過去問で学ぶ 区分所有法入門
区分所有法の過去問アーカイブス 宅建・昭和60年・問15
ガイド | 共用部分の軽微変更・敷地利用権の分離処分・建替え決議・占有者の義務 |
建物の区分所有等に関する法律(以下この問において「区分所有法」という。)に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(宅建・昭和60年・問15) |
1.「その形状又は効用の著しい変更を伴わない共用部分の変更については,原則として,区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数による集会の決議で決する。」改 |
2.「敷地利用権が数人で有する所有権である場合は,区分所有者は,原則として,その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができる。」 |
3.「区分所有法第62条第1項に規定する建替え決議は,集会において,原則として,区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数により行う。」 |
4.「占有者は,建物又はその敷地若しくは付属施設の使用方法につき,区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | × | ○ |
1.「その形状又は効用の著しい変更を伴わない共用部分の変更については,原則として,区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数による集会の決議で決する。」改 |
【正解:×】 ◆見落とし注意−共用部分の軽微変更 本肢での共用部分の変更は,『その形状又は効用の著しい変更を伴わない』変更なので普通決議〔区分所有者及び議決権の各過半数〕でよい。 |
2.「敷地利用権が数人で有する所有権である場合は,区分所有者は,原則として,その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができる。」 |
【正解:×】 ◆敷地利用権の分離処分 敷地利用権が数人による所有権その他の権利のときには,区分所有者は,原則として,専有部分と敷地利用権とを分離して処分することができません。(22条1項本文) ただし,これには例外が幾つかあり,その一つが規約で別段の定めがあるとき,つまり規約で「分離処分が可能になっている」ケースです。(22条1項但書)
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3.「区分所有法第62条第1項に規定する建替え決議は,集会において,原則として,区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数により行う。」 |
【正解:×】 ◆建替え決議 区分所有法第62条第1項に規定する建替え決議は,集会において,区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数により行うことができます。このほかに区分所有法第62条第1項の建替えの要件としては,従前の敷地と新たに建築する建物の敷地が一部でも重なってなければいけないというものがあります。 ▼区分所有法第62条第1項に規定する建替え決議は,平成14年法では,次のような手順を踏むことになりました。
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●建替え決議 |
第62条第1項に規定する建替え決議・・・区分所有建物の建替え決議 |
第69条第1項に規定する建替え決議・・・団地内の建物の建替え決議 |
第69条第6項,第7項に規定する建替え決議・・・団地内の二以上の建物の建替え決議 |
第70条第1項に規定する建替え決議・・・団地内の建物全部の一括建替え決議 |
●建替えでの法改正の整理(2) 建替え理由の要件の撤廃 |
建替え決議の要件が,建築される建物の敷地が従来の敷地の一部でも含んでいれば区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数というものだけになったため,改正前まではできなかった「敷地の有効利用のみを目的にした建替え」ができるようになりました。 |
4.「占有者は,建物又はその敷地若しくは付属施設の使用方法につき,区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。」 |
【正解:○】 ◆占有者への規約・集会決議の効力−使用方法遵守の義務 区分所有者以外で専有部分を占有している者(賃借人・使用借人等)は,区分所有者の団体の構成員ではありませんが,建物を占有して使用する以上は,建物等の使用方法について区分所有者が規約または集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負います。(46条2項) |
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