改正法レポート・3
●重要な税法改正(速報版)

  税法は毎年のように、変わっており、今年も改正がありました。

宅建の試験は、平成13年4月1日施行の法令が試験範囲になっています。これまで

の税法の問題に出題されて重要なものと思われるものをまとめておきます。

  (1) 贈与税の基礎控除の引き上げ

  (2) 特定居住用財産の買換えの特例の要件の緩和

  (3) 住宅借入金等特別控除 (新住宅ローン減税制度)

  【参考】小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例

(1) 贈与税の基礎控除の引き上げ

贈与税の基礎控除(非課税枠)を今の年60万円から110万円に引き上げ、

住宅取得資金の贈与に伴う非課税限度額も300万円から550万円へ拡充。

(1,500万円までの部分について)

一生に1回、特例を受けるには贈与税の申告が必要であることに注意。

贈与税の問題は、平成2年からでは、以下の出題だけですが、注意が必要です。

平成6年・問30 住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税額の特例、

        (租税特別措置法・同施行令より出題)

 住宅資金贈与の特例の適用対象の拡大
増改築の資金の贈与 一定の増改築の対価に充てるために受ける金銭の贈与も

適用範囲に加える。

工事費用が1,000万円以上、または、

増改築による床面積の増加が50平方メートル以上

住宅の買換え資金の贈与 住宅取得資金の贈与日前5年以内に居住していた自己

または配偶者の所有する住宅を、その贈与日の属する

年の翌年12月31日までに譲渡・滅失する場合において

自己の住宅の取得または新築の対価に充てるために

受ける金銭の贈与を適用対象に加える。

(これまでは、過去5年以内に本人または配偶者の所有す

る住居に住んでいた場合は適用を受けられなかった。)

(2) 特定居住用財産の買換えの特例の要件の緩和
所有期間10年超の居住用財産を買換えた場合の譲渡益の課税繰り延べの特例で、

買換え資産の条件が緩和されました。

 ●買換え資産の家屋の床面積要件の上限

 (改正前) 240平方メートル→(改正後)280平方メートル

 ●買い換え資産が既存の耐火建築物の場合、

    (改正前築年数が20年以内→(改正後)25年以内に5年間延長 

この改正は、平成13年4月1日以後に行う居住用財産の譲渡について適用されます。 

この特例自体も2003年(平成15年)12月31日まで3年間延長されます。

【注意点】改正点ではなく、一般的な注意です。

◎買換え特例とは、買換え資産の取得価額 < 譲渡資産の譲渡価額 の場合に、

 買換え資産の取得価額 − 譲渡資産の譲渡価額 − 必要経費(取得費・譲渡費用)

を課税長期譲渡所得金額とするもので、所得税20%、住民税6%とし、100万円の

特別控除額は控除できません。

◎譲渡資産の要件は、譲渡した年の1月1日における所有期間が居住用家屋と敷地

のいずれも10年を超えていること。居住期間が10年以上。

◎買換え資産の取得時期、居住時期についても要件があります。


◎買換え特例を受けた場合は、買換え資産について住宅ローン控除を受けること

できません。

◎その居住用財産の譲渡があった年の前年分、もしくは前々年分において、居住用

財産の課税の特例の適用を受けていないことも要件になります。

◎譲渡資産の譲受者が、譲渡者の配偶者、直系親族、生計を一にする親族、その他

特殊関係者でないこと。

○居住用財産を譲渡した場合、譲渡所得が3,000万円以下の場合は、3,000万円

特別控除を適用しますので、買い換え特例は必要ではありません。

買い換えの特例を受ける場合は、居住用財産を譲渡した場合の3,000万

特別控除の特例や、軽減税率の特例を適用できません。(選択適用)

○譲渡所得が3,000万を超える場合に、「3,000万円特別控除」と「買換え特例」の

どちらを選ぶか、検討することになります。

買換えの特例は、課税の繰り延べであり、将来買い換えた資産を譲渡した場合に

課税されるので、この特例を受けて本当に有利なのか検討する必要があります。

◆買換え特例の出題歴◆ 頻出問題なので、しっかりマスターしてください。

 【平成12年・問26 肢3】

 その家屋の譲渡について特定の居住用財産の買換えの特例の適用を受ける場合

は、譲渡があったものとされる部分の譲渡益があるときであっても、その譲渡益に

ついて軽減税率の特例の適用を受けることはできない。

  正解○

 【平成11年・問26 肢2】関連、一部改

 居住用家屋を売却し、新たに居住用家屋を取得した場合には、その売却した居住

用家屋に係わる譲渡損失につき特定の居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の

繰越控除の適用を受けるときであっても、その新たに取得した居住用家屋につき

住宅ローン控除の適用を受けることができる。

  正解○(平成11年度の改正点)

 【平成10年・問27 肢3】関連、一部改

 譲渡した土地が居住用財産に該当するなど所定の要件を満たせば、平成11年に

特定の居住用財産を買換え及び交換した場合の課税の特例の適用を受けていると

きでも、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の適用を受けることが

できる。  

  正解×

 【平成8年・問28 肢4】平成12年と同じ

  

 【平成5年・問28】買換え特例に関する総合問題

(3) これ以外の重要な改正点として、「住宅借入金等特別控除」があります。

 現行の「住宅ローン控除制度」は、平成13年6月30日までの居住時期のもので、

平成13年7月1日から平成13年12月31日までの居住時期のものについては、

「住宅取得促進税制」(控除対象上限3,000万、控除期間6年間)であったものが、

新規に「新住宅ローン減税制度」(控除対象上限5,000万、控除期間10年間、控除額

一律年末借入金残高×1.0%)が創設され、平成13年7月1日から平成15年12月31日

までの居住時期のものに適用されます。

 このほかには、『高齢者向け優良賃貸住宅の割増償却』などがあります。今年の税

制改正は、制度の期間延長が改正点になっているものが多く、上記以外に基本書に

追加するものはないものと考えられます。 

【参考】小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
 適用対象面積が次のように緩和されました。

 ●特定居住用宅地等に係わる特例の適用面積

   (改正前)200平方メートル→(改正後)240平方メートル

 ●特定事業用宅地等に係わる特例の適用面積

   (改正前)330平方メートル→(改正後)400平方メートル

◆『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』とは何でしょう。 

 相続または遺贈によって取得した財産のうちに、被相続人等が事業の用、または

居住の用に使っていた『宅地等』(この場合は土地または借地権を意味します)で、

建物または構築物の敷地の用に供されているものがあるときに、その宅地等のうち

限度面積までの部分について、80%または50%を減額するという特例です。

 1)特定居住用宅地等  減額率80% 限度面積240平方メートル

 

 2)特定事業用宅地等  減額率80% 限度面積400平方メートル

 (正確には、このほかに特定同族会社事業用宅地等、国営事業用宅地等ー特定

郵便局の用地ーもあり、減額率、限度面積とも同じです)

 3)居住用宅地等、事業用宅地等(不動産の貸付、駐車場業を含む)[改正ナシ]

            減額率50% 限度面積200平方メートル

◆出題歴◆ 平成2年からの出題歴はありません。


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