宅建試験
法改正情報
レポートNo.13
  租税特別措置法・所得税(1)

●平成16年1月1日以降

譲渡損の損益通算・繰越控除の適用除外  (平成16年1月1日以降)
 土地・建物等の譲渡所得の金額の計算上生じた譲渡損失の金額については,原則として,土地・建物等の譲渡による所得以外の所得との通算および翌年以降の繰り越しが認められないこととなりました。

この改正は,平成16年分の所得税,平成17年分の住民税から適用されます。

■以下の場合は,例外として繰越控除が認められています。

・居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除制度(41条の5)

・特定の居住用財産の譲渡損失の繰越控除制度の創設 (41条の5の2)

長期譲渡所得の100万円特別控除の廃止
 長期譲渡所得とは,譲渡した年の1月1日現在での所有期間が5年を超える土地・建物等の譲渡による所得をいいます。

 長期譲渡所得の100万円特別控除が,

  平成16年分以降の所得税,平成17年分以降の住民税からできなくなりました。

 (31条旧4項は廃止,所得税法等の一部を改正する法律・附則27条1項)

個人の長期譲渡所得の課税の特例-- 税率の引き下げ--- (31条1項)
 (平成16年1月1日以降)
  改正前 所得税 20%,住民税 6%
         ↓
  改正後 所得税 15%,住民税 5%
短期譲渡所得の課税の引き下げ (32条)
   改正前 所得税 40%,住民税 12%
〔または 全額総合課税をした場合の上積税額の110%相当額のうち
           いずれか多いほう〕
            ↓
   改正後 所得税 30%,住民税 9%

 ※国などへの譲渡の場合の税額は,所得税 15%,住民税 5% になります。

優良住宅地の造成等のための長期譲渡所得の税率引き下げ(31条の2)
 改正により,平成20年12月31日まで適用期限が延長され,以下のようになりました。

 譲渡益2,000万円以下の部分 所得税 10%,住民税 4%

譲渡益2,000万円超えの部分 所得税 15%,住民税 5%

注意 以下の場合は,重複してこの軽減税率の特例を適用することができなくなりました。(31条の2第4項)

33条(収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例)

33条の4(収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除) 5,000万円特別控除

35条 (居住用財産の譲渡所得の特別控除) 3,000万円特別控除

36条の2 (相続等により取得した居住用財産をの買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例)

36条の5(相続等により取得した居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例)

36条の6(特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例)

■(優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例)

第三十一条の二  個人が、昭和六十二年十月一日から平成二十年十二月三十一日までの間に、その有する土地等でその年一月一日において前条第二項に規定する所有期間が五年を超えるものの譲渡をした場合において、当該譲渡が優良住宅地等のための譲渡に該当するときは、当該譲渡(次条の規定の適用を受けるものを除く。以下この項において同じ。)による譲渡所得については、前条第一項前段の規定により当該譲渡に係る課税長期譲渡所得金額に対し課する所得税の額は、同項前段の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額に相当する額とする。

一  課税長期譲渡所得金額が二千万円以下である場合当該課税長期譲渡所得金額の百分の十に相当する金額

二  課税長期譲渡所得金額が二千万円を超える場合次に掲げる金額の合計額

イ 二百万円

ロ 当該課税長期譲渡所得金額から二千万円を控除した金額の百分の十五に相当する金額

2  前項に規定する優良住宅地等のための譲渡とは、次に掲げる土地等の譲渡に該当することにつき財務省令で定めるところにより証明がされたものをいう。(略)

3  第一項の規定は、個人が、昭和六十二年十月一日から平成二十年十二月三十一日までの間に、その有する土地等でその年一月一日において前条第二項に規定する所有期間が五年を超えるものの譲渡をした場合において、当該譲渡が確定優良住宅地等予定地のための譲渡(その譲渡の日から同日以後二年を経過する日の属する年の十二月三十一日までの期間(住宅建設の用に供される宅地の造成に要する期間が通常二年を超えることその他の政令で定めるやむを得ない事情がある場合には、その譲渡の日から政令で定める日までの期間)内に前項第十号から第十五号までに掲げる土地等の譲渡に該当することとなることが確実であると認められることにつき財務省令で定めるところにより証明がされたものをいう。第七項において同じ。)に該当するときについて準用する。この場合において、第一項中「優良住宅地等のための譲渡」とあるのは、「第三項に規定する確定優良住宅地等予定地のための譲渡」と読み替えるものとする。

4  第一項(前項において準用する場合を含む。)の場合において、個人が、その有する土地等につき、第33条から第33条の4まで、第34条から第35条まで、第36条の2、第36条の5から第37条まで、第37条の4から第37条の7まで、第37条の9の2又は第37条の9の3の規定の適用を受けるときは、当該土地等の譲渡は、第一項又は前項に規定する優良住宅地等のための譲渡又は確定優良住宅地等予定地のための譲渡に該当しないものとみなす

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■優良住宅地等の造成の軽減税率が重複適用できないもの

●33条〜33条の4

33条(収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例)

33条の2(交換処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例)

33条の3(換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例)

33条の4(収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除)

●34条〜35条

第五款 特定事業の用地買収等の場合の譲渡所得の特別控除

34条 (特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除)

34条の2(特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除)1,500万円特別控除

34条の3(農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除)

第六款 居住用財産の譲渡所得の特別控除

35条 (居住用財産の譲渡所得の特別控除)

第七款の二 居住用財産の買換えの場合等の長期譲渡所得の課税の特例

●36条の2 (相続等により取得した居住用財産をの買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例)

●36条の5〜37条

36条の5(相続等により取得した居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例)

36条の6(特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例)

37条 (特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例)

●37条の4〜37条の7

37条の4(特定の事業用資産を交換した場合の譲渡所得の課税の特例)

37条の5(既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例)

37条の6(特定の交換分合により土地等を取得した場合の課税の特例)

37条の7(大規模な住宅地等造成事業の施行区域内にある土地等の造成のための交換等の場合の譲渡所得の課税の特例)

●37条の9の2〜37条の9の3

37条の9の2(認定事業用地適正化計画の事業用地の区域内にある土地等の交換等の場合の譲渡所得の課税の特例)

37条の9の3(承継業務の事業計画の施行区域内にある土地等の交換の場合の譲渡所得の課税の特例)

そのほかの主要な改正 〜次回に続く〜
・特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例措置の延長

  適用期限が平成18年12月31日までの譲渡に延長されました。

・特定の居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除制度の延長と拡充

  適用期限が平成18年12月31日まで延長。

  当該譲渡資産の取得に係る一定の借入金等の残高を有するという要件が除外

  されました。(41条の5)

・特定の居住用財産の譲渡損失の繰越控除制度の創設 (41条の5の2)

・住宅ローン減税の借入金残高(5,000万円以下)・控除率1%が平成16年入居まで

 延長されました。(租税特別措置法41条〜41条の2の2)


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