宅建試験
法改正情報
レポートNo.9
  独立行政法人・都市再生機構

●主な改正の概要

 都市基盤整備公団が廃止され,地域振興整備公団(地方都市開発整備部門)と統合されて,平成16年7月1日に「独立行政法人 都市再生機構」が設立されました。

 これに伴い,宅建試験で出題されていた関連項目〔特に,土地区画整理法〕若干の変更が生じています。

●独立行政法人・都市再生機構法 2004.7.1施行
独立行政法人 都市再生機構の業務は,以下のように要約できます。
(独立行政法人都市再生機構法・第3条(機構の目的))

(1) 機能的な都市活動及び豊かな都市生活を営む基盤の整備が社会経済情勢の変化に対応して十分に行われていない大都市及び地域社会の中心となる都市の再生を図るために,
  『市街地の整備改善』及び『賃貸住宅の供給』の支援に関する業務を行い,

(2) 都市基盤整備公団から承継した賃貸住宅等の管理等を行う。
  (良好な居住環境を備えた賃貸住宅の安定的な確保を図る。)

●業務の範囲
 具体的な業務については,業務の範囲(11条)に定められていますが,このうち,主なものとしては以下のものがあります。

一  既に市街地を形成している区域において、市街地の整備改善を図るための建築物の敷地の整備又は宅地の造成並びに整備した敷地又は造成した宅地管理及び譲渡を行うこと。

二  既に市街地を形成している区域において、良好な居住性能及び居住環境を有する利便性の高い中高層の賃貸住宅その他の国の施策上特にその供給を支援すべき賃貸住宅の敷地の整備、管理及び譲渡を行うこと。

三  既に市街地を形成している区域において、市街地再開発事業(都市再開発法)、防災街区整備事業(密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律)、土地区画整理事業(土地区画整理法)、住宅街区整備事業(大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法)及び流通業務団地造成事業(流通業務市街地の整備に関する法律)を行うこと。

四  既に市街地を形成している区域において、市街地再開発事業、防災街区整備事業、土地区画整理事業又は住宅街区整備事業に参加組合員として参加すること(既に市街地を形成している区域における市街地の整備改善に必要な調査、調整及び技術の提供を行う業務を併せて行うものに限る。)。

 条文で見ると非常に硬い表現になっているため,わかりにくいのですが,要は,宅建試験関連でアウトラインとなるものをまとめると,

 ・業務エリアを都市再生の必要な既成市街地にほぼ限定する。

 ・従来のように「住宅分譲業務」は行わない(前進の団体の残務処理としての分譲はありうる)

 ・賃貸住宅については,敷地を整備・賃貸・譲渡すること等により,民間等の
  賃貸住宅の供給を促進する。

  (都市基盤整備公団から承継した既存の賃貸住宅については増改築・建替え,
  管理を行う
。)

 ・都市再生の条件整備として,関連公共施設の整備,市街地再開発事業・土地区
  画整理事業・防災街区整備事業・住宅街区整備事業・流通業務団地造成事業
  による敷地整備等を行う。

ということになります。

●都市再生機構法そのものは,近年の傾向では出題されない
 昭和53年までは,「日本住宅公団」〔「住宅・都市整備公団」→「都市基盤整備 公団」の前身〕の内容についての出題がありましたが,当時は「地方住宅供給公社法」や「公営住宅法」なども出題されていた時代で,現在の税法その他の出題内容とは異なっていました。

 また,都市再生機構は都市基盤整備公団の性格と異なり,基本的に,民間等による都市再生事業の支援と促進がメインになっているところから宅建試験ではまず都市再生機構法そのものが出題される見込みはないものと思われます。

●宅建業法への影響
 都市再生機構は,都市基盤整備公団が行っていた「従来の住宅分譲業務」を行わなくなったことにより,宅建業法で出題されていた以下の問題が消滅します。

【出題例】 都市基盤整備公団が行う住宅分譲については宅地建物取引業法の適用はないので,同公団の委託を受けて住宅分譲の代理を事業として行おうとするは,宅地建物取引業の免許を受ける必要はない。 (平成7年・問35・肢2)

 ⇒ 出題当時の正解は×として設定。都市再生機構は従来の住宅分譲を行わなくなったので, 『都市再生機構が行う住宅分譲については・・・』と改題しても意味がありません

●土地区画整理法への影響
 従来は,土地区画整理事業の施行者の一カテゴリーとして,公団・公社の「都市基盤整備公団」,「地域振興整備公団」,「地方住宅供給公社」の三つを覚える必要がありました。

 しかし,都市再生機構の設立により,『機構等』として「独立行政法人都市再生機構」と「地方住宅供給公社」の2つに変更になりました。

 従来の 『公団等』    改正後の 『機構等』
 「都市基盤整備公団」,
 「地域振興整備公団」,
 「独立行政法人都市再生機構」
 「地方住宅供給公社」  「地方住宅供給公社」

 〔そのほかの施行者である,都道府県・市町村・国土交通大臣には変わりはありません。また,独立行政法人都市再生機構と地方住宅供給公社は個人施行の一員・組合施行の参加組合員として 土地区画整理事業に参加することができます。〕

●このほかの法令についてはほぼ影響なし
 宅建試験の範囲についてはほぼ従来どおり,都市再生機構を国の行政機関とみなして準用することになっています。 (独立行政法人都市再生機構法施行令・第34条)

 宅建業法  宅建業法の規定は,都市再生機構には適用しない
 建築基準法  都市再生機構は建築等の工事に着手する前に,
 その計画を建築主事に通知して,建築主事の審査を受け,
 確認済証の交付を受ける。(建築確認)
 宅地造成等規制法  都市再生機構が,宅地造成工事規制区域内において行う
 宅地造成工事については,
 都市再生機構と都道府県or指定都市等の長との協議が成立
 することをもって
 宅地造成に関する工事の許可があったものとみなす
 都市計画法  都市再生機構が行う開発行為には開発許可は不要
     〔開発行為の変更も許可は不要。〕

 都市再生機構が開発区域内で予定建築物・特定工作物以外
 の建築等
をするときには,
 都道府県知事or指定都市等の長との協議が成立することを
 もって許可があったものとみなす

 都市再生機構が市街化調整区域のうち開発許可を受けた
 開発区域以外の区域
内において,
 公益上必要な建築物以外の建築物・第一種特定工作物を
 新築・新設をするときには,
 都道府県知事or指定都市等の長との協議が成立することを
 もって許可があったものとみなす

 都市再生機構が都市計画事業の事業地,都市計画施設の
 区域又は市街地開発事業の施行区域
内において
 建築物の建築をするときには,都道府県知事との協議
 成立することをもって許可があったものとみなす

●独立行政法人・都市再生機構法・施行令 2004.7.1施行
(他の法令の準用)
第34条  次の法令の規定については、機構を国の行政機関とみなして、これらの規定を準用する。

三  建築基準法 (昭和25年法律第101号)第18条 (同法第87条第1項 、第87条の2、第88条第1項から第3項まで又は第90条第3項において準用する場合を含む。)

六  宅地建物取引業法 (昭和27年法律第176号)第78条第1項

九  宅地造成等規制法 (昭和36年法律第191号)第11条

十一  都市計画法第11条第5項 、第12条の2第3項、第29条第1項第4号及び第2項第2号、第35条の2第1項ただし書、第42条第2項(同法第52条の2第2項 (同法第57条の3第1項 において準用する場合を含む。)、第53条第2項及び第65条第3項並びに密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律第283条第3項において準用する場合を含む。)、第43条第1項第1号、第58条の2第1項第3号、第58条の6第1項、第59条第3項及び第4項、第63条第1項並びに第80条第1項


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