宅建試験
法改正情報
レポートNo.3
都市計画法・建築基準法 (速報版)
●都市再生特別地区

■都市再生特別措置法による「都市計画法改正」

平成14年4月5日に公布された「都市再生特別措置法」が平成14年6月1日に施行されました。これに伴い,都市計画法、建築基準法,同法施行令,同法施行規則も一部改正され、同日に施行されました。

[都市再生特別措置法の概要]

近年における我が国の経済社会の構造的な変化、国際化の進展等に対応し、都市の再生を図るため、

・内閣に置く都市再生本部において、都市の再生の推進に関する基本方針等を策定

・都市の再生の拠点として緊急に整備すべき地域における民間都市再生事業計画の認定制度の創設

都市再生特別地区等の都市計画等の特例措置の創設

都市再生緊急整備協議会の設置

など、所要の措置を定めています。

これに伴う都市計画法の改正により、 緊急整備地域内に地域地区の一つとして「都市再生特別地区」が新設され、同地区内での規制緩和の内容等が建築基準法で定められました。

[都市再生特別地区の概要]

・ 建築物の容積率、建ぺい率、建築面積、高さ、壁面の位置について、同地区に関する都市計画で定められた制限、原則として適用されます。い)(改正後の建築基準法第60条の2第1項、第2項)

・ 同地区に関する都市計画で定められた「誘導すべき用途に供する建築物」については、用途地域・特別用途地域の制限は適用されません。(改正後の建築基準法第60条の2第3項)

斜線制限、高度地区による制限は適用されません。日影規制についても対象区域外とみなされます。(改正後の建築基準法第60条の2第5項、第6項)

◎都市計画法【平成14年都市再生特別措置法による改正部分抜粋】

第8条(地域地区) 

第1項

四 特定街区

四の二 都市再生特別措置法第三十六条第一項の規定による都市再生特別地区

第4項 都市再生特別地区について都市計画に定めるべき事項は、前項第一号及び第三号に掲げるもののほか、別に法律で定める。

第13条(都市計画基準) (略)

2〜3 (略)

4 都市再開発方針等、第八条第一項第四号の二、第八号及び第十号から第十六号ま

でに掲げる地域地区、促進区域、被災市街地復興推進地域、流通業務団地、市街地

開発事業、市街地開発事業等予定区域(第十二条の二第一項第四号及び第五号に掲げるものを除く。)、

再開発地区計画、防災街区整備地区計画、沿道地区計画並びに集落地区計画に関する都市計画の策定に関し必要な基準は、前三項に定めるもののほか、別に法律で定める。

第33条(開発許可の基準)

第1項 1号の文末に以下を追加。

ただし、都市再生特別地区の区域内において当該都市再生特別地区に定められた誘導

すべき用途に適合するものにあつては、この限りでない。

■建築基準法等の一部を改正する法律(公布・平成14年7月12日、法律85号)

 → 建築基準法・都市計画法の改正

 平成15年1月1日に施行。ただし、シックハウス対策については、公布の日から起算して一年を超えない範囲において政令で定める日から施行。

◎ポイント

シックハウス対策や建築物の形態規制の合理化・条例による規制の緩和をさらに図ることとし、容積率制限、建ぺい率制限、日影制限等の選択肢を拡充するとともに、すべての用途地域の都市計画において敷地面積の最低限度を定めることができるようになりました。

0) シックハウス対策

シックハウス症候群対策のための規制の導入を図ることとし、居室を有する建築物は、その居室内において化学物質の発散による衛生上の支障がないよう、建築材料及び換気設備について技術的基準に適合するものとしなければならないものとする。

1) 容積率制限

用途地域に関する都市計画で定める容積率制限の最高限度として、

以下の地域にそれぞれ下記の数値が追加。

第一種中高層住居専用地域等 10分の40、10分の50

第一種住居地域等 10分の10、10分の15、10分の50

商業地域 10分の110、10分の120、10分の130

工業地域等 10分の10、10分の15

以下の用途地域において、特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て

定める区域内の建築物についての前面道路の幅員による容積率制限が緩和

第一種中高層住居専用地域等内の建築物 10分の6掛

近隣商業地域等内の建築物 10分の8掛

第一種住居地域等における住宅で空地および敷地規模等が一定規模以上のもの

について、用途地域に関する都市計画で定める容積率の1.5倍を限度として

その容積率を緩和することができる。(52条7項)

●もっと詳しく 52条7項

 その全部又は一部を住宅の用途に供する建築物で以下の条件に該当するものは、用途地域に関する都市計画で定める容積率の1.5倍を限度として、容積率を緩和して適用する。(以下の二つの要件をともに満たさなければいけません)

1) 用途地域

 住居地域(第一種・第二種)・準住居地域近隣商業地域若しくは準工業地域

(高層住居誘導地区および特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域を除く)

 商業地域(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域を除く)

2) 敷地の規模と空地 → 施行令135条の15

 その敷地内に政令で定める規模以上の空地(道路に接して有効な部分が政令で定める規模以上であるものに限る)を有し、かつ、その敷地面積が政令で定める規模以上であること。

 ただし、地方公共団体は、土地利用の状況等を考慮し、条例で、政令に定める数値の範囲内で空地や敷地面積の規模を別に定めることができます。

2) 建ぺい率制限

 用途地域に関する都市計画で定める建ぺい率制限の最高限度として、下記の数値が追加。

第一種住居地域等 10分の5、10分の8

近隣商業地域 10分の6

工業地域 10分の5

3) 敷地面積の最低限度

すべての用途地域の都市計画において敷地面積の最低限度を定めることができる。

4) 斜線制限

●隣地斜線制限

 以下の用途地域において、特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て定める

区域内の建築物の隣地斜線制限が変更。

・容積率の限度が10分の30以下とされている第一種・第二種中高層住居専用地域以外の地域のうち、特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内の建築物の斜線勾配を1.25から2.5に、立ち上がりの高さを20メートル超から31メートル超に変更

・用途地域の指定のない区域内の建築物については、斜線勾配を1.25、立ち上がりの高さ20 m、または斜線勾配を2.5、立ち上がりの高さ31 m のうち、特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て選ぶ。

●斜線制限の適用除外(56条7項)

政令で定める、地上の一定の位置において、各斜線制限により確保される採光・通風等と同程度以上の採光・通風等が確保されるものとして政令で定める基準に適合する建築物については、当該制限を適用しない。

●天空率 施行令135条の5

 確保される採光・通風等の指標として、天空率を建築基準法施行令で定義。天空率とは、政令で定める、地上の一定の位置から見上げたときの、見える空の割合を数値化したもので、天空率の高い建物は採光や通風が確保されるとし、一定の条件を満たせば、その区域の斜線制限に適合しない建築物でも建築可能になる。→建築基準法56条7項

5) 日影規制

   日影規制について、第一種中高層住居専用地域等において、

  日影時間の測定を行う平均地盤面からの高さに6.5メートルが追加。

6)一定の複数建築物に対する制限の特例の拡張

・1団地内に2以上の構えを成す建築物で、その位置および構造について特定行政庁の許可を得た場合においては、これら建築物を同一敷地内にあるものとみなし、その許可範囲内において、これら建築物に係る容積率制限、斜線制限等を緩和できる。

●地区計画制度の見直しに伴う規制の緩和

・地区計画の定義に「、開発し、」が追加されました。(都市計画法・12条の5・第1項)

地区計画は、建築物の建築形態、公共施設その他の施設の配置等からみて、一体としてそれぞれの区域の特性にふさわしい態様を備えた良好な環境の各街区を整備し、開発し、及び保全するための計画

・12条の5第2項 地区計画については、前条第二項に定めるもののほか、次に掲げる事項を都市計画に定めるものとする。

一 当該地区計画の目標

二 当該区域の整備、開発及び保全に関する方針

三 主として街区内の居住者等の利用に供される道路、公園その他の政令で定める施設(「地区施設」という。)及び建築物等の整備並びに土地の利用に関する計画(「地区整備計画」という。)

・都市計画法・都市再開発法の「住宅地高度利用地区計画」、「再開発地区計画」

 が廃止され、「地区計画」に統合。

・地区計画の区域の全部または一部に従来の住宅地高度利用地区等に相当する

 区域として「再開発等促進区」を定めることができる。

・地区計画等で定めた用途地域における用途の制限を条例で緩和することができる。

・地区計画の内容に適合する当該区域内の建築物については、容積率制限、建ぺい率制限、斜線制限等を緩和することができるものとする。

・地区計画について、適正な配置及び規模の公共施設を備えた土地の区域において、その高度利用と都市機能の更新を図るため容積率の緩和が可能となる地区整備計画を定めることができるものとするとともに、その区域内にある建築物については、当該地区計画中の地区整備計画において、容積率の最高限度及び最低限度、建ぺい率の最高限度、建築面積の最低限度、壁面の位置の制限等を定めるものとする。(都市計画法12条の8)

●都市計画の決定・変更等の提案制度の創設 (都市計画法・第21条の2)

・都市計画区域等内の一定の面積以上の一体的な区域について、以下の要件を満たす

場合には、土地所有者や、まちづくり協議会、まちづくりNPO等が、都道府県または

市町村に対し、都市計画の決定または変更についての提案をすることができる、

まちづくりに関する都市計画の提案制度を導入。

 ・都市計画基準その他の法令の規定に基づく都市計画に関する基準に適合すること

 ・土地所有者等の2/3以上の同意を得ること

○条文

第21条の3(計画提案に対する都道府県又は市町村の判断等)

 都道府県又は市町村は、計画提案が行われたときは、遅滞なく、計画提案を踏まえた都市計画(計画提案に係る都市計画の素案の内容の全部又は一部を実現することとなる都市計画をいう。以下同じ。)の決定又は変更をする必要があるかどうかを判断し、当該都市計画の決定又は変更をする必要があると認めるときは、その案を作成しなければならない。

第21条の4(計画提案を踏まえた都市計画の案の都道府県都市計画審議会等への付議) 

 都道府県又は市町村は、計画提案を踏まえた都市計画(当該計画提案に係る都市計画の素案の内容の全部を実現するものを除く。)の決定又は変更をしようとする場合において、第十八条第一項又は第十九条第一項(これらの規定を第21条第二項において準用する場合を含む。)の規定により都市計画の案を都道府県都市計画審議会又は市町村都市計画審議会に付議しようとするときは、当該都市計画の案に併せて、当該計画提案に係る都市計画の素案を提出しなければならない。

第21条の5(計画提案を踏まえた都市計画の決定等をしない場合にとるべき措置)

1 都道府県又は市町村は、計画提案を踏まえた都市計画の決定又は変更をする必要がないと判断したときは、遅滞なく、その旨及びその理由を、当該計画の提案をした者に通知しなければならない。

2 都道府県又は市町村は、前項の通知をしようとするときは、あらかじめ、都道府県都市計画審議会(当該市町村に市町村都市計画審議会が置かれているときは、当該市町村都市計画審議会)に当該計画提案に係る都市計画の素案を提出してその意見を聴かなければならない。

●都市計画の決定・変更の提案制度の創設 (都市計画法・第21条の2)

【決定・変更を提案できる者】第21条の2・第1項、第2項

 都市計画区域又は準都市計画区域のうち、一体として整備し、開発し、又は保全すべき土地の区域としてふさわしい政令で定める規模以上の一団の土地の区域について、

・当該土地の所有権又は建物の所有を目的とする対抗要件を備えた地上権もしくは賃借権 (一時使用のため設定されたものを除くを を有する土地所有者等は、一人で、又は数人共同して、

まちづくりの推進を図る活動を行うことを目的として設立されたNPO法人(特定非営利活動促進法での特定非営利活動法人)もしくは民法34条の法人またはこれに準じるものとして地方公共団体の条例で定める団体

は、都道府県又は市町村に対し、都市計画 (都市計画区域の整備、開発及び保全の方針並びに都市再開発方針等に関するものを除く での決定又は変更をすることを提案できる。提案するときには、当該提案に係る都市計画の素案を添えなければならない。

【計画提案】第21条の2・第3項

 計画提案は、次に掲げるところに従って、国土交通省令で定めるところにより行うものとする。

1 当該計画提案に係る都市計画の素案の内容が、第13条(都市計画基準その他のと法令の規定に基づく都市計画に関する基準に適合するものであること

2 当該計画提案に係る都市計画の素案の対象となる土地 (国又は地方公共団体の所有している土地で公共施設の用に供されているものを除く) の区域内の土地所有者等の2/3以上の同意 (同意した者が所有するその区域内の土地の地積と同意した者が有する借地権の目的となっているその区域内の土地の地積の合計が、その区域内の土地の総面積と借地権の目的となっている土地の総面積との合計の2/3以上となる場合に限る) を得ていること。


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