約で定めることにより、特定の区分所有者の所有とすることができる。」 |
【正解:○】 ◆管理所有 共用部分であっても,規約で定めることにより,特定の区分所有者の所有*とすることができる(区分所有法11条2項,20条,27条1項)ので正しい記述です。 *特定の区分所有者の所有…管理者(管理組合の理事長等)が所有者になることが多い。 ▼条文では,所有となっていても,通常観念する所有とはかなり趣が異なっていることに注意する必要があります。例えば,所有者として登記簿に名義が登記されることはありません(法定共用部分や規約共用部分ではそもそも所有権の登記はない。)。 あくまでも,共用部分の維持・管理をその区分所有者等に行わせるためであって,旧・建設省当時の法務省でも「信託的な所有権の移転」としています。 |
●条文確認 |
(共用部分の共有関係) 第11条 共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。ただし、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する。 2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。ただし、第27条第1項の場合を除いて、区分所有者以外の者を共用部分の所有者と定めることはできない。 3 民法第177条の規定は、共用部分には適用しない。 (管理所有者の権限) 2 前項の共用部分の所有者は、第17条第1項に規定する共用部分の変更をすることができない。 (管理所有) 2 第6条第2項及び第20条の規定は、前項の場合に準用する。 |
2.「専有部分であっても、規約で定めることにより、敷地利用権と分離して処分することができる。」 |
【正解:○】 ◆分離処分の禁止 敷地利用権は,規約に別段の定めがあるときは,区分所有者は,専有部分と敷地利用権を分離して処分することができる(区分所有法22条1項)ので正しい記述です。 ▼共用部分の共有者は,区分所有法に別段の定めがある場合を除いて,専有部分と分離して共用部分の持分を処分することはできない(区分所有法15条2項)ことと対比しておく必要があります。 【出題歴】平成4年・問16・肢2,平成6年・問14・肢2, |
3.「構造上区分所有者全員の共用に供されるべき建物の部分であっても、規約で定めることにより、特定の区分所有者の専有部分とすることができる。」 |
【正解:×】初出題 ◆法定共用部分 構造上区分所有者全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分【法定共用部分】は,区分所有権の目的にはなりません(区分所有法4条1項)。 したがって,法定共用部分は,規約で定めても,特定の区分所有者の専有部分とすることができないので,本肢は誤りです。 法定共用部分を専有部分にするには,共有物の処分に該当するので,共有者全員の合意が必要です(民法251条)。⇒共用部分の重大変更(形状又は効用の著しい変更)での決議要件と混同してはいけません((区分所有法17条1項)。
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4.「区分所有者の共有に属さない敷地であっても、規約で定めることにより、区分所有者の団体の管理の対象とすることができる。」 |
【正解:○】初出題 ◆規約敷地 区分所有者の共有に属さない敷地であっても,規約で定めることにより,区分所有者の団体の管理の対象とすることができます。これを規約敷地といいます(区分所有法5条)。 |
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