宅建試験
法改正情報 レポートNo.01 |
'2010法改正出題の展望 |
●主な改正の概要のアウトライン
平成22年宅建試験での改正点は,履行確保法追加の出題変更と税法関連を除けば,新規の改正については,比較的小変更の範囲です。しかし,近年の宅建試験では,出題年よりも相当前に施行された改正点(隠れ改正点)が出題されてきているので,過去の改正点についても,十分,注意してください。 |
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●履行確保法 (平成21年10月1日施行) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(履行確保法)の創設 1 資力確保の義務付け
※1 経過措置で,平成21年10月1日以降当該基準日まで自ら売主として販売した新築住宅について義務付けられる。 ※2 基準日から次の基準日までの半年間に販売した新築住宅については,次の基準日までの間に,住宅販売瑕疵担保保証金の供託をするか,または住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結をしなければならないことに注意。 宅建業者が自ら売主として,新築住宅(売買結締結時点で建設工事完了の日から起算して1年を経過していないもので,かつ,まだ人の居住の用に供したことのないもの)を宅建業者ではない者と売買契約を締結した時は,買主に引渡してから10年間,構造耐力上主要な部分等の隠れた瑕疵について,瑕疵担保責任を負い,その資力確保として,(1)住宅販売瑕疵担保保証金を供託するか,(2)住宅販売瑕疵担保責任保険契約を締結することが義務付けられた。
※瑕疵担保責任の資力確保が義務化されるのは,宅建業者が,新築住宅を自ら売主として販売する場合のみである。 「中古住宅や宅地を自ら売主として販売する場合」、「宅建業者が自ら売主として新築住宅を販売しても,買主が宅建業者の場合」には,資力確保の措置は義務付けられていない。 (注意) (2)住宅は,「人の居住の用に供する家屋又は家屋の部分(人の居住の用以外の用に供する家屋の部分との共用に供する部分を含む。)」をいう(履行確保法2条1項,住宅品確法2条1項)。このため,個人住宅,居住用マンションだけでなく,賃貸住宅,別荘,リゾートマンション,事務所・店舗などとの併用住宅での居住用部分,複合マンションでの居住用部分,及び非居住部分と居住部分で共用する部分も住宅に該当する。 (3) 履行確保法で資力確保措置が義務付けられる瑕疵とは,住宅品確法の規定での瑕疵をいい,住宅の構造耐力上主要な部分等の隠れた瑕疵〔住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるものの隠れた瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。)〕をいう。 ⇒ これ以外の瑕疵について担保責任を負う期間は,宅建業法の規定により,引き渡してから2年以上とすることができる。 (4) 履行確保法での「特定住宅瑕疵担保責任」とは,住宅品確法の規定による瑕疵担保責任をいう。 住宅品確法の規定による瑕疵担保責任では,民法の瑕疵担保責任(損害賠償・契約の解除)のほか,買主は,瑕疵修補の請求もすることができる。 2 住宅販売瑕疵担保保証金の供託 (1)住宅販売瑕疵担保保証金の供託については,主たる事務所の最寄りの供託所に供託する,有価証券の価額評価,還付による不足額の供託,保管換えなど,営業保証金と同様の規定になっている。 ; 保証金の供託については,現金のほか国債証券,地方債証券,国土交通大臣が指定した社債券その他の債券でも,保証金に充てることができる。なお,有価証券の価額(保証金として充当される額)は,有価証券の区分に応じ,以下のように定められている。
●住宅販売瑕疵担保保証金の供託等の届出等 新築住宅を引き渡した宅建業者は、基準日ごとに(3/31と9/30)※、当該基準日に係る住宅販売瑕疵担保保証金の供託または住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結の状況について、免許を受けた国土交通大臣または都道府県知事(信託会社等にあっては、国土交通大臣)に,届け出なければならない。 ※基準日から3週間以内に、届け出なければならない。なお、この届出書には、当該基準日における新築住宅のうち、当該基準日前6月間に引き渡した新築住宅に関する事項を記載した一覧表を添付しなければならない。また、「新たに供託した住宅販売瑕疵担保保証金の供託に係る供託物受入れの記載のある供託書の写し」、または、「新たに住宅瑕疵担保責任保険法人と締結した住宅販売瑕疵担保責任保険契約を証する書面」 も添付しなければならない。 (2)住宅販売瑕疵担保保証金の不足額の供託 供託宅地建物取引業者は,買主の権利の実行その他の理由により,住宅販売瑕疵担保保証金が基準額に不足することとなったときは,不足額の通知を受けた日から2週間以内にその不足額を供託し,不足額を供託したときは,その旨を,供託した日から2週間以内に,免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事(信託会社等にあっては,国土交通大臣)に届け出なければならない。 (3)住宅販売瑕疵担保保証金の保管替え等 供託宅地建物取引業者が,主たる事務所を移転したためその最寄りの供託所が変更したときは,以下のように供託しているものによって,対応が異なる(宅建業法の営業保証金の場合と同じ)。
(4) 住宅販売瑕疵担保保証金の取戻し 供託宅地建物取引業者は,基準日において,過去10年間の供給した戸数に応じて定められる基準額を超過する場合は,所定の手続により取り戻すことができる。引渡しから10年が経過すれば,瑕疵担保責任を負う必要がなくなるからである(超過額を取り戻すには,あらかじめ,免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事の承認を受ける必要がある)。 (5)住宅販売瑕疵担保保証金の還付手続 住宅販売瑕疵担保保証金の還付を受けようとする者は,供託所に,供託物払渡請求書を提出するときに,国土交通大臣が交付した技術的確認書(債務名義又は公正証書等がある場合。)または国土交通大臣の確認書(債務名義又は公正証書等がない場合)を添付しなればならない。 (1)新築住宅の買主が還付を請求するには,以下の要件のどれかに該当していなくてはならない。 ア損害賠償請求権について確定判決などにより債務名義を取得した場合 イ 公正証書(損害賠償請求権の存在及び内容について供託宅地建物取引業者と合意した旨が記載されたもの)を作成していた場合(またはその他これに準ずる場合として国土交通省令で定める場合[公証人の認証を受けた私署証書を作成した場合]。施行規則18条), ウ 住宅販売瑕疵担保保証金について,他の債権者に先立って弁済を受ける権利を有することについて,国土交通大臣の確認を受けた場合(供託宅地建物取引業者が死亡したり破産した場合などで,損害賠償義務を履行することができず,又は著しく困難である場合として国土交通省令で定める場合。施行規則19条)。 (2)還付請求をするには,(1)のアイウに応じて、下記の申請を還付請求する前に,しなければならない。
※住宅販売瑕疵担保保証金の還付を受けることができる額について国土交通大臣が技術的に確認することをいう。 3住宅販売瑕疵担保責任保険契約 (1)宅建業者が特定住宅販売瑕疵担保責任を履行したときに,その宅建業者の請求に基づき,保険法人がその履行によって生じた宅建業者の損害をてん補する。 (2)宅建業者が相当の期間を経過してもなお特定住宅販売瑕疵担保責任を履行しないときに,当該新築住宅の買主の請求に基づき,保険法人がその隠れた瑕疵によって生じた当該買主の損害をてん補する。てん補率は免責金額を除いて100%。
4 新築住宅の売買契約の 新たな締結の制限 新築住宅を引き渡した宅建業者は,基準日(年二回)までに,住宅販売瑕疵担保保証金の供託(または住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結)をし,かつ,保証金の供託等の届出もしていなければ,当該基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後に,新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結することはできない。これに違反すると1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金,又は併科となる。 5 告知義務−営業保証金の供託所等に関する説明(宅建業法35条の2)とは別個の規定。 ア 供託宅地建物取引業者は,自ら売主となる新築住宅の買主に対し,当該新築住宅の売買契約を締結するまでに,住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしている供託所の所在地その他国土交通省令で定める事項について,これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。 イ 住宅瑕疵担保責任保険法人と住宅販売瑕疵担保責任保険契約を締結した宅建業者は,保険証券またはこれに代わるべき書面を買主に交付しなければならない。この書面を交付していなければ,住宅販売瑕疵担保保証金を供託しなければならない。 6 罰則
※両罰規定 法人の代表者,宅建業者の代理人,使用人その他の従業者が,上記の違反行為をしたとき,その行為者を罰するほか,その法人又は宅建業者である個人に対しても罰金刑を科せられる。 |
●宅地建物取引業法 | |||||||
■履行確保法の施行による改正 (平成21年10月1日施行)
(1)重要事項、37条書面の記載事項の追加
●住宅瑕疵担保責任保険法人と住宅販売瑕疵担保責任保険契約を締結する場合
(2)帳簿の保存期間
(3)監督処分 履行確保法の一定の違反 (住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしていなかった等) についても、指示処分や業務停止処分 (情状が特に重いときは免許取消し)の対象となった。 ⇒ 履行確保法では違反した宅建業者に対する監督処分がないため、宅建業法で監督処分する。 ■消費者庁及び消費者委員会設置法の施行による改正 (平成21年9月1日施行) (1) 国土交通大臣免許業者に対する内閣総理大臣の権限規定の創設
(2))35条の重要事項ー国土交通省令で定める事項 (宅建業法35条1項14号) 改正前の重要事項の国土交通省令で定める事項が, イ 宅建業者の相手方等が一般消費者[事業を営まない個人の買主・借主](国土交通省令・内閣府令) ロ それ以外の者[事業者](国土交通省令) に区分して定められることになった。 ⇒ 宅建業者の相手方等が一般消費者の場合は,内閣府令でも,重要事項の一部について定めることができるようになった。 |
■法令上の制限−農地法
●農地法の改正 〔平成21年12月15日施行〕 | ||||||
(1) 農地又は採草放牧地についての権利取得の届出
農地法3条の許可が不要なののうち,以下について届出が必要になった。
(2) 農地の賃貸借の存続期間 農地または採草放牧地の賃貸借の存続期間は50年を超えることができない。 (3) 国・都道府県の自己転用・転用目的の農地・採草放牧地の取得 国・都道府県の行為であっても、近隣農地の転用を促進する施設用地への転用は農地の減少をもたらすおそれがあるため、改正により、以下のように区分することになった。
※ ただし、国又は都道府県と都道府県知事との協議(4haを超える農地を農地以外のものにする場合には農林水産大臣との協議)が成立することをもつて4条または5条の許可があったものとみなされる。 市町村の場合も同様の規定となったが,経過措置で平成22年5月31日までは従来通りの規定となつている。このため,4月1日施行法令が出題範囲とされる宅建試験では出題範囲外となる。 (4)両罰規定の強化 法人の代表者,代理人,使用人その他の従業者が,その法人の業務又は財産に関し,4条1項,5条1項,原状回復命令等に違反した場合,行為者を罰するほか〔3年以下の懲役または300万円以下の罰金刑〕,その法人に対して,両罰規定として1億円以下の罰金刑を科する(両罰規定の強化)。 |
■法令上の制限−諸法令
●土壌汚染対策法 (平成22年4月1日施行) | ||||||
■区域の創設
※要措置区域、形質変更時要届出区域のどちらにも指定されていない区域 |
●自然公園法 (平成22年4月1日施行) | |
■制限される行為の追加 国立公園・国定公園の特別地域内で、以下の行為をしようとする場合に環境大臣(国立公園)、都道府県知事(国定公園)の許可が必要になった。
■海域公園地区 「海中公園地区」を「海域公園地区」に改める。 |
■税法その他
●景品表示法 〔平成21年9月1日施行〕 | |||||||||||||||||||||||||||
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●税法関連の主な改正 | |||||||||||||||
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