Brush Up! 権利の変動篇  過去問のSummary

担保責任 : 数量不足・一部滅失−問題を解く視点とKEY


アウトライン−善意の買主のみ,担保責任を追及できる

    買主  代金減額  解除  損害賠償  除斥期間
 数量不足・一部滅失  善意        知ったときから1年
 悪意  Φ  Φ  Φ   Φ

数量不足と一部滅失のときの担保責任の考え方

 善意の買主・代金減額請求
            └ 残りでは買うことができないとき解除できる
            └ 代金減額請求,解除に合わせて損害賠償請求できる

⇔対比

    買主  代金減額  解除  損害賠償  除斥期間
 一部他人物売買  善意        知ったときから1年
 悪意    ×  ×  契約時から1年

盲点●代金減額請求
 数量不足・一部滅失 → 悪意のときは,減額請求できない〔善意のときだけできる〕

 一部他人物 → 悪意のときでも,減額請求できる。〔善意・悪意どちらもできる〕

売主は,どんなときに担保責任を負うか

 ・売主が一定の数量を指示して売買したものが不足していた場合(565条)
 ・目的物の一部が契約締結前に滅失していた場合。(565条)

 ベースとなるのは代金減額

 解除しないならば,代金減額(善意) 

 残った部分では買わないとき解除(善意)

 損害賠償は善意なら,代金減額・解除と併せてできる。

数量指示売買の定義

 宅建試験で『数量を指示して売買』という表現が問題文で使われているときは気にする必要はないのですが,この『数量を指示して売買』という表現がないときには注意する必要があります。単に売買目的物の数量が不足しているだけでは,民法565条が適用されるとは限らないからです。 

 例えば,宅地の売買で登記簿上の坪数〔面積〕を表示してもそれだけでは,数量指示売買とは言えない場合があります。(最高裁・昭和43.8.20)

 数量指示売買と認定されるには,宅地売買では,面積,1平方メートルあたりの単価を表示した上で,『単価×面積』によって価格が定められていることが必要と解されています。

 判例での定義

 当事者において目的物の実際に有する数量を確保するため,その一定の面積,容量,重量,員数または尺度あることを売主が契約において表示し,かつ,この数量を基礎として代金額が定められた売買  (最高裁・昭和43.8.20)

数量が超過していた場合

 数量指示売買において数量が超越する場合 (契約で設定した数量より超過していた場合) については,民法では規定がありませんが,判例では,民法565条の類推適用を否定し,当事者の合意の存在が認められなければ,売主からの,超過した分に応じた『代金増額請求権』については認められないとしています。(最高裁・第三小法廷判決・平成13.11.27)


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