過去問で学ぶ 区分所有法入門
区分所有法の過去問アーカイブス 宅建・昭和61年・問12
ガイド | 公正証書による規約・特定承継人・競売請求・大規模滅失の復旧 |
建物の区分所有等に関する法律(以下この問において「区分所有法」という。)に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(宅建・昭和61年・問12) |
1.「最初に建物の専有部分の全部を所有する者が,単独で,付属の建物を共用部分とする規約を定める場合は,公正証書により行わなければならない。」 |
2.「管理者がその職務の範囲内において第三者との間にした行為により第三者が区分所有者に対して有する債権は,その包括承継人に対してのみならず,特定承継人に対しても行うことができる。」 |
3.「区分所有法第59条第1項に規定する区分所有権及び敷地利用権の競売の請求は,区分所有者及び議決権の各4/5以上の多数による集会の決議に基づき,訴えをもって行わなければならない。」 |
4.「建物の価格の1/2を超える部分が滅失したときは,集会において,区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数で,滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | × | ○ |
1.「最初に建物の専有部分の全部を所有する者が,単独で,付属の建物を共用部分とする規約を定める場合は,公正証書により行わなければならない。」 |
【正解:○】 ◆公正証書による規約 規約は本来,区分所有者の意思に基づいて集会の決議で設定されるべきものですが,重要なものに限っては,分譲業者が規約で定めておく必要があります。 規約共用部分や規約敷地の定め,敷地利用権の割合,分離処分ができるか等の定めをあらかじめ決めておけば,後日の紛争を回避することができ,分譲時点で買受人の共有持分が確定しているので,買受人も安心です。 ただし,分譲業者が単独で設定できるといっても,その内容を客観的に明らかにしておく必要があり.そのために区分所有法では,公正証書で定めるものとしています。
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2.「管理者がその職務の範囲内において第三者との間にした行為により第三者が区分所有者に対して有する債権は,その包括承継人に対してのみならず,特定承継人に対しても行うことができる。」 |
【正解:○】 ◆不真正連帯債務=区分所有者とその特定承継人 管理者がその職務の範囲内において第三者との間にした行為については,その債務を管理組合の財産で支払いきれないときは,その第三者は,各区分所有者にも支払いを求めることができます。 このような場合,各区分所有者は原則として,共用部分の持分割合〔規約で管理に要する経費の負担割合が定められているときはその割合〕に応じて負担することになっています。(29条1項) ここでもし,区分所有者がこの債務を履行しないうちに専有部分を譲渡したり,相続があったときはどうなるでしょうか。 区分所有法では,第三者が区分所有者に対して有する債権は,包括承継人〔相続人等〕だけでなく,特定承継人〔譲受人〕に対しても行うことができるとしています。(29条2項) その包括承継人=区分所有者の包括承継人 (相続人など) 特定承継人=区分所有者 (譲渡人) の特定承継人 (譲受人) また,ここでの譲渡人と譲受人との関係は連帯責任を負うとの合意がなくても,債権者はどちらにも請求をすることができます。〔不真正連帯債務〕(8条) |
3.「区分所有法第59条第1項に規定する区分所有権及び敷地利用権の競売の請求は,区分所有者及び議決権の各4/5以上の多数による集会の決議に基づき,訴えをもって行わなければならない。」 |
【正解:×】 ◆競売請求の訴え 区分所有権及び敷地利用権の競売の請求は,区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数による集会の決議に基づき,訴えをもって行うことができます。(59条) 本肢では,「各4/5以上の多数」となっているので×です。 ●共同利益に反する行為への裁判上の行使とその要件
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4.「建物の価格の1/2を超える部分が滅失したときは,集会において,区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数で,滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。」 |
【正解:○】 ◆大規模滅失の復旧 建物価格の2分の1を超える部分が滅失したときは,区分所有者及び議決権の各4分の3以上の「特別決議」となり,この定数は規約によって,別段の定めをすることはできません(第61条5項)。 |
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